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甘いんだか、苦いんだか?

作者: 詠月寂夜

多分、期待ほどはない、でしょう……

俺は一介の冒険者だ。

それはまあ良い。

ギルドで馴染みの受付嬢からどうしてもと言うことで素材収集クエストを請け負った、押しつけられたんだが、これがどうも。

特定のゴーレム、今目の前にいて俺と丁々発止を繰り広げている奴だが、ゴーレムの中では大したこと無いゴーレムだ。

鉱物系やストーン系に比べればな?

ゴーレムだが、一部は資源としてとか魔法素材として採集されることもある。

余談だが、好き嫌いする子供に母親が、食べないと人参ゴーレムやピーマンゴーレムがやってきて逆に食べられるというのは定番の躾だ。

俺も冒険者になるまで、いるものと信じていた。

何の肉かわからないフレッシュゴーレムなんてのもいるのは知っている。

だが、食材ゴーレムと言う触れ込みで、カカオゴーレムなんてのが実在しているとは思わなかった。

ウッドゴーレムの亜種で、植物系らしいが、堅めの殻を鎧のように纏っている。

間接はくびれているというか、椰子の実を人型に繋げあわせた感じだ。

そいつが、手足を棍棒のように振り回して殴りつけてくる。

かと思えば、振り回す手足の先が、間接から外れて飛んでくる。

飛んできた分は、律儀に転がってカカオゴーレム本体にくっつき這い上がって元に収まる。

投げつけたゴーレムでなくても、拾ったゴーレムが、俺を狙うついでに挟んで反対側の奴に投げ返す。

ドッヂボールかよ?

食用という事で、物理攻撃限定、火や雷撃などが禁止というのも地道にきつい。

それに前にあった覚えもないのに、怨んでいるのか、しつこく粘って俺を倒そうとして来る。

俺のランクなら、もう少し楽に倒せるはずが、繁殖期というか子供でもいて気が立っているシーズンなのかね?

ゴーレムにそんなのあったっけかな?

だとしても、この俺がカカオゴーレム如きに倒されたとか、逃げ帰ったとか言わせたくねぇ。

うりゃー!



「お疲れ様、質は上々量も十分。クエストはクリアよ」

「そりゃどうも。これで鑑定で駄目だと言われても、やり直す気になれねぇ。何というか、カカオゴーレムは妙に諦め悪いというか、恨みを晴らされているようで後味が悪い」

「あー、この時期は、気が荒くなるし、女の冒険者だともっと酷いらしいから……」

「それで男限定かよ。ったく。でも他の時期じゃ駄目だったのか?」

「んー、この時期が一番上質だし、旬というか要り用な日も来週だから、ね?」

「来週? 何かあったか? とそう言えば、妙に女に睨んでくるのが……」

「来週、楽しみにしてなさい。今日のこれの、ボーナスもあげるから」

「ボーナス? 今くれないのか? 来週じゃまた潜っているかも」

「それは損してるわね。だから知らないのか。なら余計に楽しみにしてなさい」

「そうかい、あばよ」

そう言ってギルドの扉を潜ったところで、中から黄色いややピンクがかったような歓声がわいたが、俺には関係ねぇ。


そう思っていたが、翌日から町に甘い匂いが立ち込めて、翌週俺を含めた男が茶色い何かを押しつけられ、さらに翌月その内の何割りかの男が、良いんだか悪いんだか人生が転んだ。

今思えば、あの時のカカオゴーレムは、女に憑かれていたんだろうな、ってのが良く理解できたし、女の何というか女ってものを知らなかったのがよくわかった。

俺?

もう二度とカカオゴーレム採集クエストは請けねぇよ。

必要ねぇしな。

と言う小ネタでした。

明確にしていない箇所は、色々想像して貴方好みのお話しに膨らませてくださいな。

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