9ー4
「私は駄目な嫁です、お掃除や料理が出来ない、駄目な嫁です」
お二人の顔を見れず、壁側に移動し三角座りで懺悔中です。
うぅ……。旦那様を喜ばせたかっただけなのに、またしても困らせてしまいました。
二口女さんも、忙しい中私のために時間を割いてくださったのに……。
私は、なんでこんなにも出来ないのでしょうか。
なぜ、迷惑をかけてばかりなのでしょう。
何か出来るようにならなければ、また捨てられてしまうかもしれません。
――――そんなの、絶対に嫌です、今の生活を手放したくありません。旦那様や二口女さん達と離れたくないです。
ですが、私がいると迷惑をかけてしまいます。
私のわがままだけで、他の人に迷惑をかける訳にはいかないのです。
でも、でも……。
――――――ふわっ
涙を我慢し俯いていると、後ろから甘い香りと共に優しい温もりに包まれます。
横を向くと旦那様が黒い布を横にずらし、私を夜空のような藍色の瞳で見つめておりました。
「だ、旦那様?」
後ろから抱きしめられています、心臓が高鳴り顔が赤くなってしまいます。
ど、どうしたのでしょうか。めんどくさい態度を取ってしまったため、怒ってしまわれたのでしょうか。
「あ、あの、あの……?」
一人で慌てていますと、旦那様がフッと笑いかけてくださいました。
「華鈴、失敗は誰にでもあるのだぞ。一度うまくいかなかったとしても、諦めず何度も繰り返す事により出来るようになる。ぬしなら出来るようになると、我は信じておるぞ」
旦那様のお言葉に、二口女さんも後ろで小さく頷いております。
…………そうです、なんでも一回で出来るなんてことはありません。
何度も何度も繰り返し、それで成功していくのです。
「華鈴、まだまだ練習できるぞ、共に頑張ろうぞ」
「はい!! ありがとうございます!!」
私はバカ者です。こんなにお優しい旦那様が、私を捨てるなどありません。
旦那様は、私を信じてくださっています。
なので、私も旦那様を信じます!!
気合を入れ直しますと、二口女さんが準備を始めてくださいました。
「では、また先ほどと同じように行っていきましょう、奥様」
「はい、よろしくお願いします!!」
旦那様と共に再度鍋の前で菜箸を握り、水分をしっかりと拭きとり、油が温まるのを待ちます。
その間、旦那様と二口女さんは、私を囲い見守ってくださっております。
今回こそ、絶対に失敗しません。必ず、成功させます。
油が温まるのを待っていると、旦那様が菜箸を掴んでおります私の手を握ってくださいました。
どうしたのでしょう、私ならもう大丈夫ですよ?
旦那様を見上げると、なにやら難しい顔を浮かべております。
「旦那様?」
「い、いや。やはり、油跳ねを抑えられる方法があると言っても、危険なことには変わりはない。華鈴が火傷しないか、怖いものは怖いのだ。だが、華鈴が練習したいのを止めるのも我にはできん。だが………」
先程とは違い、旦那様が不安そうに鍋を見つめています。
――――ふふっ。旦那様を見ると、気持ちが落ち着きました。
旦那様、可愛いです。
今も心配の声が口から零れておりますよ。
「油も温まりましたので。奥様、唐揚げのご準備をお願いできますか?」
「は、はい!!」
旦那様が私から手を離してしまい少し寂しいですが、また時間をかけてしまうと煙が出てきてしまうので我慢です。
息を飲み、唐揚げを掴み鍋の上に添えると、タレが落ちてしまい、じゅわっと音をたて油が少々跳ねてしまいました。
「ひっ!」
「大丈夫か! 華鈴!」
「だ、いじょうぶです!」
負けられない、私は負けませんよ!!
「………………?」
旦那様、自分が入れる時より緊張しているように見えます。
それだけ私を心配してくださっているという事でしょうか。自惚れでしょうか。
…………いえ、今はスピード勝負です、頑張りますよ華鈴!!
深呼吸をし、再度油に集中。
パチパチと音を鳴らしているので正直怖いですが、やるしかありません。
震える手で唐揚げを油にゆっくりと寄せ、優しくを意識して油に入れます。
――――ジュワァアアア
っ!! 油が跳ねてしまいましたが、無事にお肉を投入できました!!
「だ、旦那様!! 出来ました、出来ましたよ!!」
「あぁ、見ていた。よくやったぞ華鈴!!」
旦那様が私の頭を撫でてくださいました、嬉しいです!!
この調子で次々と唐揚げを作りますよ!
途中からは跳ねないように入れるコツも掴め、最後にはスムーズに揚げられました。
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