12-3
旦那様から詳しく聞くと、猫花家の娘さんである猫花静稀さんは、旦那様が大好きみたい。
今までも、犯罪まがいなことをされており、今回も宴に呼ばれて正直行きたくないと、本当に嫌そうな声で伝えてくださいました。
「それで、だ。華鈴よ、仮に、仮にだ」
「は、はい」
「仮に、我が静稀に誘惑されていたり、抱き着かれていても、それは我の本心ではない。心底不愉快と思っている」
「は、はい!」
それは、今回の話でなんとなく伝わりました。
でも、珍しいです。旦那様がここまで言うなど。
「我は、抱き着かれるのも誘惑されるのも、華鈴が良い。華鈴でなければ嫌だ」
っ、もう!!!
い、いきなりそんなことを真面目なトーンで言わないでください!!
流石に、その、照れてしまいます……。
「で、ですが、旦那様がそこまで言うのも珍しいですね。その、私はすごく嬉しく思いますが、あの、なぜ、そこまで不愉快に思うのかを聞いても、よろしいですか?」
「簡単な話だ。我が積極的な女性が苦手なのだ」
積極的な女性が、苦手。
確かに、旦那様はなんとなく、気の強い女性や肉食系の女性には戸惑い、押されてしまいそうです。
嫌でも、旦那様はお優しいので、完全に拒否できないのでしょう。
「あっ」
「なんでしょう?」
何かを思いついたのか、旦那様の口元が薄く横に伸びます。
どうしたのでしょうか?
「積極的な女性が苦手と言っても、華鈴になら何されても嬉しいぞ」
「~~~~っ!! もう!! 旦那様!!」
「あっはっはっはっ!!」
笑い事ではありませんよ旦那様!!
こういう時でも私をときめかせるのがお上手なんですから……。
でも、今の話を聞いて、少し不安になりつつも、私は旦那様が離れてしまう心配がなくなりました。
流石に、旦那様に抱き着く女性を見たら、その、嫉妬――は、してしまうかもしれませんが、それだけです。
旦那様がいなくなる不安や心配はしません。
「…………旦那様」
「なんだ?」
「話しにくい事を話して下さり、ありがとうございます。宴、楽しんできてください!」
私が言うと、旦那様は動きを止めた。
おそらく、驚いていますね。白い布で隠れていても、なんとなくわかります。
「くっくっくっ。やはり、我の妻は強いな。完敗だ」
「違いますよ、旦那様」
「違う、とは?」
ふふっ、それはですね、旦那様。
「私は、旦那様が隣にいてくださるので、強くなれるのです。一人では、絶対に強くなどなれません。――――いいえ。生きることすら出来ません。なので、お互い様です」
言い切ると、旦那様はフッと口元を緩ませます。
手を私へと伸ばすと、抱き寄せられました!?
「だだだだ、旦那様!?」
見上げると、白い布の隙間から、藍色の瞳が覗きます。
綺麗で澄んでいる、藍色の瞳。私が大好きな、旦那様の瞳。
「やはり、完敗だ、華鈴よ」
私の額に、旦那様はキスを落す。
優しい、旦那様らしいキスを。
「我には華鈴だけだ。絶対に、何が合っても、な」
「はい。信じています、旦那様」
旦那様は、絶対に私を裏切りません。
信じていますよ、旦那様。
※
「話したらしいな」
「はい。これで、我は心置きなく宴へと向かえます」
廊下で待ち構えていたのは、ニヤニヤと笑っている父上。
なんとなく、父上の手のひらの上で転がされているような気もしますが、いいです。
華鈴に不安な気持ちをさせるくらいなら、手駒にされます。
「では、宴の返事をしよう」
「…………………………………………はい」
「長い沈黙だな。覚悟を決めたのではないのか?」
「覚悟は決めました。ですが、嫌なものは嫌なのです」
「男に二言はないだろう?」
「…………はい」
「…………今回は、ワシが返事を書こうぞ」
え、それはいいのか?
「ですが、父上。我に届いた手紙を父上が書いてもよろしいのでしょうか? なにか、へんに思われませんか?」
「いいのだ。それに、もうそろそろ一度、言わなければならんこともあるからな」
言わなければならないこと?
なぜか、父上の表情が険しく歪む。何かを思い出しているみたいだ。
「安心せい。変なことは書かんぞ」
「は、はぁ…………」
父上は我の頭を撫でると、手を振りながら廊下を去って行った。
おそらく、返事を書くために自身の屋敷へとお帰りになられたのでしょう。
「……………………いい加減、本当に覚悟を決めなければなならんな」
もしかしたら、我が直接既婚だと言えば、もう誘惑と言った迷惑行為をされずに済むかもしれぬ。それを期待しよう。
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