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達観したつもりだったけどそうでもなかったらしい

もっと淡白だと思ってたけどそうでもなかったらしい

作者: 透凪真白

未読の方はシリーズ「達観したつもりだったけどそうでもなかったらしい」「そんなに好きじゃないつもりだったけどそうでもなかったらしい」の二作を先にお読みいただくと分かりやすいかと思います。

「え?」

「いやだからさ、だいぶ良くなったんじゃない? 男性恐怖症」

 えのちゃんの言葉に「そんな大げさな」と苦笑したところで、しかし私も最近ではすっかりクラスの男子と話しても緊張しなくなったな、と感じていた。それはたぶん、基くんとおおおおおお――こほん。

 おつき合いを、したからなのだろう、と、思う。

 朝のHR前の時間帯でざわついた教室内。ちらりと視線をやってみると、最近では珍しくもない光景が目に飛び込んでくる。

「おのれ沢田」

「ちょっと」

 ぎりぎりと歯軋りをしそうになる私に、えのちゃんは容赦なく手刀を落とす。痛い。

「いいかげんその同性に嫉妬する癖をどうにかしなさいよね」

「うう――だってだって」

「私の彼氏にけちつけようってんなら相手になるわよ」

 ぎろりと睨み付けられて、私は「ありません」と答えるほかない。そう、そうなのです。

 なんと、私と基くんが交際を始めてからおよそ一ヵ月後に、えのちゃんと沢田も何がどうしてそうなったのか男女の関係になったのだという。いや、男女の関係ってなんか響きがいかがわしいな。そういう意味ではなくてですね。って脳内で誰に言い訳してるのだろう私は。

 沢田は、いいやつだ。それは分かっているし、色々と難しいコンプレックスを抱えるえのちゃんをどうにかしてしまえる包容力を持っている男だろうと思う。だから別に反対なんてしないし、むしろ祝福したい気持ちしかない。けれどそれとは別問題があるのだ。

 私の恋人――吉村基くん。彼はそもそも、クラスでもあまり目立たない存在だった。

 静かで、教室の隅でいつもそっとざわめくクラスメイトを眺めているような男の子で、けれども本当はひとつひとつの仕草がいやにかっこいいだとか、そもそも本人もかっこいいだとか。そんなのは、別に私しか知らないままでよかったことなのに。

 沢田という男は、かなり気さくで、その癖あまり不快にならない距離感を保つのが上手だ。だからなのか、基くんとあっさりと打ち解けてしまい、基くんが少しずつ表情を見せるようになったり、言葉を交わすようになったら、みるみる彼は明るい方へと引っ張られてしまった。

 基くんが、静かに微笑む顔が好きだった。

 滅多なことでは笑わない彼だけれど、ふとした拍子に一瞬笑みを浮かべるその姿に、いつもときめいていた。実はちょっとむっとしているんだなとか、今は少し悲しいのかなとか、段々と無表情からもちょっとした変化が分かるようになっていたのに。それを沢田はあっさりとくずして、もっと分かりやすい人間に彼を変えてしまった。いや、今だって別に感情表現が豊かなわけではないのだけれど。

 あ、ほら。

 しょうがない奴だなって感じで、また苦笑してる。あーあ、沢田はいいな。いろんなことが許されて。私だって、基くんに「しょうがない奴だな」ってこつんとかやられてみたい。そういう乙女な願望を、どうして沢田はあっさりとクリアして私よりも早く体験してしまうんだろう。私が恋人なのに。私の基くんなのに!

「そもそもさあ、男に嫉妬してる場合なわけ?」

「え?」

 相変わらず宿題をあの手この手で写させてもらっている沢田とそれに便乗するその他に囲まれる基くんをみつめていると、呆れたようにえのちゃんが私を見下ろした。

 私は自分の席に座っているけれど、えのちゃんは立って会話をしているため自然とそうなるのだ。えのちゃんは腰に手を当て、まるで出来の悪い生徒を見るかのように私へと視線をやると、大げさに首を振った。

「あんただって分かってるでしょ? 最近、吉村が人気あるって」

「うっ!」

「しかも誰かさんが恥ずかしいからって大々的につき合ってまーすって言ってないもんねえ」

「そ、そんな、だって、発表するもんでもないでしょ……」

 それに、隠しているわけでもない。私は「ふたりって仲良いけどつき合ってるの?」と訊かれればイエスと答えているし、基くんだってそうだ。別に私たちの間で何かしらの取り決めをしたわけではないから、そのうちほとんどの人間に知られるのは時間の問題だろう。けれどなんというか、私と基くんが「そういう仲」だろうと勘付くのは人を観察するに長けている人物が多いようで、おとなしかった私とそこから豹変した私――べつに豹変したつもりもないけど――を受け入れて仲良くしてくれている女子ばかりなものだから、口がかたい子が多い。面白がって広めるタイプの子がいない為か、案外私と基くんが交際している事実を知るクラスメイトはそう多くない。そもそも、沢田とえのちゃんのカップルのが騒がれ方がすごかったのだ。ふたりともけっこう異性に人気があるからだろう。クラスどころか学年中に知られている。

