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四【パニッシャーの家】

 私は二人にはそのまま現実に待機してもらい、心世界へと再三侵入することにした。侵入した相手は、この家の住人だ。



 心世界に飛び込むと、一瞬で夜の闇に包まれた蔵井町の地形そっくりの空間に落とされた。空は雲に覆われ、町の街灯だけが照らす夜道。心世界からの離脱を試すが案の定、通常の離脱方法ではどうやってもこの心世界から脱出することは出来ない仕様になっている。


「確信を得られたな。やはりこの心世界は住人達全員がネットワークを形成している」


 だがどうやってそんな事が可能なのか。普通、心世界というのはコネクターがなければビジョン化できない。こんな集団かつ広範囲での心世界展開という事象がもはや次元が違う。ありえない。それを実現可能にする人物など、もうこの世にいない事を私は知っている。


「まあ、わからない事は棚に上げておいて、今はわかる事だけを処理していくかな」



 とりあえず心世界の蔵井町を探索する。現実側の蔵井町の地理は頭に刷りこんでいるので、全く変わらない事を確認しながら見て回る。


 ついでに住人たちの安否も怠らない。既に意識が溶け消えてしまった被害者たちは情報のパッケージ化を図り、復元可能な状態にしている。


 多少の記憶と個性の欠落があるかも知れないが仕方が無かろう。長期間の心世界入りに弱っている者がいれば行動停止のプログラムを入れて、消耗を防ぐようにする。これで私が来てから大体の住人たちは魂の喪失をせずに済むだろう。


 そうこうしている内に一番気になる地点へとやってきた。横に並ぶ家々とは少し毛色がちがう、まるでモデルハウスのようにきれいな一軒家だ。



「ここで間違いないね」


 ユウマ君の住んでいる自宅。桜花ちゃんに聞いてここまで来たが、特にここまで変化は無さそうだった。絶対に何かあると思って踏んできたのだが、今のところは何もない。


 何故そんな風に思うのかというと、ユウマ君はこの件に絶対に深くかかわっている。


 そんな気がするからだ。第一、カラスの中にユウマ君が入っている事がおかしい。本人の体と意識が離れ離れになっているのが何らかの要因が絡んでいる筈で、だからカンザシ男もユウマ君を探していたんだ。


 それに桜花ちゃんがユウマ君を監視していた理由も気になる。詳しい事は桜花ちゃんも知らないらしかったので、突っ込んだことはわからなかったが。



「斥侯キャラ召喚、プロテクトの確認」


 アルフ、ベイタ、ガマの三人を召喚し門をくぐらせる。しかしながら何事も起こることなくキャラは家の中へと姿を隠していく。音信事態は継続しているし、どうやら何も起きないらしい。


「トラップもないのね」


 何か得体のしれない不気味さを背筋に感じながら私も門をくぐる事にする。こういう時、私の直感は嫌なほど当たるので、絶対に警戒は怠らない。


 重い玄関扉を開けて玄関から内部を見ると、普通の廊下が見える。彼の部屋は二階だろうか? と想像した瞬間の事だ。一歩足を踏み入れ、中に入った瞬間に景色は激変した。


「真っ白? なに、これ……」


 壁も、床も、天井も、下駄箱や扉、間取りの形はそのままで、中に入ると角枠だけが見える真っ白の屋内になった。置物や小物などはどこにもない。


「……外観記憶を消去されてるのか。誰の仕業だろう」


 予感的中という所か。とにかく無事な箇所はないかを調べる。間取りはそこまで多くはないが、そこそこ広い様に思える家だった。あちこち歩き回るが、あるのは部屋が数か所、たぶんリビングとかキッチン、それから小部屋が数か所と風呂とかトイレ。誰かと一緒に住んでいる様子はなかったと言っていたが、果たして本当にそうだったのか……。


「復元、できるかな」


 完全に削除されてしまっていたらどうにもできないが、この場に記憶の残滓でも残っていれば、手掛かりになるはずだ。とりあえず解析に取り掛かろうかとも思ったが、その前に片づけなければならない相手が来た。



