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11ー2

 私が旦那様を見上げていますと、きょとんとした顔を浮かべました。

 すると、なぜか口を押え肩を震わせます。


 ……これは、確実に笑っております。

 な、何故ですか!?


 旦那様が涙を拭きながら顔を上げ、頬を膨らませ怒っている私の頭を撫でてきます。

 むー、何なんですかぁ……。


「いや、すまんすまん、そう怒るな。愛らしいと、そう思っただけだ」


「あいっ!? そ、そんなことを言われましても、今回ばかりは簡単に許しません!!」


「そう言う割には、頬が緩んでおるぞ。やはり、可愛いな、華鈴よ」


 むむむっ、頬をフニフニと触ってきます。

 優しく微笑みかけられると、どうしても頬が緩んでしまうのです、仕方がないのですよ!!


「華鈴よ」


「は、はい!」


「華鈴は、我を心配し過ぎだ。我はぬしが思っているより、弱くはないぞ」


 ――――――――え、い、いや。あの、ち、違います!! そういう事ではないのです!!


 旦那様を弱いと思っているわけでは決してないのです!! そうお伝えしたかったのですが、旦那様が先に言葉を続けてしまいました。


「我は、ぬしに我慢ばかりさせていたなと思ったのだ。確かに長の仕事は沢山あり、あやかしの世界の管理も、我がしなければならん」


 はい、存じております。

 だから私は、旦那様が無理をしないように。

 少しでも負担を減らせるようにと思っているのですから。


「だがな、我個人としては、ぬしにはもう少しわがままを言ってほしい。男とは、頼られると嬉しいものだからな」


 頼られると嬉しい………本当でしょうか。

 ご迷惑にならないのでしょうか、お仕事の邪魔にならないのでしょうか。


「うむ、疑っておるな?」


「あっ、い、いえ。旦那様を疑うなど、そのようなことはありません!! ただ、私がわがままを言ってしまうと、今度は旦那様が無理してしまわれないかと不安になったのです……」


 捨てられた私を妻に迎えて下さり、本当の幸せをくださった旦那様。


 私は、旦那様に少しでも無理をしてくほしくないだけなのです。

 私のせいで旦那様の手を、煩わせたくないのです。


「ふむ。どうするべきか……」


「え、あ、あの!! 私の事は本当に大丈夫ですよ! 私は今もすっごく幸せですので、これ以上を求めてしまうと、私が我慢できなくなってしまうかもしれないです」


 人というものは、今以上の幸せを求める生き物だと聞いたことがあります。


 今以上の幸せを求めてしまえば、私は”もっと”と欲が出てしまう。

 出てしまった欲を抑えるのは難しいと、私自身も実感しております。

 

 今まで、何度か我慢ができず旦那様の手を握ったり、か、顔をじぃっと見ております。

 これ以上は、何をしてしまうのかわかりません!!


「…………分かったぞ、華鈴」


 あ、わかってくださいました。


 旦那様に甘えることが出来れば、私は今以上の幸福を感じるでしょう。


 ですが、それは私のわがまま。

 旦那様には長としてのお仕事があります。

 無理をさせてしまう訳にはいかないのです!!


 私が旦那様を見ますと、藍色の瞳と目が合います。

 いつの間にか黒い布は横にずらしており、顔を近づかせておりました。


 私の視界が、旦那様の瞳に覆われます。


 思考が動かず固まっておりますと、旦那様は私の背中に両手を回し抱き留めました。

 甘い、優しい温もりに包まれ、やっと思考が動くなった私は一気に心臓が高鳴り、顔が赤くなるのを感じます。


「な、なななな、だ、旦那様!? な、何を?」


「うむ。華鈴が遠慮してしまうのなら、我が甘えようと思ってな。今まで幾度か抱きしめてはいるが、やはり何度でも、何時間でも華鈴を我の腕で包み込んでいたいな」


 な、な!? ど、え? ま、え!?


 し、思考がまたしても停止です。

 これ、あの、私は、どうすれば??


「――くくっ、慌てているようだな、華鈴。いつものように、我の背中に手を回しても良いのだぞ?」


 っ! み、耳元で! 耳元で話さないでください! くすぐったいです!


 旦那様のお声は低く、体に甘い痺れが走ります!


 ……だ、旦那様の温もり、甘い香り。

 が、まんなど、できるわけがありません!


 震える手を、言われるがままに旦那様の背中に回します!


 ――――ギュッ


 旦那様の背中、大きいです。ずっと抱きしめていたい。


 ――――幸せです、旦那様に包まれております。

 これは、妻である私の特権なのです! 旦那様に包まれてもいいのは私だけなのです。


 あ、これって重たい感情というものなのでしょうか。

 旦那様にはばれないようにしなければ。


「お、そうだ。華鈴よ、今後時間を合わせ、出かけないか?」


「あ、はい!! あの、どちらにでしょうか?」


「現代だ。先週開店したばかりのショッピングモールがあるらしい。人間世界を束ねる神から教えてもらったのだ。華鈴はそのような所はどうだ? 行ってみたいか?」


 旦那様とならどこでも楽しいので行ってみたいという感情より、()()()()()()()()()()という感情が大きいです。


「行ってみたいです!」


「そうか、では三日後だな」


 え、やはり三日間は絶対安静なのですね?!!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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