「もうすぐ冬休み前だし、浮かれてる人間も多いんだから気をつけなよ。クリスマス前にカップルになりたーいとか言って告白してくる人間も多いし」

 彼女の言葉に、私は得心して頷く。

「えのちゃん昨日告白されてたよね」

「ななななんで知ってんのよ!?」

「たまたまごみ捨て行ってたら見ちゃって。沢田に言わなくていいの?」

「……いちいち言うことでもないでしょ、断ったんだし」

 うーむ、そうだろうか。いやまあ、そうなのかもしれないけれど。

 変にすれ違わないといいけどなあ、なんて内心で考えていると、いつの間にやら私の隣が不在なのをいいことにクラスメイトの席に座ってしまったえのちゃんは「私のことはいいの」と言って、私に手を伸ばしたかと思うと頬を引っ張られてしまった。

「えのひゃ、ひはひ」

 まさか両手でおもいっきり左右の頬を引っ張られるとは思わなかった。なんか嬉しそうに「よく伸びるねえ」とか言わないでほしい。このひと、サドっ気あったっけ?

「いーい? 私はね、別に不器用でもないの。だから色々と処理出来る。でもね、あんたは違う。自分が不器用だっていう自覚を持ちな」

「は、はひ」

 私がなんとかこくこくと頷くと「よろしい」と言ってえのちゃんはやっと私の頬を解放してくれる。うう、ひりひりする。

「とにかく。男に嫉妬する前に周囲を牽制する事をおぼえなさい。敵は男じゃない。女だ!」

「牽制するって……」

 そう言われましても。どうすりゃいいのさ。

 私が困惑していると、えのちゃんが呆れたようにため息を吐く。

「口の軽い子につき合ってる事を言うとか、積極的に放課後いっしょに帰るとか色々やりようはあるでしょ。とにかく周りにつき合ってるって思われるのが第一歩」

「な、なるほど」

 交際している、と、知らしめる。

 でも――でもなあ。私と基くん、けっこういっしょに帰ってるんだけど。そりゃ、えのちゃんと帰るときだってあるけど、それだって前よりも頻度は減った。図書室に寄り道してから帰ることが多いから、周りにあんまり目撃されないというだけで、私自身はけっこう仲良く行動しているつもりなんだけど。

 そんな話をすれば、えのちゃんは呆れた顔をする。またさっきの顔に逆戻りだ。

「だから知られてないんじゃ意味ないでしょ。堂々と放課後になったら「基くん帰ろう」とか言って手を繋いで教室から出て行けばいいんだよ」

「ええええ!? な、なんて破廉恥なっ」

「悪かったな破廉恥で」

「いでっ!」

 そうだった、えのちゃんはそれよくやってた。別にえのちゃんが破廉恥だとは思わないんだけど。そもそも沢田のほうから「かな帰ろう」とか言って手を差し出してくるんだから。えのちゃんが破廉恥なわけではない。

「でもその、私にはちょっとハードルが高いよ」

「まあ、あんたたちふたりとも初めて同士だもんね。あんまりピンとこないか」

 基くんもけっこう根本的にひかえめというか、目立ちたくないという感覚は健在のようで、私と基くんはあまり派手に行動する事はない。そもそもそれで今まで問題はなかったのだし、そんなに危機感を持つような事なのだろうかと疑問にすら思ってしまう。

「ま、忠告はしたからね。別に私だって意地悪で言ってんじゃないよ。ただねえ、吉村ってなんていうか――積極的なタイプにも好かれるんじゃないかと思うんだよね」

「え? でも沢田みたいな人の方がそういう傾向にあるんじゃあ」

「あいつはオールマイティーにモテんの。だからこっちも大変だけど、私も沢田もそういうのは慣れてるしある程度どう接したらいいか分かってる。でも、あんたと吉村は違うでしょう」

「…………」

「どう対処したらいいのか分からなくて戸惑ってる間におかしな事になってる、なんて展開になりそうで心配なんだよ。確かにどっちかというと静かなタイプにモテる方かとは思うんだけど、最近の吉村ってとっつきやすくなったしさ。こう、なんていうの。色気? みたいなのがあるじゃん」

 色気。

 ああ、知ってる知ってる、私には皆無なやつね。ていうか前からそれは思ってたよ。基くんって何ていうか、そこにいるだけで不思議なフェロモンみたいなものが出ている気がするもん。それにふらふら引き寄せられたのはきっと私だけど――わ、私だけじゃないってことか!