「……これは骨が折れそうだね。カンザシ君」



 家の入り口へ声を投げかけると、隠れることを辞めて潔く長身の男が現れた。


「よく気が付いたな。何故分かった」


 声は非常に落ち着いていて、壮年のような穏やかだった。


「エリアに感知地雷をばらまいてた。さっきからアラームが耳元でよく鳴ってるんだ」


「不可視の地雷だと? よくもまあそんな高度なクラフト出来るな。おまけに趣味も良い。全く気が付かなかったよ。大した腕だな。それに運も良いらしい、胸に弾丸喰らって生きてるやつを俺は初めて見た」


「お蔭で私の愛車の鍵がひん曲がっちゃったんだから。絶対弁償してくださいよ?」


「あぁ、考えといてやるよ」


 おや、と思う。意外と素直な返しだ。ただし不適な笑みさえなければの話だ。まともに信用できやしない。


「俺に協力してくれたらの話だがな」


 ほら、やっぱり。


「ここのエリアを修復するのはかなり骨が折れそうなんでな。そっちでやってくれるなら、俺は楽ができる」


 ウィザード級の腕を持つ男がエリア修復の手間を任せるというのは、きな臭いことこの上ない話だ。何か厄介事を隠しているに違いない。


「一応聞きたいんだけれど、断ったら?」


「もちろん八つ裂きだ」


「協力の意味、知ってる? 脅迫して従わせるって意味じゃないんだよ?」


「日本語って難しいんだな。一つ勉強になったよ」


 カンザシ男はポケットから手を出す。腕にはアビリティコードがすでに走っていた。



「ExC実行。魔剣アルマゲドン、妖刀九頭竜」



 乾いた木を折るような耳障りな音がした。奴の体から発する音は鳴りやむことなく続き、いきなり大音量で血肉が破れる音が鳴る。同時に、カンザシ男の黒いスーツの背中からガシャドクロの巨大な骨の腕が二本現れた。その姿はまさしく妖怪だった。


「どうする? 今ならまだ間に合うぞ?」


「うん、降参」


 手のひらを見せながらの両手を上げるポーズ。絶対にやりあいたくないので素早く、瞬時に、なんなら土下座でも、降伏の記に腹でも見せようかという勢いで辞退する。


「……なんのマネだ?」


「いや、降伏してるんですけど?」


「俺は両手上げて、土下座して、最後に仰向けになって腹見せる奴を初めて見たぞ。お前、何を企んでやがる?」


 なぜ相手の目論みに乗っているのに何してんだお前と言われなければいけないのか。もしかして素直に従うとは思っていなかったのか?


「争い事は好きではないので。それに目的は今のところ一致していますし。この家の内部外装を修復すること自体に、異論はないです。協力とあれば賛成ですよ。それにもう終わっちゃいましたし」


 バックグラウンドで動作していた作業の準備が整ったので部屋の修復を終わらせ、結果を反映させる。


 真っ白だった家の中身が本来の姿を取り戻していく。カンザシ男は突然の変化に肝を抜かれた様な反応を見せてくれた。


「あと、逃げられない様にこの家の区画に出入り禁止のプロテクトを張りました。でも罠が発動して私だけに面倒を押し付ける気がないのならば、問題ないですよね。


 ちなみにこのプロテクトは心世界からの強制離脱もシャットアウトし、ついでに私が死んでも自立稼働し続けます。と脅し気味ですけど、仲良くしましょうね?」



「……早すぎる。一体、どうやってそれほどの処理を同時並行して行えるんだ。しかも、そんな仕草、一切してないだろうに」


「いやいやーそんなに褒めないでよー。照れちゃうって」


「だが、逃走経路を無くしたのは後悔するぞ」


 修復された部屋が完成していく中、部屋全部の家具に異変が起き始めた。


 最初はきれいに並ぶテレビやテーブルや棚たちが、テレビの砂嵐が発生するように一瞬ぶれた。そして瞬く間に壁や家具に、渦巻く不穏な模様が生まれ始める。模様はやがて腐り落ちた黒い穴となり、部屋のあちこちに痛ましい程の荒れた後を見せた。


