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ただの豚とは言わせない  作者: 紫護
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02:親

 自分が産まれた時から母乳を与えてくれる人は三人になっていた、一人はエルフ、金髪の翡翠の瞳の美人。 二人はミノタウロス、毛先が白く頭髪は黒だ、毛先の方まで行くと色素は薄くなっている様だ、瞳はガーネットの色に負けない位輝いていた、そして最後は人間で茶髪の茶色い瞳の死んだ目をした人だった。


 そしてオークは成長が早いのか自分は五日で子供と変わらぬ大きさへと成長した。 


 ペタペタと自分を触り見る、灰色の皮膚に頬まではある牙に大きな鼻、そして股間には二本のイチモツがあった。 まるでお前が王なのだと実感させられた気分で怒りが湧き上がる、すると鼻息は荒くなり煩く感じる気分を落ち着かせる。


 声の主が言っていた通り自分は王なのかも知れない、そして、それ以上にそこら辺に死がある事が堪らない。


 何者かに見られている視線を複数感じる、相手が本腰を上げる前になんとかしないといけないと思い、自分観察をやめて、今までいた掘建て小屋を出て自分の里を歩き回る、勿論腰に動物の皮を巻いて。


 里を見れば見る程、酷さが深刻化していく、まず、オーク種の雌が非常に少なく、他の種族で補っている現状と監視されている事、食事事情、様々だ。


 それらを取り敢えず放置し肉体の鍛錬を俺は開始した。


 脚の筋肉を鍛える為に踏み均されてない地面を走り、大木に向けて突進をする、樹皮が痛まない様に腰の皮を蔓で縛っただけのモノだが、今の俺だからこそ、十分だった。


 突進し続けていると牙からメキメキと音が鳴り、ぶつかる箇所も痛くなる、と言うより血を垂れ流している。

その状態で山まで走り山を走る、当然だが監視の目も付いてきたが、無視し川の水を飲み、そこら辺に落ちていた木の実やどんぐりを腹が減らない程度まで食べ、また走り倒木を見つけては持ち上げようと奮闘した。 それを日が暮れると止め、適当に掘っていた穴へ入り入り口を隠し寝る。


 そんな事を五日もすれば大体、中学二年生位の身長まで伸び、頭からは硬い毛が伸びており、ある程度の筋肉も付いた頃に里へ戻ると、金髪の翡翠の瞳を持ったエルフの女性が血相を変えて近寄ってきた。


 「何処にいたのですか! 心配したのですよ!」

とても怒っていると言いた気に頬を膨らませ心配して来る、発声練習をしていなかった弊害として声がブピブピッと豚の鳴き声しか出なかったので、地面にしゃがみ、指でエルフ文字を書いた。


『貴女は私を探すと言って里を逃げ出せた筈、何故そうしなかったのか?』


エルフの女性は最初は吃驚していたが、返事が違った為ぷりぷりと怒った


「たとえ、それが出来たとしてもしません! それにごめんなさいですよ!」


腰に手を当て怒っていると態度で表して圧を掛けているかの様だ


早く謝った方が収まると思い謝る。


『ごめんなさい』


 そう書くとエルフの女性は俺を抱きしめ背中をポンポンと優しく叩き、あやしてくれた。


それからは、エルフの女性達の寝床へ向かい、色々と話しをした。


 初めにこの里は他の種族達から監視されている為、長く無い事と、彼女達にしてきた事の仕打ちの謝罪、それを俺がするとそれは違うと否定された、悪いのは他の雄達であるとそれに真っ先に自分を庇ったのが翡翠の瞳のエルフの女性だった事が衝撃的だった、それにより、他の女性達は不満な顔はするが多少は飲み込んでくれた。


 そしてそれからは俺の五日間の出来事を語るとやはりと言うべきか翡翠の瞳のエルフの女性は大変お怒りになり、治療魔法をかけられながらの説教をされた。

 そして寝る時になると彼女達の寝床を出て掘建て小屋に戻った、すると見たことの無い若草色のオークがおり、俺を見ると鼻息荒く怒っていた。


 「お前とコイツを産ませたらお前だけ消えてたとは何事だ!」


若草色のオークの後ろには俺より小さいオークがその背中に隠れていた。


「聞いているのか! 我が一族の純血はお前とコイツだけなんだぞ! お前は誇りある俺の血が流れているのだ!」


若草色のオークの話をある程度聞いた後は聞き流し、この里の掌握に入るか声の主達の記憶にある山を探す事を考えていたら、拳を右頬に食らい、よろけ視線を向ける、それと胸に燃ゆる怒りも向ける。


「親の言葉を聞かないのか! もう貴様など知らん、勝手にせい!」


そう言われたので掘建て小屋を出て森へ入り石で出来た穂先の槍を作り、夜の狩りへ出る事にした。

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