 少し顔を青くしたところで、私をなぐさめるようにえのちゃんがぽん、と私の肩に手を置いた。

「ま、必ずしもそうなるって決まったわけじゃないんだしね。変なのに絡まれてから大々的につき合ってる事を言っても遅くはないと思うし。なんかあったらすぐ相談しなよ」

「う、うん――ありがとう、えのちゃん」

 私が気合を入れて頷いたところで、えのちゃんも少し安心したかのように微笑んだ。

 まあ、すべては想像の域を出ないわけで。ひょっとしたらそんな事は起こらないかもしれない。起こったとしても、特に揉め事には発展せずに終わるかもしれない。心配は心配だけど、考えすぎるのもきっと良くないだろう。

 そう自分に言い聞かせながらも、私は基くんの横顔をみつめている自分がどんどん不安な気持ちになっているのを自覚していた。


「朝、なんの話をしてたの?」

「え?」

「こっちをちらちら見てたから」

 気付かれてた!

 思わず頬を赤くする私をみつめながら、基くんはくすくすと笑った。

 お昼ごはんは、いっしょに食べるときもあれば別のときもある。今日はえのちゃんが沢田と食べるからと話していたので、最近ケータイを持ち始めた基くんにいっしょにお昼を取りたいと連絡しておいたのだ。

 ああ、こういうのもだめなのか。お昼も私はコンビニに買いに行って戻ってきたから、待ち合わせ場所で落ち合ったし、そもそも待ち合わせ場所も裏庭の人気が少ないところだし。でもやっぱり、なんか、堂々とふたりでいるっていうのは、恥ずかしい。

「沢田が、うらやましいなって思ってたの」

「またそれ? そんな必要ないって何度も言ったのに」

「そうなんだけど!」

 私はそのまま言うのも恥ずかしくて、でも嘘にはならない事を話した。正直、この告白もだいぶと恥ずかしいんだけれど、さすがに牽制うんぬんの話を基くんにする勇気はない。

「私がそう言ったらえのちゃんに怒られちゃって。彼氏を悪く言うなーって」

 基くんは私が手刀された事を伝えると「目に浮かぶよ」とまたくすくす笑う。ああ、こうやって分かりやすい感情表現をする基くんもやっぱりイイ。結局、彼だったら私はなんでもいいのだ。

「榎本もけっこう堂々と愛情表現するんだよね。ちょっと意外だったなあ」

「そうだね、沢田も。ストレートに言うよね」

「うん、ちょっとうらやましいな」

 おにぎりを咀嚼していた私は、基くんの言葉に変なタイミングでごはんをのみこんでしまい、喉に詰まって慌ててどんどんと胸を叩いてしまった。

「優花!? ちょ、大丈夫? お茶飲んで!」

 私以上に慌てた様子の基くんが、ペットボトルのキャップを開けて渡してくれる。私はお礼も言えずに無言でそれを受け取りごくごくと緑茶を喉に流し込むと、なんとかおにぎりは流れてくれて、気道を確保できた。

「ふあ、ご、ごめんね、ありがとう」

「いや、大丈夫ならよかった。……でも、そんなにびっくりした?」

「え!?」

 キャップを閉めた私の顔を覗き込むように基くんが顔を近付けてくるので、思わず後ろに仰け反ってしまう。

「好きだよ、優花」

「わあああああ!!」

「そうやって赤くなって叫ぶのも、可愛いんだけどね」

 ――ああ。

 そうか、そうだよね。いつも私、言ってもらってばかり。

 沢田にたいして嫉妬してるとか、彼がうらやましいだとか、そんな事はぽんぽんと言えるようになったくせに、いざ「好き」だと伝えたくても、なかなか口に出来ない。とんでもなく恥ずかしくて、自分みたいな人間が基くんみたいな素敵すぎるひとにそもそも好きなんて伝えていいのかとか、そんな事すら思ってしまう。

 ――でも。

 私は基くんと恋人で、基くんは私にそういう言葉を望んでるのだろう事は話の文脈から伝わってくる。だったら私が申し訳ないとかぐだぐだ思ってるのはおかしいし、きっと基くんがそれを聞いたら怒るだろう。