 傷の隙間から黒い油のようなものが垂れ流れてくる。これは呪詛だ。小さいが、小さくても最悪命取りとなる。人のネガティブな感情によって生み出されるもので、取りつかれれば憎悪を増幅し、いつの間にか心を支配されてしまう。なんて事もある。



「どうすんだよ、これ。殴ってどうにかなるもんじゃねえんだぞ」


「ちょっと君の事を買い被っていたみたいだ。これしきの事でうろたえるだなんてね。ウィザード級の腕だと思ってたんだけど、戦闘特化したヴァンダル並みの腕じゃあ、確かに逃げるしかないよね」


「……なんだと?」


 少し彼を怒らせてしまったようだったが、これでプロと呼ばれるのだから笑わせる。


「本物はね、もっと臨機応変に分析して、理論の構築、思考実験をして、修正を重ねて一つのコードをクラフトする。相手を破壊するだけが手段じゃない」


 呪詛の塊に一つの命令コードの雫を飛ばす。それだけで一塊の呪詛は媒介となった記憶に戻る。私がいま手を掛けた呪詛からは一枚の写真だった。その経過を見て、家中の傷に命令の水を侵入させると、呪詛は形を成して床に落ちていく。指輪とか、化粧道具箱とか、今はもう見ないCDプレイヤーなど。


「どんな局面にも対応する。それができてこそウィザードと呼ばれるんだ」


 カンザシ男の事は無視して最初に落ちた写真を手にする。


 みると、新婚夫婦なのか、幼い子供とその両親が写っていた。子供の顔は黒いモヤで見えないし、母親の顔はモザイクでわからなくなっていて、男の顔は火であぶった様に黒く焼けて穴が開いていた。


 それに写真自体も日に焼けていて、かなりの年期が伺える。数年前の光景でも見ている様だった。他の道具も、どうやら相当な年月が見てうかがえる。青錆びていたり、カビが出ていたり、無人を思わせる光景だ。



「ねえ、君はこの写真をみてどう思う?」


 質問を投げかけると、カンザシ男は仇敵でも見る様な熱い視線で私を捉え続けている。


「ちょっとちょっと、その威殺さんとする目はなんですか、協力しよう?」


「まさかとは思ったが、お前エクスマキナか」


 何の話だろうか。



「超ウィザード級……ゴッズの腕前を持つ女、心世界で無類の強さを誇るとか。この目で見るまでただの与太話かとも思っていたが、本物がいたとはな」


「誰かと間違えてない? 私、そんな呼ばれ方したことないし、名乗ってもないよ。もし名乗るとしたら――」

「愛と正義を貫く傭兵、だろ?」



 ……なん、だと? と、いかんいかん。ふざけてる場合じゃないか。


「いかれた女だよ、何が愛だ。何が正義だ。愛とか正義なんていって、ただの自分勝手を貫く建前じゃねえか。脳みそが土と入れ替わってんじゃねえのか? だから頭ン中までお花だらけなんだろうよ」


