プロローグ
気が向いたら続きを書きます
日陰が少なくなる正午ごろ、ある学校の校舎裏で4人の少年たちが同い年ぐらいの少年少女たちに囲まれながら立っていた。
端から見たらいじめ、若しくは喧嘩の現場に見えるだろうが、この学校ではよく見る光景だ。
何故なら、これはいじめでも喧嘩でもなく、一部の男子が一人の男子に挑む決闘であるからだ。
最初は他の人たちも止めたりしていたのだが、毎日のようにやっていて楽しんでる彼らを見て周りは止めるのを止めた。
そして、何時からか生徒内でこの決闘の勝敗を賭けていたりもするくらいになったいた。
「いけー!今日こそ勝てよー!!」
「勝てよー!!お前には駄菓子が賭かってるんだからなぁ!」
周りからの大きな声を聞きながら4人の内3人が笑みを浮かべて構える。
それに対して残った少年は構えることもせずただ自然体でその場にいるだけ。
「行くぞ!今日こそ俺が勝ぁつ!!」
合図も何もなくいきなり攻撃する少年だが、攻撃は軽くかわされ逆に足を引っかけられてその場で転倒してしまう。
其れを見て慌てて他の二人も攻撃しようとするがそれよりも先に少年が残り二人の腕を掴んでその場に転倒させる。
僅か数秒で呆気なく決着がついた。それに周りは残念がる……のではなく観客の一人が決闘が始まってから持っていたストップウォッチの画面を見て「今日は何時もより1秒長い」と言う。
それに倒れている少年たちだけでなく数人が喜び、何人かが悔しがる。
どうやら、賭けは勝敗だけでなく時間でもやっているらしい。
あるものは笑いながら、またあるものは誰かと話ながら一人の少年を残してそれぞれの教室へ戻っていく。
それらを最後まで見ていた少年たち先程まで決闘をしていた場所を見た。
数人の足跡が沢山付いた地面。何時もと何も変わらないそれを見て、自分もほかの人たちのように教室へ戻るかと少年が顔をあげーーーー
「物足りない?」
ーーーーようとしたとき、少年の後ろから声が聞こえてきた。
誰もいなかったはずなのに聞こえてきたその声に少年は驚くこともせず言葉を返す。
「足りないな。全然、足りない」
「平和なのに?」
「……あぁ」
何かを渇望しているような顔をして少年が声の方へと振り替える。
振り返った先には一人の少女が微笑んで立っていた。
「彼処が、忘れられない?」
「……あぁ」
「そっかぁ」
「お前は……ミツキはどうなんだ?」
少年がミツキと呼ばれた少女に問いかける。すると、ミツキは困ったような顔をして少年の問いに答える。
「私も……そうだよ。彼処がーー忘れられない」
「…………」
「だからね、今日は誘いに来たんだ」
「え……っ?」
ミツキの言葉に少年が気の抜けた声を出す。
ミツキはそれに少し笑うとその手につけていた時計を操作する。
すると、ミツキの後ろに光で包まれた扉のようなものが現れた。
「貴方の力を必要としてる場所があるの。だから、私と一緒に来て」
ミツキが少年に手を伸ばす。少年は、その手を一瞬の躊躇いもなく掴み、少女の手を引いてその扉の中へと入っていく。
ミツキはそんな少年に、問いかける。本当に良いのかと。
その問いに少年は笑みを浮かべて答える。
「良いさ。俺を……近衛光を必要としてるのなら、もう一度彼処へ行けるのであればそれで」