03 闘争心と殺意
夜に出歩くのはこれが最初だ、ただひたすら目を閉じ気配と殺気を頼りに重心を落としゆっくりと進む。
すると、嗅覚が獣の匂いを嗅ぎ取った、数は四匹の足音は軽快で軽い、喉を鳴らす音から山狗かとも思ったが、俺を囲んで様子見をする様に、足音を不規則的に鳴らし注意力が散漫になった所を連携して殺す算段の様だ。
俺はわざと目を開け辺りを見渡し、意味も無く穂先を下に向けコンコンと石を突き、油断していると見せかけると、好機だと言わんばかりに一匹の狼が槍を持ってない左腕に噛み付いた。
そして一瞬遅れて援護する様に背中からもう一匹が飛びかかって来たのを、槍を離し振り返りながら、空いた右手で首を掴み、即座に自分の口へ運び歯で狼の首の骨を噛み砕き。
その間に迫っていた狼へ左腕をぶん回し狼同士をぶつけ残りの一匹を足で掬った槍を右手で掴み距離を取ろうと走り出した狼の腹へ投擲した。
狙いは違わず腹へ吸い込まれる様に刺さり、狼の悲鳴が響く、残りの二匹は素早く撤退した。
俺は初めての殺生に僅かばかりの罪悪感を覚えた、だが、この狼達の死を無駄にしない為に槍を背中へ括り両手で狼を持ち川へと向かった。
川へ着くと日は昇り始めていた、もうそんな時間かと感慨深くなるが、槍の穂先を解き穂先で狼達の腹を切開し、血を掻き出し、内蔵を地面へ埋めて、やっと狼達へ両手を併せて感謝した。
これで今日の朝食分にはなるだろうと里へ持って帰った。
里の方へ向かうと白い煙が立ち上るのをぼんやりと眺めていた、こんなに早くから朝食の用意をしてくれるのかと、関心と感謝の念が湧いてくる。
だが、オークの雄達がそんな女性達を無理矢理犯し励んでいるのを見て怒りが首をもたげニタリと笑う。
こんな奴等がお前と同じ種族なのだ、いっその事自らの手で滅ぼしてしまうのが良いのではないかと、せせら嗤う。
襲っていないオーク達を発見すると多少は怒りを抑えられた、まだ獣欲に塗れた里では無いのだと、そして、目で探してしまう。
綺麗な翡翠の瞳と黄金の稲穂色の髪を、胸は不安に代わる、他の女性達が犯されているのも腑が煮え繰り返る思いだが、それ以上に子供の様に接してくれた彼女をが、劣情に支配されている豚供の捌け口にされていると思うと血が騒ぐのだ。
辺りを探し、森の方を探すと、一匹の若草色のオークがエルフの女性の頭を木に押さえつけて、ヘコヘコとしているのを見て視界が赤く染まり、右腕を流れる様に槍を掴んだ。
そして目の前に広がるのは頭が爆散し背中から地面へ倒れたオークとその傍で死んだ目をしている翡翠の瞳のエルフ。
そこからは、喧しい笑い声と血の匂いが身体中から香り血に酔いしれた灰色のオークが里を支配した。
それは一瞬だった、一匹の灰色のオークが槍を投擲し、励んでいたオークの頭を吹き飛ばし、他に励んでいた獣欲に塗れたオーク達の頭蓋を砕き、四肢を裂き、哄笑上げ、反撃しようとしたオークに突進し、腹を突き破り、心臓を引き摺り出し目の前で噛みちぎった。
そのオークの父親である長はその戦闘力と自分達に向けられている殺意に怯え、住居に引き篭もった、そこからは殺戮だった、たった一人も止めようと動く者は居らず、ある者は恐怖で動けず、ある者は歓喜した。
そしてそのに真の長と飾りの長が出来上がった
そして灰色のオークが理性を取り戻すまで膝を着く者と恐怖で家に引き篭もる者の二者に分かれた。
理性を取り戻した灰色のオークは一切の略奪と了承なき獣欲を満たす事を禁じた、これを破った者はどうなるかなど言わずに、自分に従う者に指示を出した。
丸い石でつるはしと槍を作ると