王妃内乱編6
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執務室に生ける彫刻の二人、ミストとアクアがいた。誰が見ても美しすぎるその姿に呆然とするだろう。しかし、ユースティス達は見馴れていた。
「どうした?《メリウス》《スーシャン》」
「医療用の晶石が無くなりました」
「寄越しなさい」
「……相変わらずだな……お前ら……」
ユースティスに対してでかい態度を取れるのはこいつらの他に誰かいるだろうか。ユースティスはため息しか出なかった。
「お前ら、それでも医療の神か?」
「魂が二つに別れれば」
「それだけ力も落ちるということ」
「「大神殿にも入れない我らが晶石を作ってもたかが知れている」」
「………」
確かに、とユースティスは二人の言い分に納得した。しかし、騙されてはいけない。二人の力は衰えているが二人が力を合わせれば作れないことはないのだ。それに気が付いていないユースティスはちゃんと作っていた。
「これだけあれば大丈夫だろ」
「えぇ」
「ありがとうございます」
二人は晶石を受け取り出ていった。そこにルイーズが入ってきて一言。
「ユースティス様、あれらは力を合わせれば晶石なんぞ作れます。騙されてはなりません」
「………あ………」
ルイーズに指摘されてされて始めて気が付いたユースティスは間抜けな声を出すのだった。