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補足説明等は最小限にしようと考えておりますので、オンラインゲームの知識がないと楽しめない場合があります。(割愛しないと延々説明になるため)
※管理の都合上定期的に数話をまとめることにしました。ご了承ください。
――ランキングが支配する。
ランカー:ブラックスミス
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人差し指のトリガーを引くと、剣の刀身から炎が噴出す。
機械部品で構成されたプレート状の炎剣を携えて、私は走り出す。敵はそれに気付いたようで、こちらに振り向いて雄たけびをあげる。
人狼の姿をした敵は名前を「ワーウルフ:ウルフヘッド」。「ワーウルフ」のリーダータイプで、戦闘力は通常のそれに比べそれほど高くは無い。
相手の間合いに達した時点でウルフヘッドは周辺攻撃スキル「アラウンドリッパー」を放つ。それに対し、急停止してバックステップ。大振りな両腕の爪が私のいた位置に食い込む。
バックステップから再び前へ突進した私は、炎剣を繰り出されたウルフヘッドの両腕の爪に振りかざす。上から下への斬撃。
特に強烈な攻撃ではないが、弱点属性と弱点部位への攻撃でウルフヘッドは唸り声をあげた。そのままウルフヘッドは怯み状態に陥る。
何度も繰り返されたルーチンパターンに従って、私は続けざまに攻撃を繰り出す。
今度は単純攻撃ではなく、剣に装着されたスキルを使用した。
「闇を払え『クレッセント』」
「コール」と呼ばれる武器固有スキルはその名の通り、詠唱によって発動する。詠唱が長いほど威力の高いコールとなる。
先の攻撃で下段にあった剣はプリセットされた動きによって動作する。踏み込みと同時に剣は弧の軌道を取り、ウルフヘッドの股、腹から頭を捉えて斬り裂いた。
三日月を思わせる剣の残像がウルフヘッドのライフポイントを削りきり、ゼロにする。その攻撃によって断末魔が周囲の木々にこだました。
周囲の闇を照らした残光が止むと同時に、ウルフヘッドは霧散する。
そして、メッセージログが幾つかのアイテムを表示。しかし、最後の表示アイテムのみ色が変化しており、明滅するログに視線を合わせる。
聞き覚えの無い効果音とともに警告メッセージが表示された。
『入手権限を上回るアイテムを獲得しました。レアリティ7「エッジ:グリームネイル」1個獲得』