「好き、だよ」

「!」

 小さいけれど、なんとか伝える。

 基くんは、私が口にしたのが意外だったようで、目を丸くすると、まるでさっきまでの私みたいにみるみる頬を赤く染めた。

 まさか……基くん……。

「照れてる?」

 私の言葉に目を見開いた基くんは、顔全体を真っ赤に染めて、ついには顔を伏せてしまった。うわあ、まじかよ。

「基くん」

 ちょっと顔を見せてくれないだろうかと私が彼の腕に両手をそっと添えると、基くんは小さく「待って」と呟いた。

「今は見せられない顔だから」

「そんな事ない。照れてる基くん見たいよ」

「いや、ちょ、かっこわるいから」

「やだ、私だって可愛いって萌え萌えしたいんだ!」

「ああもう! どうして君はこういう時だけ強くなるかな……」

 弱り切った声を上げながら、基くんは、やがて観念したのかゆっくりと顔を覆っていた手をどけると、これまた緩慢な動作で伏せていた顔を上げた。

 ――うわあ。

「基くん……可愛い!」

「ごめん、全然うれしくない……」

 そうだよね、男の子はきっとそんな事を言われたってうれしくないよね、分かってるんだけど。でも。

 これを可愛いと表現せずして、なんと伝えよう!

「私はいろんな基くんが見れてうれしいよ。基くんなら、どんな姿でもうれしい!」

 なんとかこの今の滾りを伝えたいと拳をにぎって力説すると、基くんは目を見開いて、やがて「ふうん?」と呟いた。

 あ、あれ?

「そんな情熱的な告白をしてくれるなんて、思わなかったな」

「基くん……?」

 さっきまでの真っ赤だった顔はどこへやら。基くんは私との距離を一気に詰めたかと思うと、次にはすっと私の頬に手をやった。なんというか、ゆっくりと撫でる手つきがどうにも落ち着かない。

「俺も、色んな優花が見たいなあ。見せてくれる?」

 え、えーと。

「や、やぶさかでも、ない、ですよ?」

 私が多少ひきつった笑みで答えると、撫でている手がぴたりと止まった。

「なら、可愛いだけじゃなくて――色っぽい優花も見てみたいな」

 色気!? 数時間前に私には皆無なやつねとか思ってた例のアレですか!?

「あ、あのそれは――」

 私にはそんな引き出しありませんと言おうとした、その時だった。

「――んっ」

 基くんの顔がみるみる近づいてきたかと思うと、あっという間に私の口を基くんの口が塞いでしまった。驚いて変な声が出ると、基くんは空気だけで「ふっ」とそれを笑った。

 少し前まで、基くんのキスは触れるだけのものが多かったと思う。でも段々とくっついてる時間が長くなって、なんか唇を唇ではさまれたりだとか、妙にいかがわしい何かを想起させるものになってきた。最近では――。

 ああ、やっぱり。ぬる、て、何かが入りこんできた。生き物みたいなそれは、基くんの舌だ。何度してもなかなか慣れそうもないその感触に毎回ひるんでしまうんだけど、気付いたらいつも基くんの手が私の後頭部に添えられて、本格的に逃げようと力を入れればそれ以上の力でぐっとおさえつけられてしまう事が多い。嫌なわけじゃなく、私の場合はびっくりするやら恥ずかしいやらなので、基くんもそれを分かっているんだろう。

 にしても。

 き、今日、なんか、な、な、長いよ! やめてー! なんか、変な感覚がどんどん強くなるよ!

 ぞぞぞ、と背中から腰にかけて這いずる何かが私の頭を支配するような、それがとんでもなくいやらしい気がしてしまって、そんな事を考えている私を基くんが軽蔑したらどうしようとか、あれこれ考えてしまう。

 やがて舌が離れていく時には、さみしいとか思ってしまうくせに勝手だ。今日もやっぱり思ってしまって、瞬間、基くんの制服をきゅっと引っ張ってしまう。私はなんて浅ましいんだろう。

「ああ――やらしくて可愛い……」

「!?」

「優花、もう一回……」

 なぜか私の顔をうっとりとみつめながら、いったんは離したはずの顔をまた寄せてきた基くんに、私はまたしても翻弄されてしまう。

 ……やらしくて可愛いって言ってくれてるから、知られても別に軽蔑されないのかな。というか、顔に出ちゃってるのか、私。

 恥ずかしくて、泣きたくなって顔をそらそうとしても引き寄せられてしまうし「やだ」とか「恥ずかしい」とか伝えても、基くんはやめてはくれなかった。というか、もっとやらしいキスをされてしまった。

 ……基くんって、良く分からないなあ。


 赤面もののお昼休みを終えての午後の授業は、耳を素通りするばかりだった。入っては流れを繰り返し、それでもノートだけは取れた事に少しだけ自分をほめたい気分だったけれど、結局見直した時に内容を理解できるのかどうかは、甚だ疑問だった。

 帰りのHRも終わり、教室が一気に放課後のざわめきを帯びる中、えのちゃんは相変わらず堂々と沢田と手を取り合いつつ、笑いながら歩き出す。私に軽く手を振り別れのあいさつを口にしてから教室をあとにするふたりの背中を、妙にうらやましいと感じてしまう。

