1話
他にも作品がありますが、他のも随時投稿していきます。
仕事の行きに書いた話です。
長いですがよかったら最後まで読んでください。
評価、ブックマークも良かったらお願いします。
1話
自分の意思とは関係なく、閉じる瞼を擦りながらベッドから起き上がる。
時計を見ると時刻は既に11時、
「寝すぎた」
携帯のロックを外して、目覚ましの設定を見てみる。
特に目覚ましが掛けられているような感じはしない。
頭をかきながら、タイマーを設定したかを思い出してみる。
確かに、10時にセットしたはずだが、その後の記憶が全くない。
でも、そんなのどうでもいい。
「2度寝か」
どうせ、そんな所だ。
考えでもしょうがない。
別に予定があるから、10時に起きようとしたわけではない。
ただ、何となく、12時過ぎに起きるのは時間を無駄にしてる感がある。
だから、それより前に起きようと目覚ましをセットした。
ただ、それだけ。
俺は携帯をポケットにしまい、自分の部屋を出た。
リビングに出ると、机の上には食事が置いてあった。
朝ごはん、いや量的に昼ごはんだろう。
ポケットから再び携帯を取り出すし、メッセージを確認すると、
『おはよう、今日は何時に起きたのかな?
夜更かしもいいけど、ほどほどに、
お父さんと出かけます。
昼ごはんはテーブルに置いてます。』
という、メッセージが母さんからきていた。
夜更かし、しょうがないって奴だ。
今日は土曜日、つまり昨日は金曜日。
学校から解放された学生を縛るものはなくなる。
流石に、夜の街にくり出すってのは色々と問題があるが、最近はインターネットを使えば、家にいても友達と遊ぶことができる。
そのため、土日の朝はいつもこの時間の前後に起きてしまう。
そう、だからしょうがない。
「もう少し早く起きる努力はしてんだけどな」
そんなことをつぶやきなが、テーブルに置いてある、ご飯を電子レンジに突っ込む。
そして、テレビのリモコンを取って、電源を入れた。
『大型トラックの荷台の積荷が落下する事故がありました。』
電源を付けて最初に目に飛び込んで来たのはニュース番組だった。
今日の朝に起きた事故を放送していたが、
ポチ、
意識の高い学生なんかはそのままニュース番組でも見ながら、ご飯を食べるのだろう。
だが、そんなものを持ち合わせていない俺は直ぐに番組を変えた。
「何か面白いのないかな?」
そんなことを呟き適当にチャンネルを変えていった。
結局、気になる番組もなく、録画した中から適当なバラエティ番組を映してリモコンを置いた。
チン、
丁度、電子レンジで温めていたご飯も出来たので、取り出すと、
ブブブーーー、
ポケットの携帯が震え出した。
画面を見ると、母親からの電話であった。
外を見てみると、雨が降りそうな天気で、洗濯物がある。
洗濯物を中に入れて置いてくれ、そんな所かな。
電話の内容を予想しながら、俺は電話を出た。
『でたてだ、』
母さんは少し慌ただしい様子であった。
『落ち着いて聞いてね?』
「ああ、うん」
いつもと違った様子に、こっちも何か感じ取って辿々しい返事で返した。
『ウミちゃんが今朝、事故で病院に運ばれたの』
えっ!?
海音、事故、病院?
