動き出す・時
鬼道とは、歴史にも出てくるが、あの邪馬台国の女王卑弥呼の使った力のことである。本来ならば占いのことであろうか。予言予知等もしたかもしれないが
それはたまには出てくる変わり種。女は戦を望まない生き物であるため、他国と共存を図るには色々と考えねばならなかったことと思う。その中には「人質」なぞもあっただろう。
それはここの鬼道も同じことである。代々女系の「姫頭領」と呼ばれる女達が一族を束ねてきたのだ。その特殊能力は女たちに与えられるものらしく、要するに、「結界を張り、念を持ちものを動かし、鬼を使う」ということは、幼いころからごく普通に鬼道の女ならばやってきたことである。
鬼道数千年の歴史の中で、極稀に尋常ではないものが現れることがある。
その極稀に生まれたものと、天界は何度か戦になったことがある。そのたびに鬼道の女たちは傷つき、次第に数が減りつつある。
そもそも、何ゆえ天界は鬼道と争うことになったのか?
「鬼道」
元は天界の住人であった由。故あって袂を分かち一族を構えたという。
よくある話である。どちらが本家筋かということだ。言い分は「鬼道」にあったことから、天帝は永くやがて「鬼道」が「帝位簒奪」を目論むものとして、排除と殲滅を画策してきたのだ。
それを察して、鬼道の女たちは何度かの戦を超えてきた。愛する者たちを守るためにわが子を「人質」という形で、天界へ出しながらである。
一時に比べれば、鬼道の数は減っている。ここ数百年穏やかに生きることを選んだ「姫頭領」達の尽力がここへきて、少し変わって来たのは、現天帝の存在であった。
現天帝の許へ「人質」として入ったのは、二代前の「姫頭領」・焔
美貌で名高い「鬼道三姉妹」の長女は側室として嫡子の母となり、先代の凛は修理の母となり、共に鬼道の力を失うこととなった。
現在の「姫頭領」は末の妹・薫が継ぎ今に至る。
やがては修理が継ぐべき「姫頭領」ではあるが、その特殊能力を持たぬ存在は、天帝にとって好機到来である。
「鬼道一族殲滅」
そこへ向かって、時はゆっくり動きだしていた。