#11 お家再興
『ジェスティーヌ』
妾を呼ぶ、声がする。
『ジェスティーヌよ。』
この声、忘れるはずもない。父上の声だ。
「ち、父上!」
『ようやく気づいたか、ジェスティーヌよ。我はルシフェル7世。そなたに用があって、天国より一時現世に戻ってきたのじゃ。』
「ま、誠に父上でございますか!?」
『この声が、なによりの証拠であろう。』
「確かに。ご機嫌麗しゅうございます、父上!まさかこ、またお会いできようとは……」
『それよりもジェスティーヌよ。そなたは今、幸せか?』
「父上のお導きにより、妾はかくも幸せにございます。事業もうまく行き、侍従長たちも嬉々として働いております。」
『そうか……』
「それより父上!母上や兄上、姉君はいかがなされております!?」
『天国にて、皆平穏に暮らしておる。案ずるな。』
「妾も……妾も早く天国に行き、皆にお会いしとうございます……」
『ならぬ!そなたはまず、現世でフレメンツ家再興を果たすのじゃ。それが、そなたの使命のはず。』
「ち、父上……」
『人生など短い。すぐに会える。我らは皆、そなたが来るのをいつまでも待っておるぞ。それまでに必ずや、フレメンツ家再興を果たすのじゃ。良いな。』
「は、はい!父上。」
『そなたと、そなたの夫、ハインツ殿に幸多からんことを……』
真っ白な光の中に、父上が消えていった。あの光の先が天国なのであろう。妾を離れ、消えていく父上を、ただ見守る他なかった……
というところで、目が覚める。なんだ、今のは夢であったか。
しかし、声や姿が妙にはっきりとした夢であった。まるで現実に妾の元へ父上が帰ってこられたような、そんな夢であった。
その夢の話を、ハインツ殿にする。
「うーん、夢だといってしまえばそれまでだけど、そこまでジェスティーヌさんがはっきり覚えているということは、本当に父上様がいらしたのかもしれないよ。」
「ハインツ殿もそう思うか。確かに、そうとしか考えられぬ夢であった。しかしなにゆえ今、父上は現れたのであろうか?」
「うーん、そう言われても、なんだろうね……」
地球332から帰ってきて、1か月が経過した。再び妾は、地球806でハインツ殿との2人暮らしを満喫しておった。
あのブランド店は依然として盛況である。リュドヴィックの工場も人が足らず、他の腕利きの革職人の工場を頼るほどである。店も1店舗では足らず、2店舗目を模索しているところだ。
「フレメンツ」ブランドは、まず地球332の人々に受け入れられた。それを見た首都の者らも彼らを倣い、こぞって我がブランドを求めるようになった。ゆえに、今や革命政府の元にいる人々も、我がフレメンツ・ブランドの大事なお客となりつつある。
この星に帰ってきてから、ハインツ殿と共にお家再興に向けて動き出す。司令部付きの武官ゆえに、この首都にある革命政府とも関わることがあるハインツ殿。早速、フレメンツ家の再興の話をふっかける。
ところが、革命政府は難色を示す。民衆の敵である王家復活を認めることなどできない、というのが彼らの言い分だ。
だが、ここで我が主人は豹変する。フレメンツ・ブランドが好調であること、それによって落ちぶれていた職人達が盛り返したこと、むしろ革命政府によって民衆が経済的に混乱し、それに応じて治安が悪化していることなどを挙げて、猛反論したのだ。
その結果、ハインツ殿に押されて、革命政府も王家の家名再興について考えても良いと認めてくれたのだ。2人目の主人が、我が王家の家名の復活を支援してくれたことになる。これは、大きな一歩だ。
とまあ、順調な日々を送っておるが、一つだけ気がかりなことがある。
この1週間ほど、妾の気分がどうにもすぐれぬのだ。
体がだるいというか、食欲がないというか、そういう日々が続く。風邪かと思って病院へ行くが、特に何事もないと言われ返される。だが、まるで食欲が湧かぬ。吐き気もする。
