偽造されたヒーロー
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教室での事件から数時間後。
ユウマは警察署の取調室に座らされていた。
小さな部屋。
固い椅子。
冷たい蛍光灯。
向かいには、ヒーロー監察局から派遣された男性捜査官が腕を組んでいる。
「天城ユウマ君。事情は聞かせてもらったが……君の動き、尋常じゃなかったようだね。」
テーブル越しに、同伴している学校の教師が青い顔で言った。
「そ、そうなんです……彼は“無能力者”のはずなのに……ヴィランの刃を素手で……」
「……粉砕した、と。」
捜査官の鋭い視線がユウマを貫く。
「ユウマ君。正直に言ってくれ。君には、能力があるんじゃないのか?」
「いえ……僕は……本当に、なにも……」
声が震える。
嘘ではない。
神に力を授かっただけだ。
だがそれを言って信じてもらえるはずがない。
「なら、血液検査をさせてもらう。」
「VBウイルスの活性状態、遺伝子変化、能力因子……全て調べる。」
逃げられない。
また嘘つき呼ばわりされるのか。
ヒーローでもヴィランでもない中途半端な存在として迫害されるのか。
そのとき――
『大丈夫。』
突然、あの“声”が耳元でささやいた。
『血液データなら……偽造くらいできるわ。安心なさい。』
(……え?)
次の瞬間、耳の奥がビリッと震えた。
何かが体内で“書き換えられた”ような感覚。
ほどなくして、検査結果が届き、捜査官が目を見開いた。
「……これは……!」
数秒の沈黙。
「天城ユウマ君――君には、ヒーロー因子が確認された。」
「えっ!?」
「VBウイルスに適合し、“制御型能力者”だ。
君は正式に、ヒーロー候補者として登録される。」
ユウマは言葉を失った。
ただ心臓だけが、ドクン……ドクン……と早く打つ。
(神……本当に……やったのか……)




