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生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します  作者: 桜桃
旦那様と許嫁……?
71/95

12-9

 私は今、お茶とおはぎが乗っているお盆を持ち、旦那様の部屋の前にいます。


「…………」


 ま、待つのよ、華鈴。ここで本当に襖を開けてもいいのでしょうか。

 声をかけて、いいのでしょうか。


 ――――いえ、ここで引いては駄目よ華鈴。ここで勇気を出しなさい。


 …………いや、でも……。

 ど、どうしましょう。迷惑はかけたくありません。ですが、このまま何もしないのも嫌です。


 どうすればいいのでしょう。正しい行動は何ですか?


「うぅ……」


 ――――ガラッ


「っ、だ、旦那、様……」


「そんなところで何をしているのだ? 華鈴よ」


 考えていると襖が開き、旦那様が出てきてしまいました。


「あ、あの。すいません。あの、えっと…………」


 う、うまく言葉がまとまりません。

 どうしましょう……。


「ん? もしかして、それを持ってきてくれたのか?」


「は、はい。旦那様、お疲れみたいでしたので……」


 素直に伝えると、旦那様はおはぎを見て固まってしまいました。

 やはり、ご迷惑だったでしょうか。


 …………いえ、ご迷惑だったとしても、もうここまで来たのです。後戻りできません。

 ここまで来たのなら、覚悟を決めなさい、華鈴!!


「…………あ、あの!!」


「な、なんだ?」


「私、旦那様の疲労を癒したいです!!」


 言い切ると、驚いていた旦那様は、顔を俯かせてしまった。


 怖い……。けど、旦那様は絶対に、大丈夫。

 捨てられない、嫌われない。旦那様は、そんな酷いことはしない。


 ご迷惑をかけて、すいません。

 どうか、私のわがままを受け入れてください。


 私、出来ることは少ないですが、必ずお役に立ちますので。絶対に、最後までやり切りますので。

 どうか、私にお申し付けください。


「華鈴よ」


「はい」


「――――ありがとう」


 よかった。旦那様が、笑った。

 さっきまで固い顔を浮かべていましたが、今は少し力を抜いています。


 それでも、まだ不安そうです。

 いつもより、旦那様が小さく感じます。


「旦那様」


「っ、華鈴? な、何をしておるのだ?」


「両手が塞がっているので……」


 今は両手でお盆を持っていますので、抱き着く事が出来ません

 なので、代わりに頭を胸辺りにグログロと押し付けております。

 少しでも安心していただけるでしょうか。抱きつけないのが、悲しいです。


「おーおー。やっとるのぉ~」


 廊下から九尾様の飄々とした声が聞こえました。

 振り向くと、思った通り九尾様がこちらを見て、ニヤニヤしております。その隣には、顔を俯かせている氷璃様の姿。


 九尾様はいつも通りみたいですが、氷璃様が明らかに違います。

 不安そうで、今にも泣き出しそうで。心配になってしまいます。


「いかがいたしましたか、父上、母上」


「七氏、これから少し話がしたい。今回の猫花家に関わる事だ」


 あっ、猫花家の名前を出すと、旦那様の表情が先ほどより固くなります。


「あの、一つお伺いしてもよろしいですか?」


「なんだ?」


「父上は、その……。猫花家の当主、雫様となにかあったのですか?」


 旦那様の質問に、九尾様は頷く。


「それも話そうと思ってな。少々酷な話でもあるのだが、いいか?」


「はい、問題ありません」


 答えたあと、旦那様はなぜかはっとなり、私へと振り向きます。


「華鈴はどうする? もし、聞くのが嫌なのであれば席を外して構わないぞ」


 あっ、酷な話と九尾様が仰ったので、私が聞くの辛いかもしれないと配慮してくださったのですね。


 旦那様は、自分も怖く、不安なのに私を心配してくださるのですね。

 嬉しいですが、私も旦那様の役に立ちたいのですよ。


「大丈夫ですよ、旦那様。私は、どんな話でも受け入れます。それに、旦那様を支えるのが私の役割でもあります。どうか、お話をお聞かせ願いえますか?」


 聞くと、旦那様は「そうだよな」と、父上へと振り向いた。


「お願いいたします」


「うむ。では………あー!!! 初めてだからか、緊張するのぉ~」


 笑っております。なぜ? 

 氷璃様は始終、顔を俯かせており、不安そう。ですが、九尾様が背中を撫で、落ち着かせております。


「では、こんな所で話していると疲れる。ちょうど、お茶菓子が――――あ」


「あっ」


 私が持っていたおはぎに九尾様が手を伸ばすと、旦那様が先にお盆を取ります。

 なんだか、ふてくされております。かと、思いきやおはぎを一つ、口に入れました。


「これは、我のために華鈴が作ってくれたのです、父上には渡しません」


 中に入ると、もう一つおはぎを口に入れ、お茶を飲みます。

 空になったお皿と湯呑をお盆に置くと畳の上に置き、我先に座りました。


「いっちょ前に嫉妬かぁ。愛されているなぁ~」


「あはは……」


 九尾様が笑いながら私の隣を通り過ぎ、テーブルを挟み旦那様の前に座ります。

 隣に氷璃様が座り、旦那様が私に手招きします。


 すぐに旦那様の隣に座ると、皆さま急に真剣な表情になりました。


「では、三百年も前の話だが――……」


「三百年?!」


 …………あやかしの世界、凄いです。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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