突然の事で、聞いた内容の単語が頭の中で回っていく。
『ちょっと心配だから見に行ってくれない?』
「ああ、わかった。場所は?」
頭の中の整理はまだ出来ていない。
でも、直ぐに病院の場所を聞き、ご飯に手を付けることなく家を飛び出した。
-----------------------
肩で息をしながら、病院の受け付けで聞いた部屋の前には1人の男が顔を下に向けて立っていた。
「峰?」
確信がないなか聞いてみると、男は俺の方に顔を向けた。
その時に見えた顔で男が'藤 高峰'という事が分かった。
いつもの明るい様子と違う、塞ぎ込んだ雰囲気を放つ峰が一瞬知らない人に見えた。
それだけ、いつもと違った。
「一星も来たのか」
峰がここまで変わるのは無理ない。
峰は事故が起きてこの部屋の中にいるはずの海音こと、'守谷 海音'の彼氏なのだから。
ただ、父親同士が昔からの中で幼なじみである俺との関係よりもずっと深い。
そんな相手がこうなっている状態で、いつもの明るい様子ではいられないだろう。
「それでどんな感じなんだ?」
ただ、気遣いが出来るほど俺も余裕は無い。
先にいて、ある程度状況を理解しているはずの峰に状況を聞いた。
「一応無事に手術は終わったらしい。命にも別状はないみたい」
「そうか、」
とりあえず、最悪の状況ではなく、俺の肩は少し下がった。
「今は中で、医者と海音の両親が話してるって所だな」
震える声で峰は話してくれた。
ガラ、
話が終わると同時に部屋の扉が開き、海音の両親と医者が出てきた。
「イチくんも来てくれたのか」
海音の父親が俺の顔を見るなり、そう言った。
とりあえず、
「ご無沙汰してます」
と、挨拶をしながら礼をした。
「来てくれてありがとね。とりあえず、海音は大丈夫だから」
父親も簡単に礼を言って、俺の肩を掴みながら状況を教えてくれた。
「それは良かったです」
峰からも聞いたが、より詳しい人の話を聞いて体中の力が抜けた。
「海音は今?」
そして、俺たちの会話の様子を伺っていた峰が、より詳しい状況を求めて質問をした。
「今は寝てるよ。その内起きると聞いてる」
「そうですか」
峰は再び下を向いた。
直ぐには話すことが出来ない状況で心配をしているんだろう。
そんな様子を見て、
「君たち昼はまだだろ?」
海音の父親は財布から5千円取り出し、
「これで何か食べて来なさい」
と、渡してきた。
「でも、、、」
色々な考えで戸惑ってる峰に、
「なに、起きたら連絡するからそれまでの間はゆっくりしなさい」
そんな優しい言葉をくれたが、まだ戸惑っている様子で、
「そんな辛気臭い顔で合われても、ウミが困っちうしね」
そう付け加えてくれたので、
「そうっすね、じゃあ行ってきます」
俺はお言葉に甘えて、お金を受け取って峰の手を掴み、
「おい」
少し戸惑っている様子の峰を無理やり連れ出した。
-----------------------
「今日は部活休みだったのか?」
「ああ」
あの後、俺達は近くにあったファミレスに入り、ご飯を食べることにした。
「珍しいな。いつも土日の午前は練習だろ?バスケ部は」
「昨日、夏の大会で負けて新チームになるから今日休みなんだ。海音も同じ理由で、」
あー、踏んじまったかもしれない。
そういう所がダメだよな。
俺って、
「そいつはすまんな」
「別に気にしなくていいよ。先輩達がいなくなるってので、確かに昨日は悲しかったけど、自分の代になるって事で今は少したのしみだよ」
なら、良かった。
「ありがとな」
俺が目の前にある料理に手を付けていると、何の前触れもなく突然、峰は礼を言ってきた。
「気を使ってくれたんだろ」
「えっ?」
「大丈夫、もう落ち着いたから」
「違うよ。気なんて使ってない、ただ腹が減っただけだ」
軽く笑いながら、目の前の料理を再び食べ始めた。
「やっぱり、優しいよお前。俺と海音の仲を取り持ってくれた時も」
そんな懐かしい事を言い始めた。
1年の時に同じクラスで仲が良かった峰は、同じバスケ部の海音を気になっていた事を俺に話した。
幼なじみだから取り持ってくれないかと。
180越えで結構モテるのにこういう事は奥手なんだ、意外、みたいな感想を思った気がする。
俺はその頼みを断る理由が特になかったから了承した。
海音にもその気持ちがあるのはなんとなく分かってたしな。
だから、優しいとかじゃない。
結局、俺が何もしなくても同じ結果になっていたと思う。
だから、別に俺は優しくない。
気なども使ってない。
ブブブー、
テーブルに置いてあった俺の携帯が鳴った。
画面を見ると海音の父親だった。
『とりあえず、ウミが起きたよ』
とりあえず?
気になる言い回しだ。
『一旦もどってこれるかい?』
「はい、直ぐに」
俺は電話を切り、
「早く食べよう。起きたらしい」
「ああ、」
俺の言葉聞いて峰の食べるペースは上がった。
俺も目の前の料理を食べながら、考えた。
言い回しも気になったが、あまり嬉しそうな声色に聞こえなかった。
何かある。
まだ、何かある。
後遺症とかか?
ともかく色々と考えながら、料理を口へと運んで行った。
-----------------------
ガラガラ、
俺たちはご飯を食べ終わり、病院へと戻ってきた。
海音の父親の不思議な発言は峰には言っていない。
俺のただの取り越し苦労だといいんだが、
「海音」
ベットの上で座っている海音を見て、峰が名前を呼んで駆け寄ろうとすると、
「誰ですか?」
その言葉で、時間が止まった。
一瞬だったが、確かにこの部屋の時間は確かに止まった。
次回は未定です。
Twitterや活動報告で適当に次回については更新してます。
Twitter:@tScRxzYLtrcGXnG
良かったらフォローお願いします。