7
目を覚ますと僕はソファの上で、薄い毛布に包まれていた
長いこと寝ていたのか夜が開けているようだ
殺風景な部屋だった
さっきの倉庫みたいな部屋と余り変わらない
薄暗くて空気が乾燥している
ソファも古びていて動くと軋んだ
『起きたのか』
低い声がした
僕は思い切り起き上がったが頭がフラフラしてまたソファに逆戻りした
『なるほど
敵にはならねぇな』
僕は声の方向を見た
小麦色の肌をした金髪の大柄な男がこちらを見ていた
青い目が鋭く僕に向けられているが、あの少年のような無機質な感じはしなかった
それどころか強い目力に圧倒される
精悍な顔つきも相乗効果になっていて、威圧感が倍増している
『お前何者だ?』
「え?」
『あぁ、言葉通じねぇのか
悪いが俺は英語しか話せねぇ』
『あ、英語、話せます』
つい片言になってしまう
『そうか』
『ぼ、僕は刻田 誠、です』
『トキ…?』
『あ、誠って呼んでください』
『マコト、ね
俺はジャック
ジャック・オーティスだ』
『ジャック、さん』
『気持ちわりぃからさんとかつけるな』
とりあえず命の危険はない、と見てもいいのだろうか
『で、お前何なんだ?
ハルが見ず知らずのやつを理由なくここに連れてくるとは思えねぇ
かと言ってお前のことはハル以外知らねぇ
あいつ何も言わずにフラっとどっか行っちまうし
もう5時間も姿を見てねぇ』
『ハル…?
あ、えーっと
さっきの彼のことですか?』
『彼?』
ジャックは目を見開いてから大笑いした
『‘彼’ね』
何がそんなにおかしいのだろうか
ひとしきり笑ったあとジャックの青い目が細められた
『お前にはあいつが男に見えるのか』