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女王誕生編12

*****



大神殿の大会議室にいるユースティス。そこには世界各国から集まった神々がいた。


「ヴィオ」

「《ヴィオレッタ》。久しぶりだな」

「本当ですわね。お元気そうで良かったですわ。ヴィオがいなくては*ユウラスティア》が執務放棄をしてしまいますもの」

「……《ユウラスティア》に会ってないんだが、知らないか?」

「さぁ?私もまだ見ていませんの」


《ヴィオリウムステラ》ことユースティスに話し掛けたのは極寒のウルカムルの神である氷雪の神《ヴィオレッタ=ベルム》だった。ユースティスと幼馴染みと言えるヴィオレッタは下界に降りたユースティスをずっと気にしていた。彼らの共通の友でありユースティスの夫である妖艶の神である《ユウラスティア》はユースティス命。むしろ、ユースティスがいるから執務をするらしい(本人談)。そんなことを豪語する《ユウラスティア》に頭を悩ませていたユースティスだが、今日に限り見ていない。《ユウラスティア》はユースティスを見つければすっ飛んでくるのにそれがない。それに違和感を感じながらユースティスは他の神々と挨拶を交わす。そこに最高神である諏訪神が押されて入ってきた。


「諏訪神様!!駄々をこねないで下さい!!」

「しかし、藍。一年近く藍に会えぬなど、私は堪えられぬ!!」


駄々をこねる最高神。それに全員ため息をつく。愛妻家なのはわかるがこれでは只の溺愛者。


「我が儘言わないで下さい、諏訪神様。大切なお務めですよ」

「嫌だ!離れたくない!!」

「諏訪神様ー、奥さんを離したくないのはわかりますが会議始めましょうよ」

「そうですよ。《アイヴェリア》が大好きで大好きで愛してやりたいのはわかりますが、会議が早く終わればそれだけ早く《アイヴェリア》に会えるんですよ」

「だが!私が居ぬまにあの害虫共が藍に手を出さぬとは思えぬ!!」


他の神々もお手上げ状態になる。こんな無駄に生きてる年数が永い駄々っ子の相手など疲れるだけだ。誰もが諦めたその時、ユースティスが言葉を発した。


「だったら、《アイヴェリア》も参加させれば良いじゃないですか」

「「「…………」」」

「それは良い!!そうしよう!!」

「「「ヴィオー!!!」」」

「《アイヴェリア》がいてさっさと終わるのといないでグダグダやるの、どっちが良い」

「「「……………」」」

「答えなど決まっているじゃないか」


ユースティスの言葉に諏訪神は目を輝かせ、他は怒鳴った。しかし、ユースティスの言葉に全員が黙った。イチャイチャを見るのも嫌だがグダグダと会議を長引かせるのも嫌だ。そうすると自ずと答えは出され黙るしか無かった。


「では、会議を………なんだ?《ユウラスティア》がいないぞ」

「私を見ないで下さい。私もまだ《ユウラスティア》を見ていませんので」

「あー…悪かった。だが、《ヴィオリウムステラ》はどうした?」

「…………………私が居ぬまに盗まれたようです」

「「「盗まれたぁ!?」」」

「犯人はわかっておりますので………手ぇ出すんじゃねぇぞ……」

「「「勿論ですとも!!!!」」」


困惑ぎみの藍を膝に座らせて抱き締めた諏訪神はご機嫌で会議を始めようとしたが、目の前にある空席に驚いた。諏訪神は視線を隣にいるユースティスに移すとユースティスの冷たい視線を食らった。そして、目敏い諏訪神はいつもしていたネックレスが無いことに気付き、ユースティスは何で気づくんだよという死の視線を投げた。そして、地を這う声に誰もが従った。藍も涙目で必死に頷いた。


「しかし、《ユウラスティア》がおらぬと話にならぬぞ」

「それはお宅の所だけですから」

「ですが、魂の管理をしているのは《ユウラスティア》ですよ。彼が居なくては子が産まれません」


気を取り直した諏訪神が困った顔をするが他の神に突っ込まれた。私情満載の諏訪神だった。しかし、本当にどうしたものか、と頭を悩ませていると会議室の扉が勢いよく開いた。そこに居たのは険しい顔をした妖艶のユウラスティアであった。


「ヴィオ、来い」

「《ユウラスティア》、遅れておきながら何を」

「来い」

「……行け、《ヴィオリウムステラ》」

「……わかりましたわ」


《ユウラスティア》は《ヴィオリウムステラ》を求めるがユースティスは呆れた。しかし、《ユウラスティア》の強い口調に何故か諏訪神が折れた。諏訪神に言われ渋々《ユウラスティア》の元に行くユースティス。《ユウラスティア》はユースティスを抱き締めてから何処かに転移した。そして、会議室にはため息が響いた。


「あー……ヴィオ、ご愁傷さま」

「あれは孕むな。確実に」

「アイツのあの妙な色気に堕ちないヴィオは凄い」


《ユウラスティア》が《ヴィオリウムステラ》を求めるときに発せられる香が他の神々にはキツかった。歩く媚薬と称されるだけはあるらしい。藍など既に《ユウラスティア》の香に酔っていた。


「諏訪神様…」

「……藍……」

「あ、駄目だ」

「本日の会議、シューリョー」


最高神の戦意喪失に即刻会議を取り止めた。諏訪神は会議が無くなるや否や藍を連れて消えた。彼らにとって会議は数年に一度の顔合わせみたいなものだ。そこまで重要ではない。ただ……人間にとっては生死を分けるものもあるが……。




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