 今まではそんな事を思わなかったんだけどなあ。きっと、えのちゃんと朝に話した事が頭から離れてくれないからなのだろう。でもきっと、それだけではなくて。ちらりと基くんを見やると、彼は少ない表情ながらも柔らかな雰囲気で何人かの生徒と会話を交わしていた。

 ――なんだよその女は。

 私の中にはいま、たしかにどす黒い何かが渦巻いていた。

 ぼんやりと迎えた放課後と同時に、今日はいっしょに帰る事ができないと伝えられたのはついさっきだった。正確には、どうやら五時間めの終わり頃に基くんはメールをくれていたみたいなのだが、私が気付かなかったのだ。ケータイを開いた私は少なからずがっかりしたものの、まあ勉強会ならば仕方がないかと自分を納得させていたのだ。テストも近いし――そういえばえのちゃんはクリスマスと冬休みの話しかしてなかったけど彼女の中にはその前の期末は存在しないのだろうか――成績の良い基くんが勉強を教えてほしいと請われるのも理解はできる。できるけれども。 

 ――女の子がいるっていうのはメールに書かれてないんですけど?

 えのちゃんたちを見送りつつ、内心で「えっ!?」と叫んでいたのだ。そもそもが沢田。こんな時に防波堤になるはずの男がちゃっかり彼女と早々に帰宅するとはどういう事だ。いつも宿題を写しているばかりなのだから、こういう時に真面目に取り組んだらどうなのだ!

 私は理不尽な怒りを沢田にぶつけながらも、えのちゃんが話していた事がどうしてああもピンとこなかったのかと少し前の自身を呪った。どんだけ危機感がなく、どんだけお子ちゃまだったのだろう、私は。

 別に、女子がいっしょなのはいいのだ。私だって、そこまで心が狭いわけじゃない。ただ――あの目。

 女子生徒が基くんをみつめるあの目は、私にならば分かる。あれは完全に「基くん萌え」の瞳だ。彼女はどう贔屓目に見ても、基くんに悪くない感情を抱いている。大体が同じクラスでもない人間がちゃっかり勉強会に交じるのおかしくないか? 何が友だちが誘ってくれて、だ。きっとその友だちは――クラスメイトの()()さんだ――協力者に違いない。何やら楽しそうに肘でつっつき合っているところを見ると「脈あるかもよ」「からかわないでよ」なんていうキャッキャウフフな女の子会話をしているのではなかろうか。

 図書室で勉強会だとメールには記されていたな――よし。

 私は後ろ髪ひかれながらも、さすがにストーカーのように白々しく尾行すのも難だと思い、先回りして何食わぬ顔で図書室へ向かう事にした。私と基くんはしょっちゅう放課後を図書室で過ごすし、私が基くんを本を読む事を口実に待っていたって、そう不自然ではないだろう。さっき基くんには私も図書室で本を読んでいるからいっしょに帰ろうとメールをしたし、万が一そのメールに気付かなかったとしても、まあ伝えたのだからストーカーまがいという意味合いではセーフだろう。……たぶん。


「にへへ」

 少し不安だったけれど、廊下を歩いてる途中でさっきのメールに返事がきていたようだ。図書室に着いてまず確認してみたら、短く「ありがとう嬉しい」という基くんからのメッセージが届いていた。思わずにやにやしながら画面を眺めてしまう。

「日比谷、今日はいっしょじゃないのか?」

(かみ)()くん」

 ゆるんだ頬を見られてたのかと慌てながらケータイをしまう。図書室のカウンターからいくつかの本を小脇に抱えて本棚の隅に隠れるように立っていた私へと声をかけつつ向かってきた。

「あとから来るんだけど、むこうは勉強会なの。だから終わるまで本を読んでようかと思って」

「ふーん? ラブラブじゃん」

「いやいやいやいや勘弁してくださいな!」

 どストレートにからかいの言葉を口にされても赤くなってしまう私は面白いようで、神谷くんは私と基くんがいっしょにいるとしょっちゅうこういう声をかけてくる。図書委員で隣のクラスというのもあってか、私たちふたりがつき合っているのがけっこう早い段階で彼には知られたけれど、相変わらず話が広がっている様子はない。女子とは違って、噂好きの人というのもけっこう少ないのかもしれない。まあ、私たち自体にそれほど興味関心がないというのが正しいのだろう。

「そういえば、今日はひとり? いつもふたりで当番制とかじゃなかったっけ」

「そうなんだよ。週に二日しか放課後残る事なんてないんだからさ、せめてそんときくらいは守って欲しいよなあ。当番なんて滅多にこないんだしさ」

 ため息を吐きつつぼやく神谷くんの言葉で、どうやらもうひとりはさっさと帰ってしまったらしいと合点がいった。

 図書室の当番は、基本的にお昼にしか毎日まわってくる事はない。それも学年のクラスごとで交代なわけなので、そんなに多くはないという。放課後はもっと少なくて、週に二日ほどある当番の日に昼には出来ない本の整理などをやるそうなのだが、仕事自体はけっこう大変なので、そこそこふけてしまう生徒は多いのだとう神谷くんは言う。顧問の先生はけっこういいかげんなので、あまり怒られる事もないらしく、余計にそういう人間を増長させているようだ。悪い先生ではないけれど、のほほんとしてるもんなあ、あの先生。

