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出現!魔法少女

うん……

「…それは俺らのことを言ってるのか?」


 兎亜が突然現れた少女に話しかける。よく観察すると、彼女自身に大きめの魔力がながれていることがわかる。あちらの世界でも上位に入るほどの魔力保持量であった。


「うぇ!?しゃべりましたぁ!?」

「…………」


 よくわからないが俺たちはしゃべることのできない奴だと思われていたらしい。兎亜と美優とアイの三人は、目の前にいる少女を無害であると判断し、臨戦態勢を解いた。


「(ねぇちょっとっ!現れたのは化け物なんじゃなかったの!?どう見てもにんげんなんだけど!?)」

『(おかしいわね……。とりあえず攻撃してみましょうっ!)』

「(えぇ!?)」

『(あの魔力量からして化け物には変わらないです。人間が保持できる限界量を超えています。たぶんあれは人間の言葉を模倣することができる化け物なのでしょう)』

「(ほんとだね!?しんじるよ!?)」


 敵そっちのけで目の前で相談するというシチュエーションは、ギャグバトル漫画などで見ることがあるが、実際やられるとこれほど困ることはない。

 どうすればいいのか反応に困るというものだ。全部聞こえてるのだが。


「…おい」

「はい!?」

「まだかかる?」

「いえ!もう終わりますので!少し待っててください!!」


 一回こっちを見てからまた相談に戻る少女。こんな至近距離であるのに、こっちに聞こえているという可能性をを考慮していないことも困りものである。

 聞こえないふりでもすればいいのだろうか。

 兎亜達三人はただただ少女を待った。


「(ほら、あの人たちどう考えても人間だよね!?意思疎通できたよ!)」

『(わたくしが言ってるんですから間違いないですってぇ)』

「(うぅー……わかったよぅ……)」


 どうやら相談は終わったようである。兎亜達三人は、目の前の魔法少女に敵認定(仮)されたらしい。


「終わったか?」

「はい……。」


 少し憔悴した様子でステッキをこちらに構える少女。

 話を聞いたところ、ステッキが俺たちを化け物認定をしており、少女の方は人間だと思っている。しかし今までの経験則からステッキのいうことを一応信じているということだろうか。

 兎亜は冷静に彼女のことを分析していた。幸い話が丸聞こえしていたため、情報には困らなかった。

 もっとも、相手を分析することしかすることがなかったわけだが。


「あの子大丈夫でしょうか……。妙に疲れていますが」

「ほっといてやれ」

「……ご主人ガンバ」

「お前忘れたころにそれ入れてくるのやめろ………お?」


 ふと気づくと、目の前の少女の魔力の開放量が上がった。バフでもかけているのだろう。身体強化系の何かだろうか。看破系統のスキルはある程度上げていたはずだが、それでも兎亜は詳しくわからなかった。相手の隠ぺい系統のスキルレベルが兎亜より上回っているということである。

 兎亜なら本気をだせばスキルの看破程度スキルレベルの数値など関係なしにできてしまうが、それをする理由が兎亜にはなかった。兎亜達は少女の一応の敵であるが、兎亜達からすれば少女の強さはあまりにも自分たちとは違いすぎるため、目の前の少女が本気を出したところで敵ですらないからだった。


「君、ひとつ言っておきたいことがあるんだけど、いいかな?」

「ふぇ?」


 兎亜は、バフをかけ終わったであろう少女声をかけた。


「僕はね、たぶん君たちに勘違いされているんだと思う。まずの僕は人間だし、化け物なんかじゃない。たぶん、君は薄々感づいているよね?」

「う………」

『(怪しいですねぇ…自ら怪しくないよと言ってくるやからほど怪しいものはありません)』

「そしてそこのステッキ」

『(……なんですか?)』

「多分、君も同じなんだろう?人間の反応であるはずなのに人間ではありえない魔力保持量。たぶんこの矛盾で君は迷っている」

『(……)』

「その魔力の質からして、ステッキさんは多分『守護者』だろう?なら僕たちは敵じゃない」

『(!?やっぱりこいつ危険よっ!有香ゆか!)』


 あの少女は有香というらしい。


「でも今は僕は敵として君たちを迎えよう」

『(……っ…どういうことです?)』


 ステッキが兎亜に問いを投げる。それはそうだろう。敵でないといいながら今回は敵になると言い出したのだ。

 矛盾している。ステッキからしたら意味が分からないだろう。存在そのものが矛盾している人物。敵じゃないと言ったら今度は敵だと言い出す。ステッキは今まさに混乱していた。


「僕は、敵として君たちを迎え入れる。だから君たちは本気でかかってくるんだ。なに、僕たちと言っても戦うのは僕だけだし、僕も手加減はする。君たちが本気を出したところでに傷一つ入れることはできないから、安心して本気を出してくれていい」

『(あなたは一体……)』

「いや、先ほどの君の反応でわかったよ。なるほど。この世界の守護者はこういうかたちで存在しているのか、とな」


 兎亜の雰囲気が少し変わった。話しかけた当初は僕であったはずの一人称が俺になった。話し方も変わったし、纏う魔力も変質している。


「まだわからないか。この世界の守護者を俺が裁定してやると言っている」

『(あなた、何を言って……)』


 兎亜から魔力が漏れる。それは普通のものではなかった。常人では当てられただけで気絶するであろう魔素濃度。それに充てられてもなお意識を保っていられる少女は、やはりある程度優秀であることの証明であった。


『(……これ、もしかして神気!?聞いてないわよ神がおりてきてるなんて!!)』

「俺はこっちの神ではないからな」

『(!?もう何が何だか………!)』

「そんなことはどうでもいいだろう。そんなことより準備はいいか?」


 兎亜は自らの頭上に魔方陣を作り出した。


「まずは小手始めだ。俺自らが施しを与えるなど、なかなかないことだ。光栄に思うがいい」


 直後、魔方陣から魔力の砲撃が放たれた。空間が歪む。彼の全力には程遠いがそれなりに、いや、かなり強めの攻撃。


『(っ!!有香!全力で防御!)』

「は、はいっ!」


 いま、兎亜と少女との闘いが始まったりする。









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