平凡な日々の終わりに……。
どうも!初めまして、あるてまと言う者です!
今回が初投稿とさせて頂きます、文章力が乏しく、誤字や脱字などがあった場合は教えていただきますと助かります!
途中から残酷な描写などもあります。
蝉の声が鳴り響く、暑い真夏日だった。俺はいつものように公園を歩いていた。
「今日も何も変哲もナッシング、公園は常日頃平和だなー。……ま、平和じゃなかったら困るけどな……」
そんな厨二懸ったセリフを吐いた後に、背後からタッタッと走りながらこちらに迫ってくる音が聞こえた。
「お~い! カケルー!」
彼女はまた遅刻だ。「遅いぞー!」と、俺は握り拳を掲げながら言う。
俺は 永原カケル。極一般極まりない、ただの高校生だ、特技はない……。
「環境に適応する能力は凄い」と以前に褒められたことはあるくらいが俺の自慢だ。
そして彼女は 彩月彩音。俺の幼馴染だ。
普段は彩と呼んでいる。名前が略されているというのに本人はまったく気にしていないらしい。
遅刻――からも分かるかと思うが、彼女の性格は極めてドジである。天然の上にツインテール属性を持っている。また、彼女の天然さからは想像できないような天才的な頭脳を誇っている。
肝心な時に遅刻やら何やらしてる癖に学力だけは無駄に高い――あれだ、一周回って馬鹿っていう奴。
ホントにその学力を少し分けてほしいぐらいだ。
周囲からは笑顔が可愛いだの、あの天然具合が堪らない! だの――彩音様!!!! とか叫ぶファンクラブまでできている。何とも理解しがたい奴らだ……。
……まぁ、幼馴染は幼馴染でお互い良い所悪い所が分かっているので? そういう感情が沸き起こらない物だよね? と俺は思っている。
「んじゃ行こうよ!」
「へいへい……どうせ、また荷物持ちだろうな」
後半は彼女に聞こえないように小さな声で呟いた。前を向いていた彩音がゆっくりと後ろに首を回す。
「何か言ったー?」
恐ろしくどす黒い印象の良い笑みだった。周囲の彼らはこの笑顔が可愛いとでも言うのだろうか? 少なくとも俺には恐怖感情しか浮かび上がってこない。
「……、いやなんでもないです、はい。というか早く行かないと洋服売り切れるんじゃないか?」
「そうだね……、さあ! ほらほらー! 早く行こう!」
ここまでの事情を簡単に説明すれば俺と彩はショッピングモールへ行こうとしていた、俺が呼ばれたのは運動神経いいし、幼馴染で頼みやすいからとかいう理由らしい。
納得がいかない、運動神経がいいからは分かるが、幼馴染だからというのは納得がいかない、彩にも恋焦がれている素敵な男性(笑)がいるらしい……。だからそいつと行けばいいのにと俺は言ってみたが「で、出来るわけ無いでしょ!」と顔を赤くして食い気味に返された。
幼馴染とは辛いものだ……。
……さっきからすごい視線を感じるんだが気のせいか……? 心なしか、殺気みたいなものまでも感じる、正直怖い……。
そして無事にショッピングモールへたどり着いた、周りの人がジロジロ見てきたが気にしない。彩音と歩いていたら視線なんか気にしていられないのだ。
「ここに来るのも久しぶりじゃないのか?」
「そーだねぇ……半年ぶりだよ!」
「そうか。んじゃとっとと片付けちまおうぜ。」
「ちょっと! 買い物は片付けるものじゃないのよ! 買い物って言うのはねぇ……!」
と長々立ち話で20分、周りの人の視線が痛い。
「で、買い物をすることで――んぐぅ」
「もういいから早く買いに行くぞ――ほら周りの人も見てるし」
「むぅーん、納得いかないけど許すッ!」
「はいはい……」
お前に許すなんて言われたか無いわ。と思ったが言うとまた面倒な事になると思ったので生返事で返しておく。
……散々歩かされた、荷物の量も半端じゃなかったし、彩を家まで送りクタクタだ……。まぁあいつの機嫌が良いとたまに何か買ってくれたりするわけだが……。
しかし明日は学校だ、余談だが彩と俺の学校は違うので学校ではこの出来事が言われることは無い。無い……のだが、少し厄介なのがたまたま通りすがった知り合いの男女に見られるといつも冷やかされて困ってしまうのである。
どうにかして言い訳を考えようとするのだが、文章を考えることの苦手な俺にとっては頭の悪い言い訳を思いつかない。さらに、俺はぶっきら棒に言う程度しか言うことができないのであまり効果はない……。それどころか逆効果になりうる時もあるので、最近ではスルーが当たり前となりつつあった。話は切り替わるが、いつもぐだぐだと愚痴を聞かされるのだが、最近の彩の話からは殺人事件に関することが増えてきた。たまに事情を聞かれる時があるようだ。
「注意しろよ」とは言ってあるがドジな彼女のことだ。いつものように些細な事からすぐ問題に巻き込まれてしまうかもしれない。正直なところ心配でしかない。
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一ヶ月ほどがたち、また出かける約束をしていたのだが――おかしい。
普段遅刻が多い彼女だが必ず±五分の間には来ることがもう分かりきっていた……にも関わらず来ないのだ。
勿論、そんなこともあるだろうと10分、20分、そして30分待った。しかし来ない。
心配になり彩の家にも行ったのだが結局、「今日は出かけたっきり」と言われてしまったので他をあたるしかなかった。どこかにフラフラーと行ってしまうような、蝶のように自由な性格だが、大抵は探せば簡単なとこで見つけられる。見つけられる、のだが……
「どこに行ったんだ? 彩音……」
しばらく探し、ふと、前回の買い物の時に話した会話の内容が頭の中をよぎる。
『殺人犯かぁ……。 怖いよねー、無差別みたいだし……。捕まっちゃったらどうしよう』
『殺人犯がどんな奴か知らないけどさ....危険なのは確かだから怪しい人には絶対近づくなよ』
『むー! わかってるよー! 子供じゃないんだから!』
「……っ。ホント、どこ行ったんだよ……!!」
もしかしたら殺人犯に捕まってしまったのかもしれないだろうか? 最悪の場合……もう、こ、殺されてしまったのではないか……?
