表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/46

【破―④】


「もういいだろ、もうさんざん暴れただろ。いい加減にしろよ。お前、何が目的なんだよ!」


 答えず。ただジッと僕を見つめている。あるいは睨んでいる。


「お前いったい何なんだ! ウンザリするような言葉ばかり言いやがって。お前に僕の何がわかるっていうんだ! お前は僕の親か? ああ⁉」


 答えず。だが奴は僕の方をゆっくりとした足取りで向かってくる。


「なんでなにも言わないんだよ! 訳わかんねえんだよ、喋れよ! こっちに近寄るな!」


 答えず。だが奴は僕の言う通りに止まり、それ以上近づくことはなかった。


「なんなんだよ、お前……。ホント、なんなんだよ……」


「ユウマ君、それ以上はいうな‼」


「お前なんか、消えていなくなっちまえよ‼」


 そんな事をいうから、心無い言葉なんか出てしまうから、全部狂っちまうんだ。空澄さんの声を書き消して、僕の声はこの空間全域に届いた。


『白々しい』


「え……?」


 気が付くと、闇の真っただ中に居た。


『知らないからといって、忘れてたからといって、白紙の記憶だからって、だからなんだ?


 許されると思っているのか。そんな訳がないんだろ。


 お前だって元凶の一部なんだから。無意識だろうが記憶を無くそうが、関係ない。一度汚れた魂は本人がどう見繕ったところで、汚物以外にはなり得ない。


 お前だってもう汚物の仲間なんだぜ。一つの汚物が二つになったところで、どちらも汚れた泥の塊よ』



「なにを言ってるんだ。何が言いたいんだ? いや……お前は何を知ってるんだ」


『お前が忘れた全部を俺は知ってるし、お前に教えてやることもできる。だからいい加減、戻ってこいよ。もういい加減疲れたよ。もうさんざんだ。何をやっても晴れやしない。いや、どうせ何をやっても無駄だったんだよ。もう手遅れだったんだよ。俺たちはもうどうやったって、報われないし、救われない。だから、こうして、今までの過去を文字通りに殴り捨てて、消し飛ばして、全部を終わらせようとしたんだ』



「僕には、わからないよ。何を言ってるんだよ」

『理解するのは、ほんの一瞬だ』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