女王結婚編5
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転移で<ユクレシア>の謁見の間に戻った《ヴィオレッタ》と《ユウラスティア》。それをみたユースティスはあちゃーと言った表情をしていた。それを気にすることなくジュエルを殺す《ヴィオレッタ》がいた。それに驚く官吏達。見た目は綺麗なのでなんとも言えないのが《ヴィオレッタ》の殺し方だ。
「《ユウラスティア》……」
「ヴィオ、《ヴィオレッタ》は国ごと皆殺しにした。もう、諦めろ」
「……氷山の民<ベリオリス>と同じか…」
「あぁ」
止めに行かせたはずの《ユウラスティア》は《ヴィオレッタ》の行動を止めない。それに遠い目をするユースティスは過ぎたことと割りきった。
「……………はぁ、わかった。諏訪神に助言しとく。《ヴィオレッタ》、一つ聞くが何故ラヴィーネだけは殺さない」
「私のお気に入りだからです」
「……それだけか?」
「?はい」
「…………そうか」
ジュエルを殺して満足そうな《ヴィオレッタ》にユースティスが問うと普通に答える。それに内心驚きを隠せないユースティスが聞き直すも《ヴィオレッタ》は不思議そうに首を傾げるだけ。ユースティス的には《ヴィオレッタ》が少しでも成長してくれたことに内心喜んだ。
一方のラヴィーネはジュエルの死を見ても何も言わなかった。そんなラヴィーネを見てフレイアが問う。
「ラヴィーネ様」
「何でしょう?フレイアさん」
「何も思わないのですか?」
「はい。年の離れた妹だとしても私からすれば他人です。全てから隔離された私が家族なんて思うわけがありません」
ラヴィーネの言葉にユースティスとは違う闇を見たフレイア。それ以上は何も言わなかった。
「仕方ない。ラヴィーネを私の夫としよう」
「!?ヴィオ!?」
「怒るのは私ではなく《ヴィオレッタ》にしろ。国を滅ぼしたのは《ヴィオレッタ》だ。保護と言う名目よりかは良いだろう」
「《ヴィオレッタ》!!!!」
「!!!」
ユースティスの言葉に《ユウラスティア》は大暴走を始めた。《ヴィオレッタ》と《ユウラスティア》の追いかけっこにユースティスはあきれ、ラヴィーネは苦笑。《パラディン》は無表情。官吏達はおろおろしていた。
「ラヴィーネ、君は本当に何も思わないのかい?」
「?はい」
ユースティスの質問にも不思議な顔をして頷くラヴィーネにユースティスはため息をついた。
《ユウラスティア》が暴れたことでラヴィーネの件は保留となり、ラヴィーネと《ユウラスティア》の戦いが幕をあけた。と、言っても《ユウラスティア》がラヴィーネに突っ掛かっているだけだが。
《ヴィオレッタ》が自国を滅ぼした事は神にも他国にも伝わった。それにより、神を怒らせてはならないと再認識した国民達だった。