かといって、何も食べれぬわけではない。不思議とファーストフード店のフライドポテトが食べたくなる。食べ物にオリーブオイルを多量にかけたくなる。レモンジュースのような酸っぱいものが飲みたくなる。
「一体、なんであろうか、この病は。ハインツ殿よ。」
「うーん、なんだろうか……あ!そうだ!ジェスティーヌさん、もしかして……」
そう言ってハインツ殿は妾に、ある病院へ行くよう勧める。
「おめでとうございます!すでに3か月目ですよ!順調に育ってますね!」
そこは産婦人科と申す病院であった。医者からかように告げられた。
「……ということは、妾は子を授かったということなのか?」
「そうですよ。では、今後のことを説明いたしますから、あの看護婦についていって下さい。」
そう言われて、妾は看護婦に、妊婦としての心得を教えてもらった。
その夜、ハインツ殿に懐妊の話をする。
「あと半年もすれば、そなたもいよいよ父親じゃぞ!ここは是非とも嫡男が良いのだが、女子であっても妾は大事に育てるぞ!」
浮かれる妾に対し、ハインツ殿はあまり浮かれた様子はない。
「なんじゃ?子供ができたことが、そんなにも嫌であったか?」
「いや、嬉しいよ。嬉しいけど、今難問を抱えていてね……」
「なんじゃ、難問とは。」
「ここの政府が、フレメンツ家再興の条件を出してきたんだ。」
「なんじゃと!?お家再興の条件じゃと!?」
聞けば、フレメンツ家を再興するためには民衆の支持を取り付けねばならないと革命政府どもは言ってきたらしい。元々は国民の声を無視した王家を潰すため革命を起したというのに、その記憶も冷めやらぬうちにお家再興などもっての外。国民がフレメンツ王家を支持せぬ限り、再興などあり得ぬというのだ。
「で、支持されていると示すには、何をすればいいのじゃ?」
「1か月後に行われる住民投票により、家名復帰の賛成票が反対を上回れば、政府はお家再興を認めフレメンツ家の家名を国として保証すると言ってきたんだ。」
「なんじゃと!?それはいい話ではないか!しかし、たったひと月か?」
「そうなんだよ、ジェスティーヌさん。そんな短い時間で民衆の支持を取りつけろというんだよ、彼らは。」
「そうか。ならば、やろうではないか。」
「やるって、何を?」
「決まっておろう。民衆に呼びかけるのじゃよ。」
「ええっ!?ど、どうやって!?」
「ううーん……そういえば、どうやるのじゃ!?」
とりあえず、妾はあの店で王家再興を呼びかける。だが、当たり前だが、あの店の前では我がフレメンツ家のことを悪く思う者などおらぬ。
我がフレメンツ家のことを非道な王族だと思っておるものを前にして説得せねば、意味はない。
ハインツ殿の提案で、とりあえずネット上にフレメンツ家の歴史と、この国への貢献を記したものを出すことにした。侍従長やメイドらと3日がかりで作り上げて、なんとか公開にこぎつける。
他にも、フレメンツ・ブランドの取材に来た地球332出身の記者たちにも、フレメンツ家の話を聞かせる。
フレメンツ家が歴史に現れるのは300年ほど前のこと。当時はある国家の一領主に過ぎなかったが、圧政に苦しむ国民を守るため、その国に対し反乱を起こす。
その反乱が成功し、この国は「フレメンツ王国」と名を改めた。それから昨年の革命までの300年間、この国を治め続けてきた。
まだ王国誕生の頃、国民は貧困にあえいでいた。その時の王国内の産業といえば、農業と狩猟、それに蚕の生糸から作る絹織物くらいであったという。
広大な森林を抱える王国ゆえに、それを活かした産業をと最初の国王が考えたのが「革製品」であった。
森には鹿などの動物が多く、それを狩り鹿肉を得ていた領民が多い。だが、その皮はほとんど使われることなく捨てられたため、初代国王はそこに目をつけた。
