ゲームの主人公をゲームの世界の人から見た場合
ユリア(お留守番少女)は12.3歳くらいを目安に読んでください。
王様が阿呆だとかはやめて下さい(●゜ェ゜))コクコクそうじゃないとあの反応できないじゃない←
突然家のドアが開いた。無言で入ってきた武装した男に1人でお留守番していた私はソファの上から動くことも出来ず、悲鳴をあげることすらできませんでした。
こわい、こわい、少しでも身動ぎすれば襲いかかってきそうな恐ろしい男は、タンスを開けるとお父さんの普段着を手に取りポーチに入れました。
タンスから離れると今度は私が座っているソファの後ろにある机の引き出しを開けました。そこには、お父さんが一生懸命働いて稼いできたお金が入っているはず。私は何も言うことが出来ずただ、早くいなくなって欲しいと思うだけでした。
(どうしてまだいるの!?早く帰ってよぉ)
どのくらい時間が経ったのか分からない。1時間か2時間か、窓から入ってくる太陽の角度的にそろそろお昼になる頃、もうすぐお母さんがお昼ご飯の用意に帰ってくる。
(お母さん、まだ帰ってきちゃだめ・・・まだ)
男はその間ずっと家の中を物色し続けていたがもう盗む物が無いのか玄関から出ていった。
「う、うぅ、うぅぅ、怖がっだよぉ」
出ていった、その安心感からか私は思わず泣いてしまった母が帰ってきて泣いている私を見つけて駆け寄ってきて背中を摩ってくれた。
私はお昼ご飯を食べながら何があったのかお母さんに話した。お母さんはお昼にお父さんと話すと言って、食べ終わったら私と一緒にお父さんの働いている食堂まで向かいました。
「な、なに!」
お父さんはとても怒っていました。私が今まで知らない、あの優しいお父さんがこんなに怖かったなんて。
「あなた、落ち着いてユリアが怖かっているじゃない」
「あ、あぁ、ユリアすまない、怖かったな」
そう言って私に抱きついてくれました。
「俺は今日はもう仕事も終わりだから村長の所に行って話をしてくる」
お父さんは駆け出して、村長さんのお家に向かいました。
私が家に帰って少し過ぎた頃村の入口の方から中央の広場の方へと騒ぎが起こっていることに気付いた。
そっと窓から広場の方を見てみると、大きな猪が置かれていました。
そしてその隣には家に入ってきた男が立っていました。
夕食の時にお父さんに聞いた話では村の近くの森にあの大きな猪が居たらしくて、あの男が倒したそうです。
もし倒していなければ私たちの村は襲われていたかもしれないし、倒そうと思ったらたくさんの人が怪我をするくらい強いらしいです。
そんな大きな猪を無傷で倒すあの男はこの村の誰よりも強くて、だから家のものを盗んでいったことを追求できずに少しだけお金を渡してここから近い大きな街を目指すように言ったそう。
数年後その男は国を襲ったドラゴンを倒し英雄と呼ばれるようになりましたが、私達の村は彼を英雄とは呼びません。絶対に。
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「ほ、報告いたします。城に侵入者あり、数は1ですが近づくことすら出来ません」
「どういうことだ?」
「それが分からないのです、ある一定以上に近づくと押し返される透明な壁のようなものがありどのような攻撃も弾かれます」
甲冑を身にまとった屈強な男が玉座に座る王へと報告する。
「何か要求はしておるのか?」
「いえ、城に飾られた鎧や剣を恐らくマジックアイテムであろうポーチに収納し盗んでおります」
「むぅ、部屋には入っておらぬのだな?」
「はい、とは言えいつ侵入するか分かりません。王子王女様を最奥部へ王と王妃様はここへ、部下を総動員して警戒にあたらせます」
「うむ、それしかないのぅ」
城の緊張感が最高潮に達した中男は通路の両脇にある鎧や剣を収めていく。何も悪いことをしているような素振りを見せていない。まるで全て自分のものだと主張しているようで。
その時城の外からとてつもない威圧の篭った叫び声が響いた。
「な、何事だ!」
王の近くにいる白銀の鎧に身を包んだ男が部下へと声をあげる。
「そ、外に黒龍が出現城の周りを飛翔しております。既に外に待機していた兵は破られました」
「な、なんと・・・」
「ほ、報告!城内に侵入していた男が黒龍と交戦、少々ではありますが押しております」
「まさか、あの男はここに黒龍が来ることを知りその事前の準備として替えのきく装備を持っていったのか?」
「だ、だとしても、それは貴重な美術品を盗んだ罪には!」
「よい、儂やお主がもし、あと1時間でここに黒龍が来ると聞いて信用したか?」
「そ、それは・・・」
「出来ぬだろう、儂とて信用出来ぬだろう。ここはあの男に加勢するかのぅ」
2時間が過ぎた頃地響きとともに黒龍の断末魔が聞こえた。
「汝、この国の危機をよくぞ救ってくれた。褒美として国の宝剣を授ける。これからもこの国の平和のために精進したまえ」
ここに、国を救った英雄が現れた。誰の力も借りず黒龍に立ち向かおうとした勇気ある英雄が。