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天使との出会い

かおりは朝日で目が覚めた。昨晩は飲みすぎたようで二日酔いで少し頭が痛い。ベットで寝返りを打つと、隣に住む女子高生のゆいが裸で寝ていた。




「え?」




よく見ると自分の姿も裸だった。




「なに?なに?全く覚えてない・・・」




香は唯を見ながら思った。




「かわいい・・・違う!違う!これ犯罪だよね。ダメだよね。でも何にも覚えてないし・・・」




香が苦悩していると、唯が目覚めて香に声をかける




「おはようございます。昨日はありがとうございます。あの、その・・・すごかったです」




唯はシーツで半分顔を隠しながら言っている姿に、一瞬ドキッとするが、そのまま香は青ざめる。


心の中で「なにやった???」である。唯は続けて香に伝える




「あの、これからよろしくお願いします」




香は戸惑いながら




「ああ、よろしくね。」




いったい何の話だ・・・





香は1週間ぐらい前からの記憶を思い出す




バリバリと働くキャリアウーマンとして働く香。職場では上司や後輩からも慕われて、仕事がうまくいっている。問題は、世間一般で言うところワーカーホリックである。労働基準法とは?というぐらいの勤務時間であるが、本人は全く気にならない。唯一の楽しみと言えば、休みの日の酒である。




とある休み前の仕事終わり、香がコンビニによって、大好きな缶チューハイを大量に買い込む。


帰り道歩きながら1本飲み干す。




「あー最高!!!たまらん!!!」




言動はまるでおっさんである。




自宅アパートに到着し玄関の前まで行くと、隣の部屋の玄関の前で隣の女子高生が座っている。いつもなら気にせず部屋に入るのだが、アルコールも入って気分がよかったのか。声をかけてみた




「どうしたの?こんなところで」




唯は答える




「ママが、男を連れ込んでいるので・・・」




余計なことを聞いた・・・香は少し後悔した。


唯は続けて答える




「たぶん、今日の人はもうじき終わるので」




「今日の・・・」




意味に気が付いたが、この先を言うのはやめた。そのまま一言




「そうなんだ、体に気を付けてね。」




そういって香は部屋に入る。




寝るためだけの散らかった部屋で、香は缶チューハイを開けて思う




「私なんか28歳にもなって一人目もまだなのに」




高校大学時代陰キャで過ごし、社会人になりバリバリ仕事をしていたせいか、男性経験は全然なかった。






その後、数日間毎日のように唯が玄関の外で座っているのを見かけ、香は唯に話しかける日が増えた。


香は唯と話をすることで、心が癒されていた。 





次の終末、香は例によって遅くまで残業をしていた。休み前で無理をしすぎていたが、一緒に残っていた後輩の女性社員から声をかけられる。




「香さん、たまには一緒にご飯でもいかがですか?」


「う~ん、たまには行こうか。どっかそこら辺の居酒屋でいい?」


「はい!じゃあ早く片付けて帰りましょう。」




後輩社員から仕事のことをいろいろ相談を受けながら、どんどん酒が進む。




だいぶ酔っぱらって後輩にタクシーを拾ってもらう。




「香さん大丈夫ですか?一人で帰れます?」


「大丈夫!大丈夫!ねぇ、ぎゅーってして」


「はいはいぎゅー、なんか香さんってアルコールが入ると別人ですね。それじゃあおやすみなさい」




帰路に向かう途中、コンビニに寄ってもらい缶チューハイを買い込む。




自宅に戻ると、いつものように唯が玄関前に座っていた。いつもより元気がないように見える。しかし軽く挨拶をすると香は自宅に入っていった。




いつものように散らかった部屋で缶チューハイを手に飲み始めるが、なんとなく唯のもとへと足を運んだ。そのときは何かが違った。唯はいつもよりもずっと弱々しく、寂しげに見えた。




香は、ただ横に座って話を聞いた。座ったときに唯から一言言われる




「香さん、今日はずいぶん飲んでいますね。」


「酒臭いって?」


「はい・・・」




大人になると建前を言う人が多くなるが、正直すぎる発言も新鮮だった。




香は元気の無い唯を気にしながら、何かもっとできることはないかと考え始めた。




「家に入って、暖まらない?」




香が提案すると、唯は一瞬驚いたような表情を見せたが、やがて小さく頷いた。二人は香の部屋に入る、散らかっている部屋を大雑把に片づけて、暖かいココアを渡した。唯は震えていた手でココアを飲みながら、何かを言いたそうにしている。香は唯の手を握った。




「冷た!!どのくらいあそこにいたの?」


「帰ってきてから、ずっと・・・」


「ちょっと待って、お風呂沸かすから入りなさい」




半ば強引にお風呂に入れる。とりあえずの着替えを用意し




「着替え置いておくから、唯ちゃんの服は洗濯しちゃうよ。」


「すいません。ありがとうございます。」




お風呂場からの声は少し落ち着いた感じだった。





唯は風呂から出て香が用意した服を着る。当然サイズは大きくぶかぶかだったが、香の服を着ることが、唯にとって少しうれしかった。




香はお風呂上がりで、自分の服を着ている唯がとてもかわいく見えた。




「これはだいぶ酔っているな」


「え?」


「ううん、何でもない。ところでさっき何か言いたそうじゃなかった?」




香の問いかけに唯は言いずらそうにしていたが、少しづつ話をし始めた。




「ママが出ていった・・・」


「は?高校生の子供を置いて?」


「はい、たぶん今まで連れてきた男の人のだれかと一緒に」




香は絶句した。普通なら考えられない。


しかし香はぶかぶかの服の隙間から唯の体に違和感を感じた。




「ごめん唯ちゃん。嫌なら言って」




香は唯の服を無理やりまくし上げ背中を見た。そこにあったのは無数の傷跡だった。




「唯ちゃん、これって・・・」




そこにあったのは虐待の後だった。唯はそのまま泣き出してしまった。今までせき止められていたものが、決壊したようにあふれた涙が止まらない。そのまま香は唯を抱きしめた。