そこから、我が国で鹿の革を使った革製品の生産が始まる。無骨ではあるが、丈夫な製品ゆえに、我が王室でも積極的に使われた。そして革製品は他国へと輸出され、我が王国の重要な収入源となる。
他にも、大麦の生産にも力を入れる。小麦の裏作として大麦を奨励し、飛躍的に農業生産量を増やした。この麦を使ってエールが作られており、今や我が国のエールは周辺国でも人気である。これも新たな収入源となる。
従来からある絹織物にせよ、革製品にせよ、エール作りにせよ、職人の育成が欠かせない。そこで代々国王は職人育成に力を入れてきた。
その職人育成のために、王都には王立工房が作られた。王宮のすぐ横にある大きな建物があるが、それが王立工房である。王宮よりも工房の方が大きいために、国王よりも職人の方が栄華を誇っている国だと揶揄されるほどだ。そこでは多くの職人が育ち、王国の楚を支えていった。
これが我がフレメンツ家代々の功績である。この300年で国の産業は栄え、人々の暮らしは豊かになった。
もっとも、ここ3年ほどは不作が続き、人々の生活が困窮したのは間違いない。そんな中、王家がその庶民の暮らしを顧みず、贅沢な暮らしを続けてきたと言われても否定しない。
しかし、国王も何もしなかったわけではない。隣国より小麦、大麦を拠出してもらうよう画策したり、イモ類などを作らせて飢えをしのげるよう取り計らったりした。だが、不作による困窮は、結果的に革命家らの王家打倒の口実にされてしまった。
それから1年以上が経った。今、人々は我がフレメンツ家のことをどう思っているのだろうか?相変わらず、革命家らの言葉を信じているのか、それとも、王家打倒はやり過ぎたと感じているのか……
そんな時、その家名再興の是非を問う投票の1週間前に、政府の主催で討論会なるものが行われることになったとの連絡を受ける。
妾と革命政府側が、家名復興に対しお互いに意見を述べるというものである 。聴衆者は一般市民。まさに妾にとっては、名誉回復の絶好の機会である。
当然、妾は参加を承諾した。だが、ハインツ殿はこの討論会に、異様な警戒心を示す。
「なんだろうな、この討論会……嫌な予感がする。」
確かに、妾も突然与えられたこの機会に何かあると感じてはいるが、そうはいってもまたとない機会である。妾は正面切って対峙しようと思う。
だが、ハインツ殿の警戒心は、討論会の当日に形となって現れた。
投票まであと1週間という時に開かれたその討論会。場所は首都の中心部にある大きな広場。そこに設けられた舞台の上で、両者が意見をぶつける。
フレメンツ家側は、妾とハインツ殿の2人で臨む。
一方の革命政府側は、なんと10人も揃えてきたのだ。
なんということか。こちらは2人だと知らせたはず。それをわかっていてこの人数を揃えてきたようだ。
この光景、妾には見覚えがある。
そう、あの革命直後に行われた、裁判である。
妾の場合は、たった一度だけ裁判の場に出された。
こちらは一人、だが相手は10人以上もの人間を揃えてきた。
裁判は、公開の形をとって行われる。今回と同様、民衆が聴取者であった。
妾は意見を言うが、10人もいれば誰かが反論してくる。民衆はその言葉に同調して拍手を送る。まさに孤立無援の状態での裁判であった。
断頭台に消えた兄上や姉上達も、同様の裁判を何度も開かれ、失意の中で首を落とされたことであろう。
今回は断頭台こそないものの、おそらくは妾を追い詰めるつもりでこの討論会を画策したものと思われる。
これはもはや、討論会ではない。一方的な弾劾裁判だ。
だが、妾は負けるわけにはいかない。もはや妾は、妾一人の身体ではない。
などと考えているうちに、討論会が始まった。
