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猫の郵便屋さん

作者: きつつき

あるところに猫の郵便屋さんがいました。



普通の郵便屋さんではありません。


空を駆ける郵便屋さん、飛行機乗りの郵便屋さんです。



今日も郵便物を空輸で届けます。



天気は快晴。順調な空の旅と思われました。


しかし、山岳地帯に入ると、気温が下がり、雲行きも怪しくなってきました。




これはまずい、ひどい嵐になるぞ、と猫の郵便屋さんは思いました。


さっそく後ろの補助員に管制塔と無線でつないでもらいます。




管理官、こちらNEKO−2828、サノバニャン、嵐が来ます。一旦引き返したほうがいいのではと思い連絡した次第です。ご指示を。



こちら管理官のニャンーターノ。タイムスケジュールが押している。郵便物を指定の日時に届けるのが我々の仕事だ。

返答は’GO’だ。




・・・・了解。




サノバニャンは嵐の中、目的地である港町、キャッツベイを目指します。



自分の経験と勘を頼りに暗雲にのまれつつもひたむきに操縦します。




ふと、故郷に残した家族のことを思い出します。


優しい妻と幼い無垢な子供の顔が浮かんできます。




「おれはこんなとこでくたばっちゃあいられない。生きてこの嵐を乗り切るんだ。絶対に。

おれには、’帰る場所’がある」



どれほどの時間がたったでしょう、それがわからないくらい嵐の中をさまよいました。


今回は駄目かもしれない。不安に駆られますが、明けない嵐はないと信じてひたすら飛び続けます



そして、やがて見えてきたのは一筋の光。嵐が明けたのです。



サノバニャンはやっと一息つきました。





ーーーーーーこちら、サノバニャン。視界良好、機体に問題なし。あと1時間ほどで空港に到着予定。




ーーーーーーーーーー了解、よくやった。君は私たちの誇りだ。この成果が認められて君は特別階級としてエースパイロットの名を与えられるだろう。どうだ、祝盃に、またたび酒でも飲みにいくか?






「割り勘だけは勘弁すよ。管理官大酒飲みなんだから。たまにはおごってくださいね」





「考えておこう」





(結局割り勘になるパターンである)





ともあれ、この飛行は成功に終わり、サノバニャンはエースパイロットとしての地位を築き、慰安として故郷でバカンスを楽しんだ。




猫の郵便屋さんは空を駆け、みなさまの郵便物を届けます。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初は短文でまとまっていて、入り込みやすかったです。 短編小説らしく、詳しくしすぎた設定などもなく、全体的にさっぱりとした仕上がりで、ほどよい読みごたえでした。 [気になる点] 全体的に…
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