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ノワル#3


ドラゴンのステーキを食べてあいつらとの旅が始まったその後、日が落ちかけてたからブラナが出した家で夜を明かすことになった、アタシのコートには温度調節とかの陣を刺繍してあって快適ではあったけどさすがにちゃんとした建物の中で寝るのとはわけが違いぐっすりと眠れた


「おはよーございまーす!起きてくださーい!」


うわっクソうるさっ!窓の外から聞こえてくるあの白女…ブラナの奴は朝からこんなにうるさいのかよ


「ねむぅ…」

「…………」ショボ


コイツも眠そうだな同じく朝に弱いのか?


「…ん?なんだこの匂い?」

「…………」スンスン


なんか良い匂いがする


「早く来てくださーい朝ごはんできてますよー」


やっぱりメシの匂いか、まだ微妙に眠ってるコイツも横に抱えてブラナのもとへ行く


「おはよ…ブラナ」

「ノワルさんたちもおはようございます」

「…………」


ブラナの横ででかい鍋が火にかけられていた


「朝ごはんは下竜の心臓…つまりハツのスープですわ」

「心臓の?いつとってきたんだ?」


確か昨日持ってきたのは脚だけだったような気がするんだけど


「ハツは特別に美味しいので魔法カバンの中に入れておいたのですわ」


なるほど魔法カバンか聞いたことがある、見た目より中が広くなっているカバンのことだったよな、広ければ広いほど作るのが大変なやつ


「私のカバンは特別製で食べ物が新鮮なまま保たれるのですわ」


ブラナは胸を張って言ってるけど、なにそれ?温度が低くなっているの?それとも時間が止まる?…いやそんなことはないよね?


「そんな便利な物を持っているのか」

「ええ私の国に優秀な魔道具師がおりまして少し無理を言って作ってもらいましたの」


へぇそんなすごいヤツがいるのか、ブラナが作ったわけじゃないんだな、アタシもその人に会ってみたいな


「なんで新鮮なままなんだ?」

「ああ、それはこの中が冷たく保たれているのですわ」


やっぱりそうだったか仕組みというか理論はわかるんだけど、どうやったら作れるんだろうか


「ノワルさん考え事ですか?スープが冷めてしまいますわよ」

「あっごめん」


気づいたら目の前にスープの入った皿が差し出されていた


「ありがと」

「……!」ワクワク


気づいたら横に抱えていたアイツも目が覚めたらしくアタシの後ろに並んでいて、昨日と同じようにテーブルへ座る


「では、龍神様よあなたの恵みに感謝しこの食事をいただきます、この料理を祝福し私たちの生命の糧としてください」

「いただきます」

「…………」パン


肉の出汁が出ているのか薄黄色のスープから立ち上る湯気と共に良い匂いが広がる、一口大に切られた肉…確かハツ、と葉野菜それにキノコかな?結構具材が入ってる


「あちち…」


ハフハフしながら一口食べる、ハツは初めて食べたが歯ごたえがあって噛んでいくとじっくりと味が出てくる、このいい食感で身体の中心から目が覚めるような気分になる


「……!……!」モグモグ


アイツも熱さのせいか顔を赤くしながらもすごい勢いで食べ進めていた、ブラナは言わずもがなだったが


「…ん?」


キノコも食べようとスプーンですくうと…既視感があった


「…なぁブラナこのキノコってよく歩いてるヤツじゃないか?」

「ええ、そうですわよ」


ドラゴンも食べてるし今更歩くキノコぐらいじゃ驚かないけど……味とかは普通のキノコと変わらないのな


「そんでやっぱり…」


魔力が吸収できているのがわかるモモ肉よりハツの方が魔力が多い気がする、そして少しだけどキノコと野菜からも魔力を感じる…


「……この葉っぱってなんの野菜?」

「えーと…確か薬草の一種だったと思いますけど」


やっぱり普通の野菜じゃなかったか…だけど薬草は専門外だから詳しくはわからない、もっと勉強しといた方がよかったかな…けどスープに入れてもおいしいって薬草学の本でわかるのか?


「薬草って案外うまいのな」

「自生していて美味しく食べられるものはしっかり覚えていますの」


ハハッこんなところも食い意地が発揮されてるのかよ、名前はわからないけどおいしいのはわかるって


「…………」パタパタ


あったかいスープをいっぱい食べて体が暑くなったのか手で顔を仰いでいる、途中でお代わりもしてたしコイツも結構食べるよな


「あ、そうだコイツの名前どうする?」

「その子のお名前ですか?」

「…………?」


自分の名前を喋らないからいつまでたってもコイツとかで呼んでるけどさすがにずっとコイツ呼びじゃあなぁ…まぁもともと名前がないのかもしれないけどな


「いつまでもアナタとかコイツじゃ不便だろ?」

「確かにそうですわね」

「何か案はある?」

「…………」キョロキョロ


話の内容がわかっているのか考え込むアタシたちの顔を交互に見ている


「…ではポチやタマなんてどうでしょう?」

「却下、犬や猫じゃないんだから」

「そうですか…」


うーん、ブラナに任せるのは駄目そう…アタシが考えないとかわいそうだな、とは言っても人に名前つけるなんてアタシも初めてだからなぁ


「うーん…」

「ではコロはどうですか?」

「却下、少し黙ってて」

「…………」オロオロ


まったく犬や猫じゃないって言ってるのに…パッと思いつかないな他の物から連想する?過去の英雄や花とか?髪の色…紫…ヴァイオレット…長いな……ヴィオ


「ヴィオなんてどうかな?」

「あら、思ったよりもいいお名前ですね」

「アンタもそれでいいか?」


一応本人にも聞いてみる


「……」コクッ


うん、ポチとかよりは気に入ったみたいだな


「名前も決まったしこれからもよろしくねヴィオ」

「私もよろしくお願いいたしますわヴィオさん」

「……!」コクコクッ


なんか嬉しそうだしよかった、それで気になることがもう一つ


「そういえば次はどこへ行くんだ?」

「さあ?水晶が導く淀んだ魔力のところですわ、ノワルさん今度は吸収しないでくださいね」


お読みいただきありがとうございます。


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