王妃内乱編9
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パーティーが行われてから数日がたった。その間にユースティスを暗殺しようとする動きが活発化していた。ユースティスの食事や触るもの全てに毒が塗られ、暗殺者も増えた。暗殺者は全てユースティスに調教され、各国の連絡役として運用されている。またはバトラーやメイドとして情報収集をしている。今のところ、家臣に被害は無いがいつ巻き込まれてもおかしくはない状況。これが何を示すのか判断がつかなかった。この時までは……。
「あらあら?」
「ご夫人方、会議中です。速やかにお引き取りください」
夫人が三人、会議中の謁見の間に入ってきた。ユースティスはそれを追い出そうとするが、夫人達は動かない。
「まぁ。良いではないですか」
「そうですわ」
「!!」
「へ、いか…?」
「!!ヴィオ!!!!」
笑う夫人達にどうしたものかと考えるユースティス。次の瞬間、腹を何かが切り裂いた。内臓が見えるほど深く。それに倒れ込むユースティス。家臣は何が起きたのか理解できなかった。いち速く動いたのは《ユウラスティア》だった。治癒の魔法をかける《ユウラスティア》だが、ユースティスの身体は治癒が効きにくい。焦りを見せる《ユウラスティア》。
「その者達を捕らえなさい!!」
「「「はっ」」」
「うふふふ、いいきみだわ!!」
フレイアが騎士に命じると抵抗することなく捕まる夫人達。その言葉に夫達は顔を真っ青にしていた。
「《ユウラスティア》、退きなさい」
「ヴィオが!!ヴィオが!!」
「落ち着きなさい。今治します!」
「《メリスーシャン》!!ヴィオが!!」
「「黙んなさい」」
パニックを起こしている《ユウラスティア》を強制的に黙らせたミストとアクア。それに全員が沈黙した。大神官長のミストと大神官のアクアが神様ぶっ叩くとかあり得ない光景に唖然。その間にミストとアクアはユースティスを治療する。碧の光がユースティスを包み込んだ。これは二人が作った《治癒の水球》である。ユースティスの傷が治りきるまでこの水球は破れることはない。
「ユースティス様の治癒には時間がかかります」
「ですので、これは我々が管理します」
「《パラディン》はユースティスの代わりに国を支えなさい」
「「「はっ」」」
ユースティスの治療の間は《パラディン》が国政の中心となった。仕事内容はあまり無いが、何かあったときのサポート役である。ミストとアクアはユースティスの入った《治癒の水球》を持って謁見の間から出ていった。二人により強制的に黙らされた《ユウラスティア》は《ベルモット》により回収された。
ユースティスの治療は一ヶ月にも及んだ。感知してもユースティスは目覚めることはなかった。その間、《ユウラスティア》がユースティスを狙う刺客を始末していた。刺客の量が日に日に増えていき、ストレスを溜めた《ユウラスティア》が王妃の所に乗り込もうとした時、ユースティスが目覚めた。
「ヴィオ!!」
「《ユウラスティア》…?」
「ヴィオ!!痛いところはないか?」
「痛い……ところ……?」
「ヴィオ……」
記憶が曖昧らしいユースティスは覇気がない。その痛ましい姿に《ユウラスティア》は眉を下げていた。ユースティスが起き上がろうとするが力が入らず、ベッドに逆戻り。
「ヴィオ、あまり無理をするな。ずっと寝ていたんだ。身体が動かないはずだ」
「……すまない……」
それからユースティスは《ユウラスティア》の介抱を受けて二ヶ月かけて復帰した。その間にも暗殺者が向けられるがユースティスが目覚めた《ユウラスティア》は最強だった。