一度悪い想定が浮かぶと、普段の俺からは想像出来ないくらいの様々なシチュエーションが浮かんでくる。
考えるのは辞めだ。何としてでも探し出す!
まだ希望が消えてしまったわけではない。心配性の性格が初めて役に立ったかもしれない。こんな状況でもふとそんなことを考えてしまうのは昔からの癖だ……。
「クソッ!!どこに行ったっていうんだよ!?」
苛立ちを道端のゴミ箱にぶつけた。どこを探してもいない、気まぐれな彼女の名前を路地裏で呼んでみたりもした。目立つ彼女の事だから、一人くらいは見かけた奴がいるだろう、と通りすがりの人に聞き込みもしてみた――が検討がつかない。この頭の悪い脳味噌をフル回転させて考えたが――無駄だった。
思えば俺はごく普通の高校生であった。見た目は子供、頭脳は大人の名探偵というわけでもないし、灰色の脳細胞を持つ名探偵でもない。もし仮に、殺人犯に攫われたと想定したのなら、最初から警察に協力を求めれば良かったのだ。取り合ってくれるかどうかはともかくとして。
俺は失敗したのだ。今日――あの待ち合わせの日から2日が経っていた。
ふと、辺りの通行人が叫ぶ声がする。その声は俺に向かって、「逃げろ」と。 そう言っていた。
振り返った瞬間に、一台の乗用車が俺に向かって猛スピードで突っ込んできた。
時速70kmは出ていただろう。普通の高校生である俺は僅か3mほどまでに迫る時速70kmの鉄の塊を避けられるはずはない。俺の体はまるで先ほど蹴とばした空のゴミ箱のように吹っ飛ばされた。
体が宙を舞う。そして――叩きつけられる。俺の周囲に何か温かい物が広がる感覚――それは、血だった。
痛覚が麻痺しているようで、俺は笑った。というか、笑うしかなかった。
「はは……なさけねーよな……、彩音……。助けようと探しているだけで……このざまだ……」
意識が薄れていく。それに応じて瞼も重くなる。そんな中――誰かが笑う声がした。
その笑い声は人にしては奇妙さを感じるような、狂ったような笑い声だったが、俺はどこか懐かしさを感じていた――そんな、気がする。
「っ……う……って、あれ? 俺……生きてる?」
ここはどこだ……? 辺りはぼんやりとした白い部屋だった。病室……? ――にしては妙に視界が直らない。
そんな中、一人の男が笑顔でこちらを向いて立っていた。服は白衣、なにやら怪しかった。
男はおどけた調子で笑う。
「やぁ、初めまして……ですね? 永原カケル君」
「……あなたは?」
「おっと失礼、名前を名乗っていませんでしたね? 私は斉藤直之、とある事情でここにお見舞いへ参らせていただきました」
「……っていうとあれか? 俺を轢いた運転手とか、その家族とか、か?」
「残念ながら不正解ですね? それはさておき、カケル君」
男はぐふっ、と気味の悪い声を漏らした。
「いい話があるんだけど乗りませんか?」
「……、?」
「なぁに簡単なゲームみたいなものなんですよね? ふふ」
怪しさ満点だった。勿論、俺は断るつもりだ。――しかしそんな気持ちも、次の言葉で一瞬にして切り替わった。
「あぁ、そういえば君のー、えーっと。幼馴染の――彩月彩音ちゃんだっけ? も、それには参加してるんですよね」
「――彩が!? 教えろ! 彩はどこにいるんだ!?」
「それは『実験』に参加してくれないと教えてあげられないですねぇ……? もし、参加してくれるんだったらー? 会わせてあげられますけどね……?」
男は嫌な含み笑いをした。止むを得ない、と渋々協力することにした。
「……分かった、協力する。早くしてくれ」
「くくく、ええ、それではご案内しましょう。」
「……は? どこにどうやって行くんだよ、まさか変な装置を使ってー、とか言うのか?」
「くく……。半分正解半分不正解ですかねぇ!!」
そう言うと急に視界がグラついて――病室が崩壊し始めた。
「うおっ!? ちょお! お前……何をし――」
何をした、と。そう言い終わる前に、俺の足元に真黒な底の見えない闇が広がっていたことに気が付いた。
「いえいえ……。ちょっといたずらしただけですよぉ? くくくくくく」
彼は笑った。薄れていく意識の中で、斉藤と名乗る彼が延々と笑っている声だけが聞こえていた。
今回初となるのでまだまだですが、頑張って更新していきたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。
キャラクターの名前を少し変更!
全体的に変更