「では、1週間後に控えたフレメンツ王家の家名を復活させるかどうかの是非を問う住民投票の前に、ここにいる方々に意見を述べていただきたいと思います。皆様方にはお互いの主張を聞いていただき、来週の投票の参考にしていただきたい。」
座長がそう述べた途端に、相手方の一人が早速発言する。
「では、私から意見を言わせていただきます。まず、はっきりしていることが一つあります。それはフレメンツ王家が民衆の敵であり、裁かれ、断罪され、そして民衆の名の下に死を与えられたと言うことです。もはやこれは覆せない事実であります。皆さまには、そのことをまず念頭においていただきたい。」
妾は即座に反論する。
「何を言うか!妾は民衆の敵になどなった覚えはない!不作の時も隣国に支援を願い出て、なんとか大麦などを手に入れることができた。救われた民衆もいるのだ!」
「そんな事実などありはしない!あの時 、お前ら王族どもはただ民衆から富を貪り、浪費を繰り返していただけではないか!」
「そんなことはない!あの時は社交界もひかえ、少ない食料を消費せぬよう心がけておったのじゃ!」
「今さらそんな言い訳を言ったところで、信じる者などおらぬぞ!誰一人として、民のことを顧みなかった王族の言葉などに、誰が耳を貸そうか!わからぬか!?もはや王家の再興など、もってのほかだということを!」
身重の女子に向かって、なんと辛辣な奴らだ。10人が代わる代わる妾に反論してくる。1対10、まさにあの裁判の時のようだ。
ハインツ殿は腕を組んでじっと聞いている。さすがのハインツ殿も、革命以前のことは知らぬ。それゆえ、発言することもできぬようだ。この場は妾は一人で、戦うしかない。
「大体、お前は兄や姉達同様、断頭台に消えているべき運命の者だったのだ!それが命永らえただけでもありがたいというのに、調子に乗って家名再興などと戯言を言い始めた!身の程知らずも、甚だしいわ!」
もはや、妾には反論する気力がなくなりつつあった。彼らの狙いは、要するにあの裁判の再現だったのだ。元より敵う相手ではなかった。妾は、そう悟った。
が、ここで突如、我が主人がマイクを取り、口を開く。
「革命政府側に尋ねる。それではなぜ、ジェスティーヌさんは裁判を逃れ、自由になれたのだ?」
このときのハインツ殿の目は、あの誘拐犯らを容赦なく撃ったときと、同じ目をしていた。
「そ、それは、時代が変わったからだ!地球332の人々が訪れ、交易が始まった。国どころか星を超えた交流の時代に合わせて、旧時代の風習をなくそうと考えた結果だ!」
「あなたが言うには、王族は民衆を騙して富を得て、その結果人々は飢えて明日をも生きられぬ生活を強いられたというのだろう?それが本当ならば、時代が変わろうが裁判は続けるべきであり、ジェスティーヌさんも兄弟同様に死罪となるべきではなかったのか!?」
この主人、言いたいことを言う。これではまるで、ハインツ殿は妾が死罪になった方が正しかったと言わんばかりではないか。だが、ハインツ殿には何か策があるのだろう。妾は黙って、ハインツ殿に任せることにした。
「その女子はお主の妻ではないのか!?殺されていた方が、良かったと言いたいのか!?」
「そんなことは言っていない。私が問題にしているのは、裁判の正当性についてだ!」
「正当性……だと!?」
「我々の出現によって変わる正義ならば、元々正義に則ったものではなかったのかと言っている!」
「そ、そのようなことは……」
「要するに、あの裁判に正当性などなかったのではないか!?だから、もし我々の目の前で正義のない裁判を続け、ジェスティーヌさんに死罪を言い渡したなら、我々地球332との間の、莫大な利益をもたらす交易が取り消される恐れがある。そう考えたからこそ、ジェスティーヌさんを解放したのではないのか!」
