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プロローグ

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グラディエイトオンライン。

中世ヨーロッパ世界を彷彿とさせるファンタジー世界の世界観を、まるで本当に己が悠久の青空と無限に広がる広野を駆け抜けているかのように錯覚させる程の美しいグラフィックで再現させているだけでなく、単純にクエストを消化していくだけで徐々に明かされ引き込まれていくその奥深い設定が受け、よりおとぎ話的でヒロイックな世界観に重点を置いたファンタジアオンラインと、魔物や魔法などどこ吹く風と言わんばかりに幻想的要素を排除し、ひたすらクリエイトする悦びを追い求めたクラフト&ファクトリーオンラインとともに爆発的な人気を誇る、今や百万オンラインゲーム時代とも呼ばれるこの時代に、日本が誇る三大オンラインゲームの一つ。


まあ一一しかし、俺のような人間にとってはそんなものは知った事では無い。

この時代、全てのオンラインゲームの通貨は国の下に共通通貨、M(メタ)として統合され、その円とMとの換算レートは大体1対1.01。円からMへの換算は出来るがMから円の換算は出来ない、という事実の方が余程俺にとっては重要であるといえる。

そして更に補足する事が許されるならば、現代ではMで電気代、水道代などの公共料金の支払いを始めとするコンビニ、レストラン、交通機関、果ては道路に置かれている自販機でさえもが円と同じようにMを使う事が出来るということだろう。


そして、グラディエイトオンライン。

このネットゲームの最大の特徴は、幾つものサーバーで毎日数百試合も開かれているplayerたちのPK戦にこそある。

予め「コロシアム」にエントリーしておいた五人から数百人までのplayerたちが「コロシアム」内に自動生成された森林や荒野などの制限されたフィールド内で最後まで生き残る事を目的としたバトルを繰り広げる、それこそ遥か昔のグラディエーターを彷彿とさせる生き残りの賞金をかけた乱闘戦一一国内の最も大きい試合、「東京優闘」の優勝賞金は二億五千万Mという破格の金額に設定されていて、当然のようにそこにはプロが存在し、コーチは勿論の事、メンタルセラピストなどアスリートさながらの待遇で日夜その腕を磨いている。

それだけではない、「東京優闘」こそ二億五千万Mという目が飛び出る程の賞金が設けられているが、賞金一億越えの「ニューイヤーカップ」や「OrientBB」は毎年のように開かれているばかりでなく、SからEまでのランクづけをされているplayerの内、Dランクのplayerがエントリーする闘いですら優勝賞金は三十万、二着賞金も十五万ほどで食っていくだけなら充分という有り様だった。



いや、playerの年収の話など俺にはそれでもやはり関係ないのかもしれない。

なぜなら。

なぜなら、俺は。

このコロシアムのシステムが成り立つ大前提。

国が借金を返す為に始めた使い古しされているといえば使い古されている、画期的であるといえばこれ以上ないくらいに画期的な方法。コロシアムの賞金で食べていないその他一般人たちにコロシアムで戦闘しあうplayerたちが誰が生き残るかを予想し、その番号に賭けさせ、幾分か国がハネ、その残ったMを的中者に払い戻すという一種の賭博の色が強い予想のゲームを国が運営するという方法。


そして一一playerで食っていく事が出来なかった俺は、そのラウンドで誰が最後まで生き残るのかを考えMを賭け、的中させ、その当たったMで生活をしているしがない「予想家」なのだから。



ノーマネー、ノーライフ。


世の中所詮は金が全てで全部で、オールだという現実を、子供の頃の俺は知りたくなかったはずだったのに。

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