 神谷くんは元々が読書が趣味で、当番のない日もよく顔を出していたから私と基くんの交際も早々にばれてしまったんだけど、いまや知人よりも友人寄りの関係性になったと言ってもいい――と勝手に私が思っているだけなんだけど。けっこうよく話すのだ。

 そんな彼の背中がしおれている様子は、なんだかちょっとかなしい。

「あの――手伝おうか?」

「え?」

 おずおずと私がひかえめに挙手をしつつ告げてみると、神谷くんは動揺したように目を瞠る。揺れる瞳は、悪いという感情と助かるという感情がせめぎあっているようで、実に分かりやすい。

「私もひまだし、別にいいよ。時間潰しに付き合ってもらうとでも思ってくれたら」

 笑いながら告げると、神谷くんの表情がどんどん戸惑ったものになる。

「いやそんな、助かるけどさ……なら今度お礼くらいさせてよ」

「ええ? それこそおおげさだよ」

「いや、俺が気が済まないっていうか、申し訳ないから!」

 あまりにも必死なその様子に私は苦笑して「分かった」と頷くと、神谷くんは安心したように息を吐いて「ありがとう」と言った。……本当にそんなの、かまわないのになあ。

「何すればいいの?」

 気を取り直して私が訊ねると、神谷くんはカウンターの横に設置されている小さな棚を指さした。

「返却されてきた本を戻す作業してたんだけど――あっちに入ってるやつ」

「分かった」

「ほんとごめん、助かるよ」

「いえいえ」

 私はカウンターの横にある小ぶりの棚を見やると、たしかに本棚のように本が収納されてはいるけれど、規則性もなくただ仕舞いこまれたそれらをきちんとあるべき場所へと戻すのはけっこう時間がかかりそうだった。……こりゃひとりじゃ厳しいってものだ。確かにぼやいてしまいたくなる。

「よし」

 ひとつ頷いた私が、棚から本を取り出すのと、ざわついた集団が図書室へと姿を現したのは同時だった。


「日比谷、なんかお前きりきり言ってるんだけど」

「やべ」

「……意外と心狭いな」

「うるさい! いい気分しないのはたしかだ!」

 相変わらずからかうような口調で話す憎き神谷を――いつの間にか呼び捨てになっていた――にらみつけて、私はまた集団へと視線を戻す。

 図書室へと足を運んだ中に基くんを発見してちいさく微笑んだ私に、基くんは一瞬だけ目を丸くする。神谷に声をかけられた私は短く返事をしてまたちらりと基くんを見たのだけれど、なんでだか彼はふいっと私から視線をそらして集団と共にさっさと席へ着いてしまったのだ。

 どうして。

 多少の困惑をしながらも、他の人にばれるのが嫌なのかな、目立っちゃうもんな、と自分に言い聞かせつつ、神谷と共に仕事をこなしていく。

 しかし。どうにもこうにも――気になる。

「ああ! あんなにくっつきおって、おのれ……!」

「おい、俺の胸倉つかむな」

「あ、ごめん、つい」

 気付いたらつかんでしまったセーターから飛び出てしまった襟をさっと直しつつ謝罪する。なんでだか沢田のように親しみやすい神谷にあたってしまったようだ。いかんいかん。

()(がわ)かあ。なにあいつ、吉村狙いかよ」

 私の視線の先に目をやる神谷がぽつんと呟いた。ちゃっかり基くんの隣をキープした女狐はどうやら小川というらしい。黒髪のボブでさらには眼鏡というおとなしそうな容姿をしていながらかなり積極的なようで、体全体を乗り出すかのように基くんへと傾けながら真剣にノートを見ている――ようにみせかけるのがうまい。

 ――ちらちらと基くんの顔を見て頬を染めやがって。なんだよわざとらしく体くっつけちゃってさいやらしい! 私の基くんだぞ! 私の花だぞ! 手折るのも愛でるのも私だ!

「日比谷の独り言すげーきもい……」

「ハッ! こ、声に出てた?」

「ばっちりと」

 ……この癖、いいかげん直さないとな。

 とりあえず真面目に仕事しよう。ちらちらとあっちばかり気にしていたもんだから、進んでいない。さすがに今この瞬間に私が唐突に振られるだとかはないだろうと思いたいし、基くんだってそんなに簡単にあっちに鞍替えしたりは…………揺れる髪は綺麗だし目もよく見ればくりくりとした二重で可愛らしい。基くんと並ぶと儚い感じがお互いに出ていて、よく似合って――ちがう。

 私は少しおおげさにぶんっと首を振って、彼女と同じ髪色でありながら彼女よりだいぶ長い髪をどこかいまいましく思いながら払う。ええい、働け私!


