表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

ブラナ#1

無理の無い程度に更新していけたらなと思います


禍々しい雰囲気が漂う鬱蒼とした森の中を白い修道服を着た女性が歩いていた


「ふぅ…このあたりに魔力だまりの反応があるのだけれど…」


手に持った水晶玉の黒い靄の動きが大きくなる


「あっ見つけましたわ!」


森の中にぽっかりと開いた草木が枯れた空間を見つける、そこには黒く淀んだ魔力が渦巻いていた


「って…危ないですわ!」


魔力だまりのそばに黒いコートを着た人がいますわ!しかも触れようとしていますわ!


「へっ!?」

「ええーい」


その人の手が淀む魔力に触れる前に体当たりをして危険な魔力から遠ざけることに成功する


「まったく危ないとこでしたわ」

「痛ぇよ!いきなりなんなんだよ!」

「どういったつもりでしたの?アレに触れようとするなんて」

「そっちこそタックルする意味が分からねぇよ!……ってその白い肌アンタ北方の人間か?」


そう反論してくる彼女の肌は浅黒く私の国から遠い生まれの人間だとすぐに分かった


「なんで北の人間がここにいんだよ?」

「それは龍神様のお導きですわ荒ぶり淀む魔力を正しい方向へと導くのが龍神様の教えなのです」

「へぇそれはご苦労さんなこったね」


そう言った彼女はそっぽを向くどうやら私の話を聞く気はないようですわね、あの危険な魔力だまりに触れようとする方ですもの私が正しい方へ導いてあげなくてはなりませんわね


「私はブラナ、龍神教の聖女ですのあの淀んだ魔力がどれほど危険なのか知らない貴方の為に私が教えて差しあげますわ」

「へぇそうですか、チッ」

「そもそも魔力だまりというのは強大な魔物の死骸や大きな魔法が失敗した際などにできるもので普段なら万物を通じ流転している魔力が一つの場所にとどまってしまっている状態なのですわ」

「…」

「あの枯れた草木たちを見たでしょう?淀んだ魔力は普通の生物には毒となるのです、なので私たち龍神教の聖女が正しい流れへと導いているのですわ」

「はぁ…わかったよ、とりあえずこの魔力だまりをどうにかすればアンタら龍神教は満足するんだろ」


首を振りながら彼女は再び手を魔力だまりに伸ばし禍々しい魔力を一気に吸収する


「ちょっ…」

「アタシは魔女だ、魔女のノワル」


振り返った彼女は指先に小さな炎を灯し私の面前へと突き付けてくる


「わかった?」

「……なら先に言ってくれてもよかったではありませんの」


亜人の方でしたの普通の人だと思って注意して損しましたわ……


「えっ!?」


子供が倒れてますわ!しかも魔力だまりがあった場所の中心ですわ


「大丈夫ですか?」


急いで側に行きあまり頭を揺らさないように抱き上げる、ボロに包まれたその身体は枯れ枝のように細くとても軽かった


「……呼吸はしてるわ」

「おいアンタ」


後ろから怪訝な声をかけられる


「そんな得体のしれないモン拾って大丈夫か?」

「ええ、困っている人を救うのが聖女ですわ」

「そういうことじゃなくって……」


ノワルは頭を掻きながら言いよどむ


「龍神様よ私に力をこの者に奇跡を…ヒール」


子供を柔らかな癒しの光が包む、それが効いたのか子供の眼がうっすらと開きはじめ…



「ギャアアアアア」

「はぁ!?ドラゴン」

「下竜ですわね」


龍神様と違い知能のないただの魔物である下竜は本能のままに他の生物に襲い掛かりますから生かしてはおけませんわね


木が枯れ開けていた隙間から大きな翼の赤い下竜がこちらを睨みつけており、口の端から炎が漏れ出している


「炎を吐かれる前に仕留めます!この子を頼みますわ」

「え、えっ?」


子供をノワルさんにポイっと投げ渡しすぐに力を練り始める


「うわっ!投げんなよ危ないじゃねぇか」

「はぁああ……」

「お、おい逃げねぇのかよ」

「グルルルル」


大きく開けた口の奥が赤熱し始めている


「ガアアッッ!!!」

「せ~い~じょ~波ぁ~~!!」


合わせた両手から一筋の光線がほとばしり吐かれた炎ごと頭を消し飛ばす、残された胴体は力を失い木をへし折りながら大きな音を立て墜落した


「ふぅ、やりましたわ」

「……は?」


何やら口をパクパクさせて驚いていますわね、そんなに大きなお目目で見られますと少し照れくさいですわね


「化け物かよ…」

「はぁああああ~~!?化け物ですって!?こんなに可愛いうら若い乙女を見て化け物とは一体どういうことですか!?」

「はぁ?いきなりなんだよ!胸倉を掴むなy…」

グウウウゥゥ


獣の唸り声のような低い音が響く

「次はなんだ!?ドラゴンに続いてまた何か来るのかよ」

「…………のおと…す…」

「え?」

「私のお腹の音です!!!」


そろそろお昼の時間だったし下竜を倒す時にちょっと頑張っちゃったけど、なんで今鳴っちゃうの?しかもこんなに大きい音で……


「なんだでかい音だったから魔物かと思ったよ」

「……ご飯にします!」

「へ?」

「ご飯にすると言っているのです!準備しますからあなた達は少し待っていてください!」


カバンから私特製のハウスのスクロールを出し地面に広げる、これは魔力を注ぐと描かれている建物が具現化する優れもので、一瞬で二階建ての立派な家が出来上がる


「この建物は私の作った特別な物です中にシャワーもありますからその子をきれいにしてあげてくださいね」


とりあえずそれだけ言えば大丈夫でしょう、森へ入ってさっき見たアレを取りに行ってあれなら新鮮だしあの子たちの分も足りるはずだわ…


挿絵(By みてみん)


お読みいただきありがとうございます。

面白いと思ったら下の星やブックマークで評価してくれたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