表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『学園のトップ3美女がバ先で全員俺の部下 ~君たち高嶺の花なんだから、平凡男子に甘えるのはやめましょう』  作者: 波瀾 紡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/76

【★<√M>第70話(最終話):もっといい店にしたい】

 日曜日の朝。俺はカフェ・ド・ひなたに出勤した。

 今朝は早く目が覚めたせいで、いつもよりも30分も早い。

 だからと言って別に早く出勤する必要もないんだけど、早く出た方が少しでも京乃さんと長く居られる。


 店の前まで自転車で来たけど、まだ昨日のキスが頭から離れない。

 ヤバい。頭がアホになってる。こんなことじゃダメだ。しっかりしなきゃ。


 頭を左右に振って気合を入れてから、お店の扉を開いた。


「うわっ」

「ひゃっ!」


 いつもよりも早いし、まだ親父以外は誰も来ていない……と思い込んでいたから、中に入った瞬間、たまたま目の前に京乃さんがいて驚いた。

 彼女もまさか俺がこんなに早く出勤してくるとは思っていなかったようで、可愛い悲鳴を上げた。


「あ、ごめん。京乃さん、来てたんだ」

「はい。早く来てしまいました」

「そっか。ありがとう。仕事熱心だね」

「いえ、そうではなくて……」

「ん?」


 なぜか京乃さんがもじもじしている。


「あの……雄飛さんに早く会いたいと気が焦ってしまって」


 ──あ。俺ってバカだ。そんな気持ちも察することができないなんて。


「あ、ありがとう。実は俺も今朝早く目が覚めてさ。早く京乃さんに会いたくて、こんなに早く来ちゃったよ。あはは」

「ホントですか? 嬉しいです」


 ああ、やっぱ京乃さんの笑顔はとてつもなく可愛いな。

 早く来たおかげで、こんな笑顔を独占できる。


 親父はキッチンで仕込みをやってるし、このホールには二人きり。

 浜風さんと神ヶ崎が出勤してくるまで、あと15分はある。二人でゆっくり過ごせる。

 よーし、たくさん話をしよう。


「あのさ京乃さん……」

「おっはよぉ~~~っ!」


 突然扉が開いて、天真爛漫ガールが現れた。続いてクール美少女も入ってきた。

 ちょっと待って! いきなり計算外の展開かよ。


「お、おはよう」

「うっわ、もう雄飛君が来てるっ!? マジ? まぼろしっ!?」


 浜風さんがのけぞりながら、失礼なことを言い放った。


「本物だよ。失礼な」

「だって雄飛君がこんなに早く出勤するなんて、今までなかったっしょ」


 ──はい、ごめんなさい。その通りで言い返す言葉もございません。


「やっぱ、みやちゃん効果だね。恋人に良い所を見せようって魂胆だな! うりうり」


 指先でわき腹をぐりぐりするな。くすぐったくて仕方ない。


「うわはっ、やめてくれ。セクハラだぞ!」


 そんなことを言いつつ。

 心の中では浜風さんに感謝しかない。


 俺は今回京乃さんを選んだ。浜風さんからしたら、俺はにっくき相手かもしれない。

 少なくとも俺の顔を見たら、とても辛い思いをするに違いない。

 できればあまり話したくないだろう。


 なのにこうやって明るく、今までどおり接してくれている。

 俺に気を遣わせないようにという心配りが嬉しい。


「あいよ。今日はこれくらいで許してあげよーぞ」

「偉そうだな浜風さん」

「まあね。今日は雄飛君を祝う日だからね」

「なにを?」

「決まってるじゃん。みやちゃんと雄飛君が付き合い始めたことだよ!」

「……え?」

「おめでとう、みやちゃん!」

「ありがとうございます」

「おめでとう雄飛君!」


 まさか。浜風さんがここまで言ってくれるなんて。


「あ……ありがとう」


 ありがたい反面、強がってるんじゃないのかと心配にもなる。


「実はね。最初に大きな声で祝福したら、吹っ切れていいよってすずちゃんがアドバイスしてくれたんだ。そのとーりだったよ」


 浜風さんが目を向けると、神ヶ崎は黙ってうなずいた。


「だからこれからもよろしくっ!」


 握手を求めてきた。俺が反射的に手を出したら、ぐっと握られた。

 感謝を込めて俺も手に力を入れて握り返す。


「ありがとう。カフェ・ド・ひなたをもっといい店にするために、浜風さんの力が絶対に必要だ。これからもよろしくお願いします」

「えへへ、照れるけど、よろしくね。みんなで協力して、いい店にしよう!」


 心底照れくさそうな笑顔を浮かべる浜風さん。

 京乃さんも神ヶ崎も深くうなずいた。


「じゃあ着替えに行こっかみやちゃん、すずちゃん!」


 浜風さんが他の二人を交互に見つつ、声をかけた。

 そして二人の背中を押しながら、更衣室に向かって店の奥の方に歩いて行く。


 三人がホールから奥に入る直前、一番後ろを歩く浜風さんが振り向いた。

 ニヤついた顔で、他の二人に悟られないように俺を向かって口パクをした。


【がんばれ】


 浜風さんの口は、確かにそう動いたように見えた。

 そしてそのまま前を向いて、他の二人と一緒に奥に消えていった。


 ホントにありがたい。

 そうだよな。店づくりも京乃さんとのお付き合いも、まさにこれからだ。


 どちらもしっかり頑張らなきゃならない。いや、頑張りたい。

 そんな気持ちに包まれた。


 こんな気持ちになれるのは、みんなのおかげだ。

 俺は三人の後姿を眺めながら、心から感謝を述べた。


 浜風さんありがとう。

 神ヶ崎もありがとう。


 ──そして京乃さんありがとう。大好きです。



= <√M> 完 =

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