薪割り
今回はギャグ多めのはずだったんですが...説明が入ってしまいました。
薪割りなんてちょろいもんじゃないです。
それではどうぞ。
次の日の朝....その日まさか家族の仕事が地獄になるとは思いもしなかった。
朝ご飯は作りたてのシチューだ、じゃがいもがほくほくしていてとても美味しい、やはりおふくろの味と言ったところだろうか。
「これとってもおいしいよ母さん!」
「それは良かったわ....遠慮なんてしなくていいからね、どんどんお食べなさい。」
そういう言葉に俺は弱かった、遠慮しなくていいといわれると加減ができなくなってしまうのだ。
....30分後。
「母さん!おかわり頂戴!!」
「ローグ....少し食べすぎじゃない?」
そう朝ごはんだけで軽く10杯は越していたのだ、勿論無理して食べている。
「そんなこと....うっぷ....」
「ローグ!?大丈夫!?トイレにいってらっしゃい!!」
俺はトイレに駆けつけた、水洗トイレだったことに驚いたが、今はそれどころじゃなかった。
「おろろろ....」
....そして30分後
「ふぅ...ごめんね母さん....。」
「いいのよ、食べてくれただけ嬉しかったわよ?」
そう言ってもらえると非常に助かる...しかし食べ物を無駄にしてしまったのは事実だ、反省しよう。
「ローグ!大丈夫か?大丈夫だったら外へ来い!家族として働いてもらうぞ!!」
「へ~い...。」
調子は優れなかったが、頑張っていくことにした。こう見えても体力にはかなり自信があるのだ。
「んじゃ昨日も言ったと思うが...仕事の内容は薪割りだ、お前は割るだけでいいからひたすら割るのに専念しろ!。」
そうここから悪夢が始まったのだ。
「まずは父さんが手本を見せてやる....懐かしいなこの感覚....お前が小さい頃にも一回教えたんだがな...もう忘れちまってるだろうからよ。」
「じゃあ父さん.....え...?あのさ....これ割るの?」
そう父が割ろうとしていたのは高さが5mほどある木まるごとだった。
「ん?そうだぞ?」
「いやいやいやいやいやいや、いくらなんでも無理だって!!」
「はは、まぁ見てろ!!」
父はそう言い放つと胸のネックレスが赤く光り始めた。
「斧型 木刃...!!!!」
つぶやくように発した言葉を俺は見逃さなかった、何か技名のようなものをつぶやいたのだ....そして次の瞬間木は縦に真っ二つにされ、華麗に父が着地した。
「あ....ああ...!!す...すごい..!!」
「はははは!!まぁこんなもんよ、普段はこれは使わないで伐ってるがな!」
.....え?今これを”使わないで”と聞こえたのだが.....気のせいだろうか。
「もしかしてさ....俺にもこの大木を伐れと....?」
「あったりめぇだろ!それぐらい切れなかったら男の恥だぞ!!」
「......無理だろ.....無理だ....無理....俺か弱い男の子だし....。」
父の技に見惚れたのはよかったのだが....まさか技を使わずにあれを伐れといわれるのはびっくりした、それと同時に絶望も舞い上がってきた。
「まぁコツはジャンプだ、後多少の痛みは耐えろ!!」
「は...はぁ..?」
もうやるしかないようだためしに伐ろうと試みるが....。
「飛んでも全然とどかねぇえええ!!!!絶対無理だって!!」
「あ、わりぃわりぃ、お前にもこのネックレス渡さないとな!ほれ!!」
あ、技使ってよかったんだ。
投げられたネックレスは真ん中に何か石のようなものが埋まっていた。
「父さん、真ん中の石って何?」
「お前....魔道石も忘れちまったのか?」
魔道石....聞いたことがない石だ、名前からして魔力を秘めていそうな石だが...。
「....説明してくれないかな?」
「忘れてるんだもんな....しゃあないか....。魔道石っていうのは魔力が秘められた特殊な石だ、主に魔術が使えない戦士などが身に着けている。基本アクセサリーに加工してから効果が発揮される、作り方はいたってシンプルだが....鍛冶術と魔術が両方使える人じゃねぇと作れねぇから結構貴重品だな、まぁ魔道石についてはこんなもんか?詳しく知りたいんだったら鍛冶家とか魔術師に聞くといい、俺なんかよりもよっぽど詳しいだろうからな!!」
なるほど...どうやら貴重品らしい、恐らく家に帰る時に使ったコンパスにはめ込まれていた石も魔道石だろう。
「分かった...けど技とかってどうやって使うの?」
「あぁさっきのか?うーん...長くなるけどいいか?」
「うん、よろしく頼むよ。」
「さっき父さんが使ったのは武器に魔力を注ぐ、言わば魔力付呪だ、まず技を言った瞬間魔道石が反応して魔力を武器に送り出す、そして斧の刃が魔力を帯びて切れ味がよくなったり属性がついたりすんだ。」
...魔力付呪...なかなか良い気がする、魔法剣士とかが主に使うのだろう。
「とにかく試せ、実体験を元にしたほうがやりやすいはずだ。」
「わかった....斧型 木刃...!」
魔道石が魔力を発したのが一瞬で分かった、右手に魔力が伝わりそれが斧の刃へと伝わっていく。
「うおぉおおおおおぉおお!!何だこれぇええ!!!!??」
やべぇ、腕が....千切れるうぅう!!
その瞬間手を放してしまった、すると魔道石はたちまち反応をやめ元の石に戻ってしまった。
「おいおい...それぐらい男なら気合いで耐えてみせろよぉ...おいぃ..!」
すごい引力が働いていた、これを振り回して木を切るには相当の訓練が必要な気がする、それをいきなり初心者の俺に切れだなんて....無理にもほどがある....。
「おらぁ!ローグ!!!もう一度じゃぁあ!!」
「ひぃいいいい!!」
そして三時間後....
「お...斧型 木刃ァ!...」
また魔力が腕に伝わる、この感覚も何度目だろう。
「ウォオオオオォォォォォ!!いっけぇえええ!!」
次の瞬間木がスパッと切れた。
「や....やったぁあああ、やったよ父さん!!.....あれれ..?」
どうやら居眠りしてしまっていたようだ....悲しい。
「父さん!起きてよ!切れたんだよ!」
「ん....うぅ?.....おぉおおお!!よくやったな!!ローグ....お前も成長したな...!!」
ついに...ついにできたのだ、この大木を伐ることを、最初は持つこともままならなかった魔力がこめられた斧を振ることができたのだ...!!
「よし、今日は特別にここらへんで許してやる!初日だしな!!」
や、やっと開放された....家に帰って早く夕食が食べたい....。
家に帰ったのは午後6時、そして今日の夕飯はハンバーグだった。
なんともいえない絶妙なうまみが味覚を襲った、クソおいしい。
次の日は予言の日、そう午後6時に何かが起きようとしていた....。
どうでしたか?
今回が過去一番分量が多いです、まぁほかに比べたらまだまだなわけですが。
次回は....初戦闘です。