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女王結婚編2

*****



次の日、朝から謁見が入った。面倒とぐうたれるユースティスを玉座まで引きずったのはフレイだった。眠そうにしてるセルジュは《ユウラスティア》が寝かしつけ就寝中。部屋にはシューナッツとラシュールを含めた諜報員が5人。と扉の前に近衛騎士二人が待機。片方はラクシェ・アガレスの息子、アザゼル・アガレスだった。やっと名前登場の可哀想な奴。《ユウラスティア》も謁見の間に入ってちゃっかりユースティスの隣に待機。そして、謁見が始まった。

謁見の間に入ってきたのは昨日のラヴィーネだった。相変わらず白い。


「お初にお目にかかります。国王陛下。私は極寒の国<ウルカムル>の第一王子、ラヴィーネ・ファルファーシュ・ウルカムルと申します」

「遠いところをよく参りましたね。ようこそ、星と大海の国<ユクレシア>へ。私はユースティス・ファルティス・ファラオと申します。大したものはありませんが、ごゆるりとしていってくださいね」


ユースティスの猫かぶりに家臣一同心の中で大喝采。いろんな意味で涙ものらしい。普段の独裁っぷりが完全に隠れ、とても優しそうな雰囲気を醸し出している。


「それで……我が国にはどの様なご用件で?」

「?陛下が呼ばれたのではありませんか」

「は?」

「「「…………」」」


来た理由を問えばラヴィーネは呼ばれたと言った。それにラヴィーネとユースティスは目が点。そして意味を理解したユースティスは綺麗な笑みを浮かべ、低い声で告げた。


「…………はいはーい、ちょーとそこのニョルズとかラクシェとかサリザンとか老臣共、来やがれ」

「「「はい…」」」


ユースティスの低い声に従うしかない老臣達はユースティスの近くに控える。


「あのさ、誰を結婚させようとしてるのかな?」

「それはユースティス様を、です」

「……《ユウラスティア》、殺れ」

「ヴィオは俺のだぁぁぁ!!!!」


ユースティスは眉間を揉みながら問う。そしてニョルズが答えるとユースティスから許可が出た《ユウラスティア》が般若の顔で老臣達に制裁を加えたのだった。この時の《ユウラスティア》の叫びは城下にまで響き渡ったとか。


「そして隠れてる《ヴィオレッタ》出てきやがれ」

「!!……ヴィオ…」

「お前もなぜ私に言わなかった!!」

「そんな落ちだろうな…とは思いましたけど……ただ、ラヴィーネにもこの話を逃せば国から追い出されてしまうのです」

「は?」


ラヴィーネの後ろに隠れていた《ヴィオレッタ=ベルム》を呼べば、出てきずらそうに顔だけを出した。そして、しずしずと出てきたと思ったらユースティスにすがり付いた。


「ラヴィーネは王位継承権を剥奪されているのです。 そのせいで王宮内では白い目で見られていて……お願いです!ヴィオ!!ラヴィーネを婿にしてくれませんか!?」

「その申請はアレにしてくれ」


ユースティスはそれを冷静に《ヴィオレッタ》の後ろで般若の顔をしている《ユウラスティア》になげるのだった。


「《ヴィオレッタ》………お前、俺が何を司ってるか忘れたのか…?」

「何を……って……あ……」

「……あぁ……嫉妬もか」

「……まさかヴィオ?忘れてた?」

「すっかり」

「……………」

「いやー、妖艶なのはお前の存在自体で体現してるけど、嫉妬も含まれてたのは忘れてたね」


低い声で唸る《ユウラスティア》に《ヴィオレッタ》は記憶を探る。そして遠い記憶の彼方の片隅にある名簿を引っ張り出し検索すると…書いてあった。それにユースティスと《ヴィオレッタ》は声をあげた。《ユウラスティア》はユースティスに自分の役職を覚えられていなかったのにショックを受けて謁見の間の角でいじけた。


「はぁ……面倒臭い。フレイア、ラヴィーネに客室用意してあげて。ラヴィーネ、城の中は勝手にしていいよ。あ、後で朝議するからよろしく。私は執務室で寝る。疲れた。いろんな意味で疲れた」

「ちょっ!!勝手に帰らないでください!!ユースティス様!!」


勝手に戻っていくユースティスをニョルズ達が引き留めようとも転移で消えたユースティス。


「…………」

「ラヴィーネ、気にしてはなりません。あれが《ヴィオリウムステラ》ですから」


それをみて唖然とするラヴィーネを《ヴィオレッタ》がフォローをするがなってない。

フレイアはユースティスに言われた通り、客室を用意してラヴィーネを案内した。ラヴィーネの荷物諸々は来客室に置いていたのでメイドやバトラーが運び済み。自由散策を許可されたラヴィーネは遠慮なしに探索を始めた。案の定、道に迷ったラヴィーネは【藍水院】《ヴィオリウム》に来ていた。《ヴィオリウム》の庭にセルジュがいた。二人してキョトンとしていた。


「ラヴィーネおにいちゃん?」

「セルジュ君?」

「「………」」


そのまま沈黙したセルジュとラヴィーネ。因みにシューナッツはセルジュの回りでおろおろしていた。


「アイテールさんはどうしたの?」

「おかあさんならおしごとしてるよ」

「お仕事?」

「うん!」


ラヴィーネがセルジュに問うとセルジュは素直に答える。


「どんなお仕事してるのかな?」

「えっとね、よくほかのひとにおしごとをたのんだりはんこをぽんぽんしてるよ」

「…高官なのかな?」

「?こーかん?」


セルジュの話にラヴィーネが呟くとセルジュは首を傾げた。


「何でもないよ。じゃあ、セルジュ君はいつもここで遊んでるんだね」

「たまにおかあさんといっしょにおしごとするの!」

「???」


謎が謎を呼ぶセルジュとの会話にラヴィーネは首を傾げる。そんなときにルイーズとモナコシエラがきた。


「セルジュ様」

「シーとルーだ!!」

「おや、ラヴィーネ様ではありませんか。後宮の奥までいかがいたしました?」

「……後宮の奥……ですか?」

「はい」


セルジュがルイーズとモナコシエラに気が付き、声をあげた。それにラヴィーネも気が付き振り向く。そこには《ベルモット》のルイーズとモナコシエラがいた。ルイーズはラヴィーネがいることを不思議にも思わない。何故なら迷子が続出する区画だからだ。ルイーズが問えば案の定、迷子だった。


「………迷いました…」

「左様ですか。文官もよくやりますのでお気にせずに。シエラ、ラヴィーネ様を案内して差し上げなさい」

「はい。ラヴィーネ様、ご案内致します」

「ありがとうございます。シエラ殿」

「またね!おにいちゃん!!」

「またね、セルジュ君」


ルイーズはフォローを入れて案内をモナコシエラに任せるとラヴィーネは王宮へと戻っていった。セルジュはラヴィーネに手をふり、ラヴィーネもそれに答える。そうしてラヴィーネは無事に王宮の客室へと帰還するのだった。




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