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四一段 強くなったあいつらと俺はいつか対峙しなきゃいけない


『……シギル兄さん、聖騎士の仇が見付かってよかったね』

『ああ。それにしてもあの弓道士アーチャー、凄いな……。矢を放つスピードがおかしかった。弓を引く動作さえ見えなかったってことは、普通に撃ったんじゃなくてスキルか何かかな』

『うん。あれは《ラピッドシャワー》だね』

『へえ、あれは《ラピッドシャワー》っていうのか……。リセス、弓道士に詳しいんだな』

『というか、同業者で一番多いのが弓道士だから……』

『……なるほど』


 よく考えなくてもなんとなく納得できるな。なんにも知らない状態から、殺し屋に最も相応しい職業はなんだと問われたら、ほとんどのやつが弓道士と答えそうだ。ただ、矢の消費が激しくて貧乏人がやったらすぐ破産するジョブだとも言われている。転職試験は一番簡単らしいんだけどな……。


『それで、《ラピッドシャワー》っていうのは具体的にはどんな効果なんだ?』

『短時間だけど、高速で矢を幾つも放つことができるの。周りからは、ほぼ同時に発射してるように見えるほどにね。でも、ハートも使わずに全部当ててる人は初めて見た』

『……ハート?』

『《心眼》っていうアクティブスキルの通称。弓道士が矢の威力や精度を上げるときに《集中力向上》とセットで使うものなんだよ。ただ、一発ごとに溜めないといけないからああいう連射するスキルとは相性が悪いの』

『……つまり、それだけ命中させることに自信があるってことか』

『そうだね。コルヌモールクラスなら、きっと使ってたと思うけど……』


 改めて、あの中級者パーティーが聖騎士の仇なのはわかった。いつの間にかクイーンアントを倒して光に包まれてしまったが……。


『シギル兄さん、そろそろ戦う準備をしておかないと……』

『ああ、俺たちもとっととボスを倒して、やつらに離されないようにしないとな』

『いや、あのパーティーと戦う準備だよ』

『……え?』

『シギル兄さんの妨害行為に気付いてるみたいだし、ここに戻ってくると思うよ』

『まさか……ちょっとボスの位置をずらしただけでこっちの存在に気付いたっていうのか?』

『うん』

『でも、あいつらそんな素振りは一切見せなかったんだけど……』

『警戒していると思わせないように、あえて知らない振りをしてたんだと思うよ。実際は誰かに妨害されたことに気付いてて、しばらくしたら様子を見に戻ってくるはず』

『……』


 普通なら考えられないことだが、あれだけ冷静沈着な中級者パーティーならそういうこともやりかねないな。何より殺し屋レイドが言うんだから間違いないだろう。よし、早速準備するとしようか……。


『シギル兄さん、次は私がやる番だよね』

『……あ……』


 そうだった。でも俺がやりたいなあ。


『そりゃあ、レイドがやればあんなやつらすぐ殺せるだろうけど、俺の対人の腕はまだまだだからあいつらで練習したいんだよ』

『練習?』

『ああ。エルジェたちだって俺がいたときよりずっと成長してると思うしさ。あの髭の殺し屋はともかく、強くなったあいつらと俺はいつか対峙しなきゃいけない。だからそのための練習をしておきたいんだよ』

『……そっか。結構手強い相手だと思うけど、大丈夫かな』

『厳しくないと修行じゃないから……』

『……それ、もうシギル兄さんの決め台詞だね』

『あはは……』

『でも、危ないと思ったらすぐ私に代わってね』

『ああ、それはもちろん……』

「――師匠ぉ!」

「わっ……」


 普通にびっくりした。気が付くと涙目のラユルがすぐ側にいたからだ。


「……ラユル……心臓に悪かったぞ。向こうで待ってろって言っただろ?」

「はいぃ。でもでも、ボスさんが倒されたのに師匠が戻ってこないから心配で、それで探してました! 無事でよかったですうぅ……」


 ラユル、師匠のことをそこまで思ってくれるのは嬉しいが、いつかそれが仇になりそうで怖いんだよな。じっとしてられないタイプかもしれないし、何か役割を与えてやるか。


「ラユル、頼みがあるんだ。蟻を倒しててくれないか?」

「ええっ!? 私一人でですかぁ!?」

「ああ。その間に俺はあいつらをやっつけるからさ。こっちの妨害行為に気付いたのか、戻ってくるみたいなんだ」

「ということは、きゃつらがあの聖騎士さんの仇だったんですね……!」

「ああ、ラユルも見ただろ。あの弓道士の実力」

「はい、凄かったです! 確かにあの人ならボスのモグラさんにもずばっと当てちゃいそうですねぇ……」

「それで、俺があいつらを倒したあとにちょうどラユルがボスを出現させてくれれば、その分時間が浮くだろ?」

「ですねぇ。わかりました! 蟻さん覚悟ぉ! 《テレキネシス》――!」


 ラユル、はりきった様子で早速ハニーアントを飛ばし始めた。最悪、ボスと名射手のいる中級者パーティーの挟み撃ち状態になるわけだが、そうなったらそうなったでハードなものの良い訓練になるはずだ。女王蟻を出現させるのに一万匹くらい潰さなきゃいけないみたいだし、多分大丈夫だとは思うが……。

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