 それからしばらくして、日もとっぷりと暮れた時間。ふたりだと案外早く終わった仕事にほっとしながら、私は相変わらずちらちらと勉強をする集団を眺めていた。

「日比谷ー、ジュースの一本くらいおごるぞ」

「まじか! やったー」

「お礼するって言ったろ」

 カウンターから声をかけられてそちらに駆け寄りつつはしゃぐと、おおげさだと神谷が笑う。いや、ほんとにおごってもらえると思ってなかったから。何回も胸倉つかんじゃったし。むしろ精神安定剤にしてしまって申し訳なかった。

「あっちもそろそろ終わるかねえ? 閉まる時間までやってんのかな」

「どうだろ?」

「いま行ってくるか?」

「そうだね」

 私が頷くと、てっきりお金を渡されるだけかと思ったら神谷も息抜きに買いに行くというので並んで一階の自動販売機へと向かった。

 少し悩んで、紙コップのココア――ちょっと高いのだ――を選んだ私は、神谷に改めてお礼を言いつつそれを受け取る。神谷も同じものを選んで買って、図書室は飲食が禁止なのでふたり並んで自販機前でぼんやりとココアを啜る。

「日比谷たちってさ、どういうきっかけだったの?」

「ん?」

「今までそんな接点なかったように見えたから」

「え、いやいやいやまあ、はは」

 突然そんな話しなくてもいいじゃないか。照れくさくてごまかそうとする私の瞳を、思いのほか真剣にみつめる神谷にすこしの違和感をおぼえながらも私はなんとなく気圧されて口をひらいた。

「その、わたしが……基くんのわすれものを届けたのがきっかけ、ていうか」

「ふーん……案外普通なんだな」

「そりゃそうだよ、ドラマじゃないんだから!」

「はは、そっか」

 笑いながら、神谷が自販機の横にあるごみ箱へとからになった紙コップを放る。私も残りを飲み干して、おなじようにごみを放った。顔が赤くなっていやしないかと心配になりながらも、私と神谷は図書室へと戻った。まったく、変なことを突然訊くから! へんなやつだな、神谷!

 スマートフォンを取り出した神谷は「そろそろ閉める時間だな」と呟きながら図書室へと入る。私も腕時計を見てもうそんな時間かと考えつつ図書室内を見回すと、ちょうど勉強をしていた連中は片付けを始めて帰り支度をしていた。耳を澄まさずとも終わった解放感からかけっこうな声量で集団は会話をしていて、その中から瀬戸さんの「暗いし送ってもらったら」という言葉を拾う。

 ――小川を送るのか。

 私が待っていると知っているだろうけれど、ひょっとしたら優しい基くんは、それを承諾してしまうかもしれない。私にひっそりと「ごめん」とかなんとかメールをして――ああ、やだな。そんなの、考えるだけでも泣いてしまいそうだ。

「もしそうなったら、俺が送ってくよ」

 カウンター前で立ち尽くしていた私にひっそりと声をかけたのは神谷だった。「え?」と声にも出せずに、というか私が考えている事を読んだのかというようなタイミングで話しかけられたので驚いて単純に何も言えなかったのだ。目を瞠る私に苦笑して「お前分かりやすすぎ」と呟いた神谷は、私がいまにも泣きそうな顔をしていた事に気付いてわざわざ声をかけてくれたのだと分かった。

「そんな、申し訳ないよ」

「結果的に手伝ってもらってこの時間になったようなもんだろ、遠慮すんなよ」

 穏やかに微笑む神谷に、甘えてしまってもいいのだろうかと一瞬考えたところで、背後から声がかけられる。

「優花、帰ろう」

「!」

 とろりと甘さをふくんだ声にびっくりして私がばっと振り返ると、思ったよりも至近距離に基くんが立っていた。

 神谷も面食らったように目を見開きながら基くんを見ている。私は混乱して固まっていたが、やがて我に返ると、しかし彼と帰りを共にしていいのだろうかと迷いが生じる。

「あの、さっき、女の子を送るって」

「俺は承諾してないよ。断ったの見てなかった?」

 私と同じような困った顔をして口元に笑みを浮かべる基くんは、ごく自然な動作で私の手をそっと取ると、もう一度「またせてごめんね、帰ろう?」と言いながら首をかしげた。

 ああーっ! 基くん、大好き!

