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第86話 千人斬り?

前書き失礼します。

後書きにちょっとしたお知らせがあるので、良ければ最後までお読みください。

よろしくお願いいたします。


 目の前には分厚くデカイ氷の壁。

 それが相手兵士の足を止めている。


 剣で壁を壊そうとしているのか、向こう側からは金属音が響いてくる。

 だが、氷の壁はビクともしていない。


 ティナの魔法は魔法騎士団に入って一ヶ月、劇的に強くなった。


 この壁を壊すのは骨が折れるだろう。


「横が空いてる! そこから攻め込め!」


 壁の向こう側で誰かがそう言っているのが聞こえる。


 デカイと言っても王宮へ続く広い道を完全に塞ぐほど大きくない。

 道の七割ぐらいを塞いでいる状態。


 真ん中を塞いでいるので、道の両脇が空いている。


 それを利用する。


「ティナ! 俺が空いているところに突っ込む! お前は反対側の空いているところを、また氷の壁で塞いでくれ!」

「うん! わかった!」


 ティナの返答を聞いてすぐに走り出す。


 出来るか、なんて聞かない。

 ティナなら、出来るに決まっている。


 俺がその空いている道に着く前に、二人、そして狼型の魔物が一匹突破してきた。


「死ねぇ!」


 先頭にいる兵士は俺が走ってくるのを見て、すぐに剣を振りかぶり攻撃してきた。


 俺は走るのをやめない。

 身体を横にして紙一重で避け、そいつの脇を通り過ぎる。

 通過する際に、剣で首を飛ばす。


 目の前で仲間の首が無くなったことに驚いた奴がいる。

 その隙を逃さず、剣を振り胴体を斬り裂いた。


「ぐぁぁぁ!!」


 そいつは身体から鮮血を噴出しながら倒れる。

 死んではないだろうが、致命傷だろう。


 その血を顔に浴びて、狼は目が見えなくなっている。

 目を瞑って低く唸っているそいつの首を先程のように飛ばす。


 早く氷の壁の向こう側に行かないといけない。


 そのまま走り続け、着く前にまだ相手の兵士が俺に斬りかかってきた。


 しかし、俺はそれには当たらない。

 この一ヶ月、騎士団に入って成長したのはティナだけじゃない。


 俺もここで訓練をやることによって、強くなったのだ。


 特に村にいた時には練習ができなかった、多数戦。

 前世では戦場でしか多数戦の経験が得られなかったが、ここでは違う。


 多数戦は前世の頃よりも強くなった自信がある。


 そして俺は氷の壁の中にきた奴らを殺しながら、向こう側まで辿り着く。


 向こう側にはもう何百人という魔族の兵士、そしてそれ以上の魔物がいた。


「おい何やってんだ! 相手は一人だろ! 囲んで殺せ!」


 遠くで誰かがそう叫んでいるのが聞こえる。


 そう、俺は一人。

 相手は数千といる。


 だが、それがどうした。


 そもそも、味方が大勢で相手が一人だから圧倒的に有利という考えが間違えだ。


 俺を囲めるといっても、数には限度がある。

 せいぜい十人程度。

 そしてその十人が一斉に俺に攻撃できるという訳ではないのだ。


 誰かが攻撃を仕掛けたら、他の奴は待ってしまう。

 なぜならそいつの攻撃が当たってしまう可能性があるからだ。

 相手一人で多数だったら、多数の方は相当訓練を積まないと立ち回りが難しい。

 だからどれだけ数が多くても、冷静に一人ずつ対処していけばどうとでもなる。


 さらに相手には魔物という言葉が通じない奴がいる。

 本来なら相手の味方になるはずの魔物だが、今この状況では何も考えずに俺を襲う魔物は逆に邪魔になるだろう。


 俺が一人でこの大勢のど真ん中で立ち回っていた時、横から魔法が飛んでくる。

 人の頭ぐらいの岩石が、俺に向かってくる。


 魔法という遠距離攻撃もある、だがそれは悪手だ。


 俺は当たらないように避け、躱せないものは剣で弾く。

 するとどうなるだろう。

 魔法は俺を通り過ぎ、相手の兵士に当たる。


「ぐぁぁぁ!?」

「おい! 魔法は使うな!」


 魔法は避けたらそのまま他の魔族の兵士に当たるに決まっている。

 地面から隆起するような魔法は違うかもしれないが、それ以外は相手が一人でこんだけ味方がいる中使えるはずがない。


 だから使わないだろう、と思っていたが使う奴はいたな。

 逆にビックリして焦ってしまったぞ。


「なんでこれだけの数いて、一人を殺せねえんだ!」

「まさかこいつ、『千人斬り』か!?」


 俺の周りに人や魔物の死体が転がり、積もる中誰かが震えた声で叫んでいる。


 『千人斬り』?

 なんだそれ、聞いたことない。


「あいつは今ここにいないんじゃないのか!?」

「その情報はあったはずだ! だから違うはずだ!」

「それにあいつは『千人斬り』は片腕だという情報があったはずだ! あいつは普通に両腕があるぞ!」


 片腕で、千人斬り……。

 リベルトさんのことか。


 なんでそんな異名がついているんだろう。

 昔になんかやらかしたのかな?


 そう思っていると、遠くの方から大きな音が聞こえた。

 戦いながらそちらを見ると、氷の壁が俺がいる逆側の方にまた作られている。


 ティナがやってくれた。

 さすがだ、こんな短時間であれだけ大きな魔法を二回も放てるなんて。


 これで相手の兵士が王宮に攻め込むには、俺がこっちに来た通り道に行くしかない。

 しかし、俺がそれをやらせない。


 ここでこれだけの死体を作り上げた理由は、その進行を邪魔するという目的があった。


 そして俺以外にも、氷の壁の王宮側にはこの国の兵士がいる。

 さっきは大通りで大勢の敵が一斉に来ていたから対処が難しかったが、今は五人がギリギリ通れるぐらいの道しかない。

 俺を無視して攻め込もうとしても、その道を死守しているこちら側の兵士を相手するのは困難だろう。


 さて、形勢逆転だ。


 俺がいる限り、裏門から王宮に入れることはさせない。





後書きをご覧くださり、ありがとうございます!

さて、お知らせの内容は他でもございません!

この度、なんと!


「死に戻り、全てを救うために最強へ至る」

書籍化が決定しました!


自分のTwitterや活動報告をご覧してくださっているならご存知かと思いますが、ここでもお知らせしておきます。


レーベルは小学館のガガガブックスです!

これもずっと読んでくださっている皆様のおかげです!

ありがとうございます!

これからもよろしくお願いいたします!

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