400字作文 祖母の電球と口実
もしも電球が壊れたら、祖母からお願いの電話がかかってくる。
祖母の家ではいまだに白熱電球を使っている。
そのため、だいたい半年に一度は隣の祖母の家まで電球を交換しに行かねばならない。
小中学生のころは単純で作業後に出されるお菓子を目当てに、電話を待ち望んでいた。
高校生ともなると味の好みも変わってくるようで、徐々に出される茶菓子に手を付けなくなった。
すると、祖母は何かを察した様子で、次からポチ袋に五百円玉を入れて渡してくれるようになった。私は簡単な作業でお金をもらうのを申し訳なく思い、そのことを母に伝えた。
母は「もらっておきなさい。不器用なんだから。」とだけ言った。
何年かして、大学生になった私は親元を離れることになった。
ある日、今までため続けた五百円で祖母に贈り物をしようと考え、はしごをプレゼントした。
祖母は少し寂しげな顔をしていた。そのとき、ようやく母の言葉の真意に気がついた。
後悔して下唇を軽く噛んだ。