平和
未玖の言動が理解できなくてずっとモヤモヤしていた。考えていたら拓真が後ろから私の頭に顎を乗せてきた。
「乃愛、なに浮かない顔してんの。」
「あ、拓真。なんかさ、未玖が私と拓真の距離が近いことに怒ってきてさ。理解ができないんだよね。」
「あ〜…それ俺が原因かも。この前告白断ったんだよね。」
「また?この前も先輩からの告白断ってたし。」
「だって好きじゃないもん。」
「好きじゃないもんじゃないよ。その度に私が喧嘩売られるの、勘弁して欲しいんだけど。……え、未玖もってこと?」
「そうだと思う。」
「マジでホント……」
「ゴメンって。」
本人には絶対に言わないけど拓真は雰囲気がイケメンだからモテる。ただ中身との差がありすぎて結局飽きられることを本人が自覚しているから告白は全て断っているらしい。その度に私が呼び出されて、お前のせいだとかお前がいなければなんて言われる。言われすぎてもう慣れた。なんて言って断ってるのかは知らないが、毎度私が呼び出されるし、今年度はもう5度目だ。まだ1学期だが!?
「なに、喧嘩〜?」
「乃愛ちゃんどうしたの?また拓真くんがなにかしたの?」
「拓真が告白断った後処理。」
「あ〜それは拓真くんが悪いね。」
「拓真、そろそろ学べって。」
「え!?俺が悪くなるの!?」
「「「拓真が全面的に悪い。」」」
「みんなで言わなくても…」
多数決で完全に負けた拓真は教室の隅で拗ねているが、自業自得だと思う。
「拓真、乃愛の心が広くてよかったな。他の女子だったら激怒案件だぞ。」
「そうだよ。乃愛ちゃん毎度呼ばれて八つ当たりされてるんだから。」
「も〜柚愛、天使〜」
「おい!俺は!?」
「大雅は天使ではないだろ。」
「天使ではないかも。」
「おい!拓真も俺をいじれるからって嬉々とすんなよ!」
やっぱりこれくらいの空気感が好きだなと改めて思った。未玖みたいな考えの人がいるかもしれないけれど、やっぱり私は男女の友情は存在することにしようと思う。
吹奏楽部2年生は今日も平和です。