「私、そんな風に呼ばれてたの?」


 恥しいとか思う以前にまず驚きだ。そんな二つ名で呼ばれてたなんて、私も有名人になったものだ。全く実感がわかないが、今度からサインの練習でもしておこうか。


 浮かれていたら脈絡もなく巨大な骨が襲い掛かってくる。当然これは避ける。


「これでテメエを殺す理由が出来たな。お前にはみんなが迷惑してるんだ、心当たりくらいあるだろ?」


「……殺す、ね」


 昨今はどこもかしこも血なまぐさいな。どうしてみんなそうやって死を簡単に押し付けるのか。涼風ちゃんも、目の前の男も……。


「そういうの、やめない? 殺すなんてさ」


「傭兵のセリフじゃあねえな。傭兵なんざ殺し屋の代名詞だろうが。お前もプロなら殺しくらい慣れたもんだろ。それともそんな事もわからないのに、傭兵名乗ってんのか?」


 ……ふざけるな。私は殺す為に傭兵やってるんじゃない。


「わかってないのは、どっちだよ。ホント……」


 久々に、呆れた。どうしてそう簡単に言えるのか。


「殺しちゃったら、死んじゃったら、その命は二度と帰ってこないんだよ」


 失った命は、元に戻らないんだぞ。ありがとうも、ごめんなさいも、さよならも、全部伝えられないんだぞ。本当にわかってるのか?



「なに白々しい事言ってんだ。当たり前すぎて話にもならねえ。やっぱりイカレテやがる。人を殺しちゃいけません……なんて言うのはな、恵まれたヤツの戯言だ。現実はそんな甘くねえんだ。この世の本質は略奪ゲームだ。攻めなきゃ自分が奪われる。俺には通用しねえよ」



 違う。そうじゃあない。


「なにが正常で、何が異常かなんて、人によって別物だ。そうだろう? 他人との価値観が違っているからと言って、そうやって全てを否定しないでくれ。どうしてそんな簡単な事がわからない? 君だって殺されるのは嫌だろう? 否定される事は悲しいだろう?」


「そんな理屈は知らんね。自分が死ぬ事なんざ考えて生きてる奴がいるか?」


「……どうあっても、聞き分けてくれないのか?」


 胸を締め付ける様な沈黙だった。悔しいが私の言葉は彼には届かない。仕方がないさ、分かり合えないのも人間という奴だ。


 私も覚悟を決め、どこまで本気を出すかどうか考え始めた時、床が大きく縦に跳ねて揺れた。


「な、なんだ⁉」


 何かが下から突き破ってくるような振動が続き、やがて床を突き破って二本角の羊の頭をした悪魔と形容できそうな人間が這い出てきた。黒いモヤを纏ってはいるが、身体に実体がある所を見ると、どうやらこれは昨日のモヤの塊の本体らしかった。


 しかも今度は冷静さの欠片もなく、所かまわず殴り壊している。そんなにもこの場が気にくわないのか。


「面倒な状況になっちまったが、関係ない。形態変更『アルマゲドン』」


 カンザシ男の背中に生えた巨大骨がまたしても乾いた木を折る音を出し、右の骨が瞬く間に大質量の大剣に変形した。人が扱えるサイズの剣から遥かに逸脱した大きさだった。


「雑魚から片づける!」


 カンザシ男が巨大な大剣を左の巨大骨の腕に握らせ、大きく薙ぎ掃う大振りの斬撃が乱入してきた男に襲い掛かる。


「止めて、アルフッ!」


 部屋の影に潜ませていた燕尾服マネキンのアルフをモヤの塊とカンザシ男の間に割り込ませる。


「邪魔だッ!」


 そんな事もお構いなしにアルフごと黒いモヤを叩き飛ばした。


 アルフはパーツごとに吹っ飛び、黒いモヤも大剣の腹部を一文字に切られ、地面に膝をついた。そこから一秒の猶予もなく、大剣を枝切れでも扱う様な軌道で真上から叩き斬ろうと振りかぶる。


 あのままでは黒い男は間違いなく首をはねられ、精神を破壊されてしまう。そんなこと、絶対にさせてはならない。


「させない!」



 今度は自分の体を速度上昇スキルを使って二人の間に割り込ませた。


 相手の武器が相当高度な武装だという事で、最高ランクの装甲の防壁を張った。が、カンザシ男の斬撃によって、紙を破るほどに意図もたやすく抜かれた。慌てて二枚目、三枚目を構築するが、すぐさま二枚目も破れ、止まったのは三枚目だった。それもこっぴどく無残に半壊している状態だった。


