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生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します  作者: 桜桃
旦那様とお買い物
5/95

3ー3

「では、先ほど仕入れさせていただきました反物をお持ちしますね。しばしお待ちください」


 のっぺらぼうさんは私達に一礼すると、お店の奥に行ってしまいました。


 お店に残された私達は、周りのお客様の邪魔にならないように端の方に移動します。


「――あっ」


 移動している途中、一つの反物に目がついてしまいました。

 それは旦那様がよく、私のために選んでくださる桜柄の反物。


 今私が着ているのは、小さな桜の花が全体にちりばめられている柄です。


 お店に置かれていますのは、裾辺りに小さな桜がちりばめられている柄。

 地の色が藍色なので、夜桜のような光景が浮かびます。


 思わず私がその場に立ち止まると、旦那様も足を止めてしまいました。


「何か気になる物でもあったか?」


「あ、い、いえ……。なんでもありません」


 値段は……十一万か。

 高いけど、今の私の貯金で買えそうです。


 元々私はお金を使う方ではないですし、貯金はあります。

 旦那様は桜が好きみたいですし、私も好きになりました。


 こちらの反物、欲しくなってしまったので、今度買いに来ましょう。


 よしっと、心に決め歩き出そうとしたのですが……。



 ――――――――グイッ



「っ、え?」


「華鈴よ、もしかしてこれが欲しいのか?」


「へ?」


 前に進もうとすると、旦那様に手を引っ張られてしまいました。


 振り向くと、旦那様が私が見ていた反物を片手にとっております。


 き、気づかれておりました……。


「ふむ、確かにこれは綺麗だな。夜桜が浮かぶ素敵な代物だ」


 あっ、私から手を離し、反物に集中してしまいました。


 顎に手を当て、何かを考えております。

 何を考えおられるのでしょうか。


「よし、これを今日は買おうか」


「へ? い、いやいや! そのような高価な物なんて、私には恐れ多いです!」


「何を言っている。今着ている着物はこれより高いぞ?」


「え、そうなのですか?」


 今着ている着物は、旦那様が私に似合うと言って衝動買いをしてしまった時の物と聞いております。


 え、この桜の着物って、おいくらだったのでしょうか。


「…………あ、あの。ちなみに、今私が着ている着物は、おいくらだったのでしょうか?」


「ふむ、細かくは覚えてはおらぬが、確か三十以上はしたはずだぞ」


「三十以上!?」


 ま、まさか、衝動買いした着物が三十万以上。さすがに驚きで声を荒げてしまいました。


 下品な声を出してしまいました! 

 は、恥ずかしいです。


「ククッ、いい反応だな。……そうか、今着ているものも考えると、さすがにこれだと安いか」


「安いのですね…………」


「うむ、わかった。もっと良い布で同じ柄を作らせようぞ。そうすれば、ぬしに合う着物を手に入れる事ができるぞ」


 そ、そんなことを言われましても。

 私には恐れ多いと言いますか、私は普通の安っぽい着物でいいのですが……。


「お待たせしました」


 あ、のっぺらぼうさんが戻ってきました。


 手には一枚の反物。色は、藍色? あれ、桜の花が控えめに刺繍されているように見えます。けど、長くないですか?


「おい、それは女性物か?」


「いえ、今回仕入れましたのは男性ものですよ。七氏様に似合うと思いまして―――おや?」


 のっぺらぼうさんが旦那様の持っております反物を見て、意気揚々と近付いていきました。


 顔を近づかせ、自身が持っている反物と旦那様が持っている反物を何度も見比べております。


 …………少々、近くありませんか? 

 私の旦那様なのに、近すぎます。


「いい物をお選びですね。ですが、もう少し良い物も準備ができますよ。いかがいたしますか?」


「そうか、見せてもらっても良いか?」


「今、お持ちしますね」


「あぁ」


 また、奥に行ってしまいました。

 旦那様は反物を綺麗に畳み直し、しっかりと元の場所に戻しておられます。


「まさか、もっと良いものがあるとは思わんかったな。今回は良いものを手に入れられそうだ」


「そうですね。旦那様のお着物も新しい物に新調できそうで、私も嬉しいです!」


 旦那様は私に髪飾りや耳飾り、着物などを沢山買ってくださります。ですが、自分には無頓着なところがあるのです。


 着物は女中さんが言わないと買いに行かないようですし、長の仕事も誰よりも頑張ってしまうので、周りの人は困っています。


「我は特にいらんのだがなぁ」


「私が見たいのです。駄目でしょうか?」


「駄目ではないが、面白いものではないぞ? 男が着飾るより、女性が着飾った方が楽しいだろう」


「そうですが……」


「それにな、女性は華だ。着飾れば着飾る程、その人を輝かせることが出来る。男には限界があるが、女性は無限の可能性が隠されているんだ」


 "女性は華"。旦那様はそのように思っているのですね。だから、女中さんにも素敵な着物を渡しているのでしょう。


 誰にでも優しい旦那様、女性への考えは素敵ですが、私は少し嫉妬してしまいます。

 嫉妬深いのは、どうか、お許しください。


「お、来たようだな」


 奥に戻ってしまったのっぺらぼうさんが、両手に反物を持ち、戻って来ました。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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