シファ戦線
フォー「シファ星への到着は何分後だ?」
シャーリー「30分後には到着致します。」
フォー「そうか。ティアマの調整は終わってるんだろうな?」
シャーリー「もちろんです。ティアマ、エンリル共に終わっております」
フォー「分かった。俺もアマライで出る。宇宙の指揮はお前に任せるぞ」
シャーリー「かしこまりました。シラは先のシファ戦でジルドも
投入していたと聞きましたのでお気をつけ下さいませ」
フォー「ああ。だが向こうのティアマは三流だからな
ジルドがいてもハンデにもならないだろう」
―銀河系より遥かかなた
スターバースト星雲の宇宙空間を超速移動する
巨大戦艦の指令室で慌しくやりとりをする2人は
アマテ王国の筆頭騎士団長フォー=アイノと
団長補佐シャーリー=ソハノである
彼らは現在、アマテ騎士団と下位騎士団を引き連れ
惑星シファを目指している
シファ星は元々はチョノ帝国とコリ民国の
2国によって成り立っていたが
3年前の星雲暦2008年に突如、惑星シラスラブの
シラ共和国によって宣戦布告を受け
同年にはシファ星はシラ共和国に占拠され政権下に置かれたのである
(のちに第1次シファ戦争という)
第3国であるアマテ王国の軍がシファ星へと軍を進めているのには
両国には長年の因縁があるからである
シラ共和国は政権を持つ共和党のみの一極独裁政権であり
今回のシファ星侵略においても星雲法を完全に無視し
国家独自の「第2次シラ国家戦略計画」なる領地拡大政策に基づく
軍事行動の結果なのである
第2次とあるが第1次戦略計画はアマテ星を領土とする
という計画であり、50年前から軍旗を持たない無所属軍を
再三に渡りアマテ星に派遣し侵略を試みているが失敗に終わっている
この無所属軍の侵略がシラ共和国の仕業だと判明し
両国の因縁として現在に至っている
艦内アナウンス「まもなくシファ圏内に到着致します。
到着と共に進行レーザー照射5分後に
ティアマ>空軍>陸軍と投入致します」
けたたましいサイレンと共に出陣の刻を告げるアナウンスが
艦内に響く―
すでにフォーをはじめとする騎士団は
ティアマのコックピットで出陣の刻を待っていた
(ティアマとは地球で言うところの人型兵器
であるが機械ではなく巨大な人工生命に装甲などの武装を
施した物の総称である
人工生命とはいってもティアマ自体に知能はなくコックピットに
人が入り電脳伝達装置により操る必要がある
またティアマを操縦するにはケタ外れた身体能力と電脳伝達能力が必要であり
一般的な星団の人々にはまず歩行させることすら叶わない
ティアマを操縦する為に遺伝子改造により産み出された新世代種族をロードと呼び
フォーもまたロードである
ちなみにフォーの専用機「アマライ」はアマテ王国旗機であり
ティアマの中でも最高ランクSの称号を持つ)
艦内アナウンス「シファ圏内に到着致しました。
進行レーザーを照射致しました。
第1陣投下まで残り5分です」
サイレンが止み、軍の投下時間をカウントダウンする
アナウンスが艦内に繰り返される
第1陣で主力戦力としてティアマが惑星へ投下されるのだが
スターバースト星雲での現在の戦闘は
ほとんどこのティアマ同士での戦闘が戦争の勝敗を決める
その他の陸・海・空軍戦闘機などの兵器では
まったくティアマに立ち向かうことが出来ないからなのだ
アマテ王国は星雲1のティアマ高度生産技術力を保有し
各国へティアマを輸出し莫大な経済力を生計するほどである
シラ共和国との公開保有ティアマ戦力比は
シラ共和国保有ティアマ数10機
(ランクA=1機 ランクB=3機 ランクC=3機 ランクD=4機)
アマテ王国保有ティアマ数28機
(ランクS=1機 ランクA=7機 ランクB=20機)
と戦力差は明らかであるが(星雲国家のティアマ平均保有数は5機である)
今回の戦線にアマテ軍が持ち込んだティアマ数は7機である
ビーッビーッビーッ
ビーッビーッビーッ
再び艦内ではサイレンが響き渡り
艦内アナウンス「第1陣投下を開始致します。
第1陣投下を開始致します。」
フォー達の出陣の刻をサイレントと共にアナウンスが告げる
ビットと呼ばれる大気圏突入カプセルが戦艦からシファ星へ射出され
シファ星の大陸に大きなクレータを作るほどの衝撃と共にビットが
惑星に着弾する(5分前に進行レーザーを着弾地点に照射するのは
5分後にここへ着弾しますよという星雲法で決められた警告義務に基づく
事前警告をするためである)
プシューッ
表面を褐色に染めた高温のビットが開き
中から7機のアマテ軍ティアマが姿を現す
うち6機は洗練された装甲と武装部分は赤
装甲の合間から見える本体部分は黒という赤を主体とした
赤と黒のアマテカラーと呼ばれるアマテ王国軍が統一使用する
カラーリングが施されている
その中で唯一、白と赤でカラーリングされたティアマが
フォーの乗るティアマ「アマライ」であった
(アマテ王国では白と赤の組み合わせは国で唯一の存在である
国王を意味する。フォーのティアマがそのカラーリングを使用しているのは
戦場で国王の代理人としての権限が認められているからである)
フォー「センサーと目視による索敵を急げ
シャーリー、宇宙からは見えないか?」
シャーリーからの応答は無い…
フォー「ジャミング層を張られているな
宇宙からの支援は暫く無い
各員、目視とセンサーによる索敵を急げ」
進行レーザーによる着弾地点を敵に知られている為
伏兵の索敵をする
イース「敵機4の機影を北東100km先に発見!!」
フォー「よし!全機殲滅へ向かうぞ!!
イースとジャーは引き続き索敵を優先しながら
着いて来い」
フォーの指示と共に7機のティアマは
北東方向へと移動を開始した
今まさに第2次シファ戦争の幕が開けたのであった―