「大丈夫。大丈夫だよ唯ちゃん。ここにはそんな酷いことをする人はいないからね」




唯が落ち着くまで抱きしめ続けた。




「あの、すいません。ありがとうございます」




唯が落ち着いたところで、香は離れて座り缶チューハイに手を伸ばす。香は重い話に飲まないといられなかった。




「ごめんね。未成年の前でこんなに飲むものじゃないけど、ちょっと飲みたい気分だからね。」


「今日は泊っていきなよ。別に一人だからたいして困らないから」




唯は、また泣き出してしまった。泣きながら香にお礼を言う




「ありがとうございます。これからどこに行けばいいかわからなかったんです。ずっと不安で不安で・・・」




香は唯の頭を撫でた。




「今日は私のベットで寝ていいよ。」


「そんな私はソファで寝ますから、香さんこそベットで寝てください」


「大丈夫、私はまだ飲みたい気分だからここで飲んでそのまま寝るから。明日休みだから大丈夫だよ」




香は無理やり唯を寝室に連れて行って、ベットに寝かせた。




「何かあったら言ってね。しばらく飲んでいるから。」


「ありがとうございます。」




椎名は一言言って目を閉じた。香はまた一本缶チューハイを開ける。




「酷い。こんなことが隣の部屋で起こっていたなんて・・・ずっと我慢していたんだろうな」




唯の傷を見て辛い気持ちになった。家の前で外に座っていたのには、きっと唯なりのSOSだったのだろう。気づけなかった自分が悔しくなって、何本も缶チューハイを開ける。完全に泥酔状態になったとき、寝室から唯が出てきた。




「あれ~唯ちゃん寝ないとだめよ。」


「だいぶ酔ってますね。」




唯は、ダメな大人の姿を見ながらも、今しかないと覚悟した気持ちで香に伝えた。




「香さん、少しの間でいいので、ここに泊めてもらえませんか?私、掃除でも洗濯でも何でもしますから。」




突然の言葉に、香はきょとんとしたが、たぶんそうなるだろうと思っていた香はあっさりと言った。




「いいよ。そんな少しの間とか言わなくていいから、ずっといなよ。どうせ私ひとりじゃ掃除も満足にできないし」




唯はまた泣き出した。かなり覚悟していた決断だったのかもしれない。しかし香は唯のほほに手を当て強い口調で言う。




「でもね。唯ちゃん!そんな簡単に何でもしますとかって言っちゃダメ!悪い大人に騙されるよ」




唯はそのまま香に抱きつき、少し震えながら香に伝える。




「香さんは悪い大人ですか?。私は香さんなら何でもします・・・香さんは理想の人ですから」




顔を真っ赤にしながら、うつむいている。




「ありがとう唯ちゃん。とりあえず明日からのことは、寝てから考えようか」




香は少し照れながら、唯を寝室に連れて行った。


唯はベットに横になる前に香にお願いをする




「あの・・・一人でいると不安になるので眠れるまで一緒に寝てもらえませんか」


「いいよ、子守歌は歌えないけどね」


「ありがとうございます」




二人並んでベットに入る。唯が何かごそごそとやっていたが、香は飲みすぎのせいかすぐに寝てしまう。




しばらくして香は目が覚めた。なにか体にまとわりついている。すぐに抱きついている唯だと気が付いた。その顔には、涙の跡があった。唯にこんな思いをさせた親を許せなかった。そのまま香は唯を優しく抱きしめた。そのとき香は唯が服を着ていないことに気が付く。唯は香の目を見ながら伝える。




「香さん、忘れさせてください」




唯は香を見ながら目を閉じる。




「後戻りできないかもよ。」




酔いが残っているのだろうか、香はその場の空気に流され唯の唇にキスをする。そのまま服を脱ぎ、二人は愛し合う。2人は求めあい続けそのまま眠りにつく・・・






香は記憶を取り戻す。






「やってたー!!!」


「いやいや私の初めてって女子高生?いやいやそうじゃない!そうじゃないって!!!」


「どうするコレ、どうしよう・・・」




青ざめた顔で振り返り唯を見る。シーツで顔を半分隠している姿を見て




「かわいい♡って違ーう!!!あれ私ってそういう趣味だった?」


「今まで経験がなかったのって、女の子が好きだったの?」


「いやいやそうじゃない。大問題でしょ・・・」




いろいろ支離滅裂になっているところに唯は一言いう




「不束者ですが、これからよろしくお願いいたします」


「嫁か!」





飲みすぎは良くないと思いながら、唯との生活が始まる。




「とりあえずお互い服着ようか」


「その前にシャワー浴びませんか?お背中お流しします」




また流されそうである

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