第5話 again
「雨止んだけど帰る? それとも泊まってく?」
「じゃあ泊まらせてもらう」
「じゃあベッド使っていいから先に寝といて。まだ用事あるから」
「分かった。じゃあおやすみー」
瑠奈が寝室に入って行ったのを見て、俺は部屋に入った。
「はぁ・・・ この曲どうしようかな・・・」
この部屋は俺が曲を作る為の機材が置いている。
「もうちょっとで出来るところだったんだけどな・・・」
実は俺は作詞・作曲などをしている。
その曲を提供してお金を貰っているので、バイトはしていない。
「今回はめっちゃ良い曲だと思ったのにな・・・」
今回作っていた曲は失恋ソングだ。
しかも浮気されている男の気持ちの歌なのだ。
基本的に俺は曲を作る時は想像でストーリを考えてのだが、今回は自分の気持ちをそのまま曲にしていた。
それが瑠奈とよりを戻した事で、気持ちが変わって来たのだ。
「・・・ まぁこのまま行くか・・・」
とりあえずそのままの気持ちを入れて、作る事にした。
「んー・・・・・・眠た・・・・」
思っていたよりも進んだので、深夜までしていたが、途中で寝落ちしてしまっていた。
「・・・もう12時か・・・ とりあえず腹減った・・・」
部屋を出てリビングに行くと、瑠奈がソファーに座っていた。
「・・・おはよう」
「おはよう。もう昼だけどね。とりあえずシャワー浴びておいで」
「・・・うん」
瑠奈に言われてシャワーを浴びて、着替えを済ましてリビングに戻った。
「今日大学ないの?」
「本当はあったんだけど今日は休んだ」
「なんで?」
「午前中だったんだけど寝坊しちゃって」
「そっか」
「それよりもご飯食べに行こっか。どうせ今日休むんでしょ?」
「そうするつもり」
家の近所で俺一人でもよく来る喫茶店の「喫茶 again」に来ていた。
ここの店長の藤沢 翔子さんは俺の両親の学生時代の友達で小さい頃から知っている。
そのため両親からも、食事の事で困ったら翔子さんを頼れと言われていた。
「瑠奈ちゃんがここに来るの久しぶりね」
「ちょっと色々ありまして」
「そうなの? まぁ2人が仲良いならそれでいいけど。侑月くんはオムライスでいい?」
「うん。瑠奈はどうする?」
「じゃあ私もオムライスで」
「わかった。ちょっと待っててね」
この店のオムライスは絶品で、テレビに出たこともあって、オムライスを食べに地方から来る人もいるぐらいだ。
我が家族も昔から暇さえあればこの店に来て、みんなでオムライスを食べていた。
杏里や潤と3人で来たりすることも多く、瑠奈ともよく来ていた。
頼んでから10分程が経った。
「はい、オムライス2つ」
翔子さんをさんがオムライスを持ってきた。
「何回みても美味しそうだなー」
「それじゃあゆっくりしていってね」
そう言って翔子さんは店の奥に行き、俺達はオムライスを食べ始めた。