 心の中で叫びながら、私はこくこくと頷いて、神谷に「ありがとう、基くんと帰るね」と断りを入れた。神谷は苦笑して頷くと「気をつけて」と言って手を振る。私も同じく彼に手を振ると、繋がっているほうの手が引っ張られた。……基くん? 急かすなんてめずらしい。どうしたんだろう。

「あ、あの!」

 笑顔でうながされつつも少し感じる圧に多少の戸惑いをおぼえながらも歩き出した私と、それを確認してやはり並んで歩き出した基くんの前に、女子生徒が立ちはだかった。私と基くんはそろって足を止める。

 ショックを受けたかのように青い顔をした小川と、どこか私と基くんに挑戦的な表情を向ける瀬戸さん。私は何を言われるのかある程度予想していた。

「ふたりって……つき合ってるの?」

 ああ、やっぱりな。

 私はなんともいえない気持ちでそれを脳内で響かせながらぼんやりしていると、基くんはあっさりと「うん」と頷いた。

「日比谷さんって……神谷とつき合ってるんじゃないの!?」

「は? なんで神谷と私がつき合うの?」

 思わずと言ったていで私が声を上げると、私と特別親しく話していなかったからすっかり私をおとなしい女だと思っていたらしい瀬戸さんが面食らったようにぎょっとした表情になる。隣で「ふふ」と短く笑う声が聞こえて、私は首をかしげながらも基くんへと視線をやった。

「その言い草、神谷にちょっと同情するなあ」

「え? なんで?」

「いや、なんでも。じゃあ、そういうことだから」

 おかしそうに私を引っ張って基くんが言う。何が「そういう」ことなのかは分からないけれど、私も特に言いたい事はなかったから、基くんにうながされるまま歩き出した。


「まったく、隙だらけだね、優花は」

「な、それは基くんでしょ!?」

「あんなわざとらしい好意なんていやでも気がつくよ。対処の仕方だって知ってる」

「えっ!?」

 靴を履き替えてから相変わらず手を繋いで駅までの道を歩く私たちの影は重なっている。それをくすぐったいなと思っていたのにあっさりとそんな空気もぶち壊した基くんの発言に、私はびっくりして叫んでしまう。

「なんで神谷を手伝ったりしてたの?」

「成り行きだけど。基くんだって女の子がいっしょなんて言ってなかったじゃん……」

 口をとがらせる私の様子に目を丸くしながらも基くんは「ふーん?」と呟いては楽しそうに笑う。

「やきもち? 沢田じゃなくても嫉妬してくれるんだ」

「! な」

 なんだよこの基くんは! ずいぶんと意地が悪い。こんな顔もするんだと思ったらときめいて仕方がないけど、こんな状況でときめいている場合ではない事くらいは馬鹿な私にだって分かっている。

「当たり前でしょ、あんなあからさまにくっついて! どう考えても基くん萌えじゃん、小川のやつ!」

 私の言葉に苦笑して「なにそれ」と言いつつも、基くんは表情を真剣なものにかえる。

「ああいうタイプはプライドが高いから、もう近寄ってこないよ。はっきり振られるのなんて冗談じゃないと思ってるし気概もない――それよりも」

 それよりも?

 突然歩みを止めた彼を疑問に思うよりも早く、ぐいぐいとビルとビルの合間に引っ張られてしまう。どうしたのだと訊ねるよりも早く、基くんがかなり素早い動作で私にキスをしてきた。

「あいつ、隙あらば狙ってる。神谷は危険だよ、優花」

「え? な、何言って」

「ねえ、気付いて優花。君は一定多数の人気があるんだ。それなのに自覚もないまま。どれだけ自分がぼんやりしてるか分かってるの?」

 酷い言い草だな。しかしそんな風に言われても実感が持てない私にますます不満を抱いているのか眉間に皺を刻みながら「ぼんやりしすぎて今みたいにキスをされたらどうするの」だなんて基くんは言う。……さすがにそんな情熱を神谷が持て余しているとは思えないのだが。

「お仕置きだよ」

「!」

 低い声音で耳元で囁かれた私は、顔を真っ赤に染めながらときめいてどうしようもなく、お仕置きはお仕置きになったのか甚だ疑問である。


 少し後になって顛末をどこからか知ったえのちゃんが呆れ顔で「危ないのはあんただけだったか」と呟いたけれど、相変わらず私にはそれがピンとはこず、とりあえず神谷からは距離を置いて接するようにしている。


 ……基くんは満足そうだから、まあ、いいか。






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― 新着の感想 ―
[一言] 鈍感だったのは基くんじゃなくて優花の方だったか…… こるまでの二つの話で基くんよりも優花の方が天然ぽい気がしてたけど、やっぱりか…… 神谷もいいやつっぽいから恋人ができてほしいなぁ…… 面白…
[一言] かわいい
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