「そんなことはない!現に兄や姉は死罪にされ……」
「我々は他の王族の裁判にも疑念を抱いているのだ。我々がいくら調べても、ジェスティーヌさんの兄や姉達の判決文が出てこない。この国の他の裁判では、必ず判決文が存在すると言うのに、王族が関わった裁判だけ、なぜ判決文がないのだ!これは一体、どういうことだ!?」
「い、いや、そんなことは……」
「あるというのなら、直ちに開示願いたい!王家を誹謗するのであれば、なおのことその判決内容を広めるべきであろう!それがない以上、我々はあなた方が正当な裁判を行った者だと、認めるわけにはいかない!」
恐ろしき主人かな、10人を相手に、論破してしまった。
「な、ならば、ここで民衆に問うてみよう!王家が滅び、民衆の生活はずっと豊かになった!これこそが我が革命政府こそが正当であり、王家に正義がないことの証であるのだ!」
10人の1人が強引に勝利宣言をし始めた。民衆に判断を仰ごうと、聴衆者に向かって問いかける。だがこのとき、聴衆者から声が上がる。
「嘘をつけ!なにが豊かになっただ!」
この一人の発言をきっかけに、あちこちから声が上がる。
「おめえら、俺たち職人は王家の手先だと言って、仕事を奪ったじゃねぇか!」
「革命の後、食べ物の値段が上がって、子供に食べさせるものが手に入らなくて、どれだけ大変だったと思ってんのよ!」
「そうだそうだ!お前らの方が嘘つきじゃねぇか!」
「宇宙との交易が始まって、かえってうちの旦那の仕事が減ったじゃないの、どうしてくれるのよ!!」
突然、革命政府側に聴衆が怒号を浴びせ始めた。予想もしない展開に、10人の意見人らは動揺を隠せない。
千人は下らない聴衆者が、それまで抱えていた不満を一斉に爆発させる。これでは勝利宣言どころか、革命政府らの弾劾裁判だ。その声で妾は悟った。革命の後、生活が向上するものと期待した人々の想いは裏切られて、我慢を強いられていたのだと。
民衆は今、革命政府に対して怒りをぶつけている。だが、裏を返せば我が王家の不甲斐なさがもたらした不幸でもある。もっと民衆に寄り添った政治をしておれば、もしかしたら革命は無く、人々の暮らしも安定していたかもしれない。妾はそう考えた。
「皆の者、静まれ!!」
妾はマイクを取り、叫ぶ。不満をぶつけていた聴衆者らは、突如叫んだ妾の声を聞いて、静まり返る。
「妾はもはや為政者ではない!皆の暮らしを豊かにしてやれることは、もはやできぬ……だが!!」
妾は、手に持っていたフレメンツ・ブランドのカバンを頭上に掲げる。
「このカバンのように、我が王家が300年かけて育てた職人らの作り上げたものが、地球332の人々の間で飛ぶように売れておる!つまり、我らは星の向こうの人々をも魅了できるだけの技をすでに持っておるのだ!交易が始まったのじゃ、ならば宇宙に向かって、我々が300年かけて積み上げてきたその技を見せつけてやろうではないか!職人は槌とノミを握り、物を作れ!農民は土を耕し大麦を育てよ!商人は我らが国で生まれし物を売りさばけ!さすれば我らは、宇宙一の民となること、疑いない!」
その妾の言葉に、群衆は歓喜の声を上げた。妾はその声に、手を振って応える。ただ、あまりの民衆の歓声の大きさに押されて、さすがの我が主人もいつもの表情に戻ってしまった。
こうして討論会は終わった。妾の言葉により、民衆を励ますことができた。だが、妾は一つ大事なことを忘れていた。
そうだ、あの討論会は、我がフレメンツ家再興の是非を問う会であったのだ。我がフレメンツ家再興に賛成を投じてもらうよう、呼びかけるのをすっかり忘れてしまった。
だが、1週間後に行われた住民投票では、フレメンツ家再興に賛成する票が反対票を圧倒する。
我がフレメンツ家は、奇跡の復活を果たしたのだった。