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生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します  作者: 桜桃
旦那様とお料理 修行編
45/95

9ー1

「今日はよろしくお願いします! 二口女さん!」


「はい、こちらこそ。よろしくお願いします」


 私は今、台所で二口女さんと一緒にいます。


 着物の裾は二口女さんがしっかりとたくし上げてくださったため、汚れる心配はありません。

 髪は一つにまとめ衛生面もばっちり、準備完了です!


 前回、旦那様のお手伝いをしたく手料理を振舞おうとしたのですが、思っていた以上に私の腕がなまっておりましたので、二口女さんに無理を言って教えていただけることになったのです。


 旦那様に心から「美味しいぞ、華鈴」と言っていただくため、練習、頑張ります!


「では、今日は唐揚げにしましょうか。まずは下ごしらえからです。作り方などはお分かりですか?」


「はい! 作り方は頭の中に入っています。……ですが、作ったことはないです。食材を買うお金がなかったもので…………」


 お肉は本当に高くて、現代に居た時は触れることすら出来なかった高級食材です。


「知識があるのは素敵な事です。でしたら、口頭での説明は不要ですね。早速、入りましょうか」


「はい!! よろしくお願いします!!」


 よぉし!! 頑張りますよー!!

 えい! えい! おー!!!


 ※


 味付きタレの中に、食べやすい大きさに切ったお肉を入れ、下ごしらえは完了です。


「ここまで何事もなく出来ましたね」


「ありがとうございます!」


 あとは、お肉にタレを染み込ませる為に時間をおきます。


 どのくらい待てばよろしかったでしょうか。

 一時間、二時間でしたっけ……。


 私が過去の記憶を思い出していますと、二口女さんがエプロンを取り始めます。


「では、十五分くらいでおそらく出来上がると思いますので、待ちましょう」


「え、十五分くらいでよろしかったんでしたっけ?」


「えぇ、大丈夫ですよ。浸し過ぎると逆に味が濃くなってしまいますので。それに、お身体にも悪いです」


「お、お身体に悪いのは駄目です!」


 お身体に悪いのなんて、そんなの絶対に駄目です。

 旦那様のお体に不調が現れてしまうかもしれませんし、お仕事にも影響してしまいます。


 旦那様のお手伝いをしたくお料理の練習をしているのですから、失敗は許されません!


「十五分間ここから離れても大丈夫ですが、いかがいたしますか?」


「あ、私は特に何も無いので、ここにいます」


「分かりました。では、私は少々席を外します」


 腰をおり、二口女さんが台所から廊下の方へと姿を消します。

 やることが沢山あるというのに私のワガママにお付き合い下さり、本当に感謝しか出てきません。


 二口女さんにもなにかお返しできたらいいのですが、生憎私にできることは少ない。

 なにか、ないでしょうか……。


「うーん、なにか……」


 台所で悩んでいますと、廊下の方から足音が聞こえてきます。二口女さんが戻ってきたのでしょうか。


 ――――いえ、さすがに早すぎます。

 今さっき出て行ったばかりです。戻ってくるわけがありません。


 でも、そうなると…………?

 廊下を見ていると、足音を鳴らしていたご本人が顔を覗かせました。


 その方は、私の愛しの旦那様!!


「やっておるか?」


「旦那様!!」


 旦那様が顔に黒い布を付けて顔を覗かせます。


 う、嬉しいです! 可愛いです!!

 旦那様、気にしてくださっていたのですね。


 私の隣まで移動し、頭を撫でてくれます。

 暖かい、旦那様の大きな手。ほっこりです。


「今日は何を作っておるのだ?」


「今日は唐揚げですよ。旦那様は、唐揚げお好きですか?」


「あぁ、好きだぞ」


 下から見上げる形となっておりますので、旦那様の笑っておられる口元が見えます。

 遠慮して言っているのではなく、本当に好きなんだとわかり、私の口角も勝手に上がってしまいます。


 ――――って、駄目! 駄目ですよ華鈴。

 旦那様の目の前でだらしない顔を浮かべてはいけません!


「今は何をしているんだ?」


「お肉を味付けのタレに浸しているところです。あと十分程度浸しましたら、油であげるんですよ」


「…………あ、油? 危険ではないのか? 母上が油は危険だからと、我を台所に入れなかったぞ? 怪我はしないか?」


 油と聞いた瞬間、旦那様が突然あわあわと焦り始めてしまいました。

 慌てて、私の心配をしてくださいます。


 も、ものすごくかわいいです!! 

 いつも冷静で落ち着きのある旦那様が慌てている姿、目に納めなければなりません!!


 ――――い、いえ、コホン。

 そ、そうではないです。今は旦那様の疑問に答えなければ!!


「確かに油は跳ねますし、大きな音が響くためまったく危険が無いとは言えません。ですが、気を付けてさえいれば大丈夫ですよ」


「危険が無いと、言えない、だと? 華鈴よ、怪我だけはするでないぞ? 痕が残ってしまったら大変だ」


 旦那様が今までにないほど慌てています。

 なぜ、ここまで慌てていっ――あ、そうでした。


 旦那様が今、黒い布で顔を隠している理由。

 それは、母君がお料理をしている時の事故が理由でしたね。


 母君が持っていたお湯が旦那様の顔にかかってしまい、大きな火傷を作ってしまった。


 子供の頃のお話みたいですが、今もその火傷の痕は残っている。

 それが旦那様にとって、心に深い傷となってしまっているようです。


 おそらくですが、私にも同じ思いをさせないようにと。そのように考えてくださっているのでしょう。

 今の慌て具合も、火傷をしてしまった苦しみがわかっているから、怪我をしないように言ってくださっている。


 ――――やっぱり、私の旦那様は誰よりもお優しく、素敵な方です!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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