 なんて破壊力だと内心で冷や汗がでた。こんなので本当に両断されていたら、いくら私でも修復不可能だったかもしれない。攻めるだけなら本当に超が付くほどの逸材だ。


「なにしやがる! テメエだって気が付いてんだろ、コイツがこの町の異変を起こした諸悪の根源だってことくらい‼ なんだってそんな奴を庇うんだ⁉」


 カンザシ男の糾弾に返事する間もなく、背後の黒いモヤの男の雄叫びが耳をつんざいた。振り向くと拳が飛んできていた。すぐさま先ほどと同じ装甲を張る。


「え?」


 身体に衝撃が走った。横腹から全身に掛けて、皮膚と肉を突き破られるような衝撃だった。


 そのまま体は宙に浮き、カンザシ男ごとまとめて家の壁を突き破って外へ叩き出された。外の地面にくの字に倒れ、やっと意識が戻った。



「な、なんだ、奴の拳。お前今、防壁張ってたよな?」


 腹を殴られ、返事をするのも苦しいが、やせ我慢で立っては見せた。だが、脇腹は無残にも弾け飛び、中身が飛びだしている。自動修復のプログラムがすでに発動しているが、どうにも直りが遅い。


 とにかく、何が起きたのか理解できなかった。事象だけ確認しても理解しがたい事が起きた。黒いモヤの男の拳を防ぐために張った装甲は間違いなく張っていた。装甲を張るのが間に合わずにすり抜けたわけではない。



 そう、すり抜けたんだ。ありとあらゆる攻撃を防ぐ目的で創られた心世界戦用の無類なき盾が、破られたわけでもなく、無視され透過したのだ。



「防壁無効か」


 カンザシ男とは全く違う。力技でなく、次元が違う特別ななにかで装甲を攻略された。


 さらに攻撃された腹には呪詛が仕込まれている。これに自動処理のキャパを割かれていたのか。すぐさま中和をさせて治癒を後押しする。


 しかしそんな猶予もなく、黒いモヤの男が空いた壁から現れてこちらに向かってくる。


 どうすべきか思考していると、カンザシ男が私の前に立って盾になった。


「テメエを殺すのは後にしてやる。先にあれを何とかすべきだ。違うか?」


「それには賛成するけれど、絶対に相手を殺さないって約束できなければお断りよ」


「テメエはまだそんな事言ってんのか⁉ そんな悠長なことを言ってる場合か‼」


 怒鳴るカンザシ男だが、猛牛のように突進してくる黒いモヤの塊を受け止めるだけで既に手一杯だろう。巨大な骨剣を地面に刺して盾にしているが、それでも止めきれずに地面を裂きながら後退している。相手のでたらめな出力が圧倒している。


「野グソ野郎が、調子に乗ってんじゃねえ‼」


 カンザシ男は身軽にも後退しながら右に回転して避けた。その勢いを利用して大剣という俊敏さとはかけ離れた武器で、光速の一閃を繰り出した。思わず静止する事もできなかった。完璧に黒いモヤの胴体を捉えていた。だというのに、黒いモヤの塊に傷はなく、平然とした態度で振り返った。剛爪と太く尖った指でカンザシ男の胸部から腹部をえぐられた。


「なんだよそれ、ふざけんなよ……」


 そんな酷い状況なのにも関わらず、悪態つきながらも男は剣を手放さなかった。その闘志は立派だが、このまま戦っても勝ち目はない。


「剣を放せ!」


 私の指示を素直に聞くとは思えなかったが、カンザシ男は意外にもこちらの意思に従った。お蔭でメイド服姿のベイタがカンザシ男をかっさらい、ガマが間に割り込んで応戦することに成功した。



 ガマは仕込み刀のほうき持ちという設定で創っているので、多少戦闘が可能となっている。抜刀し、直刀独特の突き切りで敵のガードをすり抜け、胸に一刺しする。



 あまり意味はないと思えたが、奴の動きが突然動きを止めた。



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