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第166話 アンネ団長の考え



「はぁ……嫌な言い方をしてしまったわ」


 エリックとの通信を切ってから、ベゴニア王国の魔法騎士団、団長のアンネはそう呟いた。


 いつもの定期連絡、ではなかった。

 レオナルド陛下とクリストファー王子、それにハルジオン王国のイレーネ王女を狙う殺し屋。


 それらを捕まえたという連絡。

 もうリンドウ帝国との戦争は、免れないところまで来ている。


 そんな話をしたから、エリック達が探しているというエレナ・ミルウッドの話もしてしまった。


 ベゴニア王国を裏切り、リンドウ帝国に情報を流し、あの急襲を引き起こした張本人。


 そんな奴を探すなんて、正気の沙汰じゃないと思っていた。

 友達、親友だったとしても。


 普通に考えれば、そんな友情は嘘だった、そして裏切られたのだ。

 しかしそれを言ったところで、エリックやユリーナが止まるわけじゃない。


 むしろそれを知ってなお、今もエレナ・ミルウッドを探しているのだ。


「……あのことは、言わない方がいいわね。極秘のことだし、あまり希望を見せない方がいいわ」


 急襲の後、騎士団団長のイェレや副団長のリベルトと話したこと。

 まだ憶測の域を出ないが、可能性は非常に高いと思っていた。


 すでにその話は、レオナルド陛下に話している。


 今はまだ誰にも話さず、極秘に調査をした方がいい。


 だからエリック達にも、教えられない。


「ただ、エレナ・ミルウッドが裏切り者というのは、変わらないわ」


 アンネは自分に言い聞かせるようにそう言った。

 魔法騎士団ではないから、特に関わりなど持っていないから、アンネは冷静に判断出来る。


 もしエリック達がエレナを匿おうとしたら、最悪エリック達ごと重い罰をくらわせないといけない。


 一国の魔法騎士団の団長は、適当な感情に惑わされてはいけないのだ。



 アンネはエリックと通信をするために外に出ていたが、終わったので王宮の部屋に戻る。

 そこには数人の兵士と、クリストファー王子がいた。


「おう、アンネ。エリックとの連絡は終わったか?」

「はい、終わりました」

「どうだった?」

「殺し屋を七人捕らえたようです。これから尋問をして、情報を聞き出すようです」

「そうか、七人も……その、エリック達は怪我をしていないのか?」

「はい、誰一人怪我をした者はいないようです」


 アンネがそう言うと、クリストはあからさまにホッとしたように顔を緩めた。


「そうか、よかった……まあエリックの強さなら当然か」

「そうですね。それにユリーナ・カシュパルとティナ・アウリン、ニーナ・グラジオもいるみたいなので」

「ニーナ・グラジオもいるのか。あいつは守護魔法がすごかったと覚えているが」

「ええ、それに今はティナ・アウリンが攻撃魔法以外の魔法を教えているみたいで……高度な魔法を、次々と習得しているみたいです」

「そうか、やっぱり才能はすごいんだな」


 他国の人間、しかもフェリクス・グラジオという危険人物の妹であるニーナ・グラジオに、そんなに魔法を教えていいのかという問題はあるが……。


 攻撃魔法は覚えられないらしいが、それでも守護魔法という超高度で最強の魔法を使えるほどの逸材だ。

 魔族でなく、フェリクスの妹でなかったら、ベゴニア魔法騎士団に入団して欲しいくらいの人材である。


(いや、別に他国でもフェリクスの妹でも、ニーナ・グラジオ本人には全く関係ないから、ベゴニア魔法騎士団に入れるんじゃないかしら? エリック・アウリン達にあれだけ協力しているのだから……いえ、利害が一致しているから協力しているだけね。エレナ・ミルウッドを見つけた後は、どうなるかわからないわ)


 他国の人間をベゴニア王国の騎士団に入れたというのは、聞いたことがない。

 危ない橋は渡らない方がいいだろう。


「王子、陛下はどこにいらっしゃるのですか?」


 本来なら陛下と王子、どちらもこの部屋で待機しているはずなのに。


「親父ならセレドニア国王と一緒にいると思うぞ」

「……そうですか。私達の国の兵士はついていきましたか?」

「いや、あいつがついてくるのをやめさせてた」

「はぁ、やはりそうですか。貴方達、五人ほど陛下の護衛に行きなさい。また帰されそうになったら、『王妃様に言いつけます』と言えば大丈夫でしょう」


 部屋にいる兵士が返事をし、五人が陛下のもとに向かった。


「そういえば、王子のメイドの方、アリサさんはどこに行ったのでしょう?」

「……あいつは、イレーネ王女のもとに行ったよ」

「……護衛は、必要ないですか?」

「大丈夫だろ、友達と話してくるってだけだからな」

「そうですか……王子は、ここに一人で?」

「……別に寂しくないからな」

「左様ですか」


 その後、夕食までその部屋には陛下やメイドのアリサは帰ってこなかった。



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