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『学園のトップ3美女がバ先で全員俺の部下 ~君たち高嶺の花なんだから、平凡男子に甘えるのはやめましょう』  作者: 波瀾 紡


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【★<√M>第67話:ケーキが繋いだ仲ですし】

 二人並んで公園に足を踏み入れた。

 都心のオアシスである大型公園だけあって、通路の両側には洒落た飲食店や、ガーデニング店が並んでる。


 ここを待ち合わせ場所に選んだのは、なにか意味があるんだろうか。

 少し歩いて、お洒落なデザインのカフェの前で、京乃さんが足を止めた。


「このお店に入りませんか? ここのケーキすごく評判がいいんですよ。グルメサイトで、このエリアで一番の評価です」

「へぇ!」


 ここからカフェ・ド・ひなたも遠くはない。

 つまり同じエリア。その中の一番店か。


 しまった。カフェ経営者として、そんなことも調べてなかった。


「でも今日は敵情視察というよりも……」


 京乃さんは少し目を伏せて、はにかみながら言った。


「わたしと雄飛さんを繋いだのはケーキ。そして今もケーキが美味しいカフェで一緒に働いています。だからこうやって、二人の初めてのデートでケーキを食べたい。そう思ったのです」

「デート……」


 ちょっと待って。俺が京乃さんとデート。

 好きな子と学校の外で二人きりで会える。ただそれだけで幸せに感じる。


「じゃあ入りましょう」

「うん」


 俺たちは店内に入り、カウンターでドリンクを注文した。

 俺はホットコーヒー。京乃さんはキャラメルラテ。


 選ぶ飲み物まで可愛いな京乃さん。

 ……あ、もはや彼女のすべてを可愛く感じてしまう。ヤバ。


「えっと……どれにしようかな」


 俺のすぐ横で少しかがんでショーケースを覗く京乃さん。

 ショーケース内の照明が黒い瞳に映ってキラキラとしている。

 まるで宝石のようなケーキ達を見つめるせいで、瞳がキラキラ光っているようだ。

 うん、この横顔も可愛い。


 ──って俺。さっきから「可愛い」しか考えてないな。

 これダメなヤツだ。脳がバカになる。


「雄飛さんはどれにしますか?」


 突然京乃さんが横を向いた。

 間近で彼女の顔横顔を眺めていた俺と、ばっちり目が合う。


「あ……」


 ぽかんとした顔の京乃さん。

 間近で見つめ合う形になって気まずい。

 だけどなぜか京乃さんは目を逸らすこともなく、じっと俺を見ている。


「どうしたの?」

「あ、いえ……今日の雄飛さんは……いつもに増してカッコいいです」

「え? いや、あの、ちょっ……」


 いつもに増して?

 つまり、いつもカッコいいってこと?

 そんなことないけど、うわ照れる。


「お、俺も……京乃さんはいつもめちゃくちゃ綺麗だけど、今日はさらにさらに綺麗だと思う」

「え? きゃっ、そんな……」


 両手で顔を隠す京乃さん。

 こんな仕草も可愛い。


「こほん。あの、お客様?」


 カウンターの向こうから、若い女性の店員さんが微笑んでいた。


 ヤバい。バカップルと思われた様子。

 今までバカップルを見かけたら、いい加減にしろよと思っていたのに。

 俺はあんな馬鹿にはならないと、根拠のない自信を持っていたのに。


 世間の皆さんごめんなさい。

 好きな人がそばにいて、あまりに可愛く思えたら。

 人はバカになるのだと、今日気づきました。


「ご注文は何になさいますか?」


 店員さんに暖かな目で見られてる。

 お姉さん、ごめんなさい。


「えっと、この、いちごショートケーキをください」


 京乃さんがショーケースの中を指差した。

 俺はチョコレートケーキを注文する。


 注文した飲み物とケーキをトレイに載せて、席に着いた。

 向かい合って目の前に、黒髪が美しい超絶美少女が座っている。


 ──この人が俺の彼女。


 ヤバいヤバい。

 俺の人生のシナリオになかった展開だ。


「美味しい!」

「ホントだね。うまい」

「マスターのケーキもめちゃくちゃ美味しいですけど、ここのはまた違う感じですね」

「そうだね」


 決して親父のケーキが負けているわけじゃない。

 俺もそう感じた。個性が違うという感じ。


「俺たちも自信を持って、もっといい店にしていきたいな」

「はい。わたしもそう思います。微力ながらわたしも協力するから、一緒にお店を盛り上げていきましょうね」

「うん。ありがとう」


 自分の叶えたい夢を、一緒になって目指してくれる彼女。最高かよ。


 その後も俺と京乃さんは、あんな店にしたい、こんな店にしたいと、理想のカフェについて語りあった。


***


 カフェを出た。

 ずっと気になってることが一つある。


 それは、まだ俺は京乃さんに好きだって気持ちを伝えていないこと。

 彼女ははっきりと好きだって言ってくれた。


 だけど俺は、まだちゃんと言えてない。

 ──よし、言うぞ。


「ねえ京乃さん」

「はい?」

「えっと……これからどうする?」


 ああっ、言えなかった!

 そりゃそうだろ。女の子に向かって好きだなんて、そんな簡単に言えりゃ苦労はしない。


「じゃあ……芝生に座って、お話しませんか?」

「うん、そうだね」


 さすがにケーキだけ食べてサヨナラするのは残念すぎる。

 もう少し一緒にいたい。


 この公園の売りである芝生エリアはすぐ近くにある。


「あそこに座りましょう」


 京乃さんは芝生エリアの人がいない場所を指差した。

 そこまで移動すると、彼女は通学カバンを開けて中からビニールシートを出した。


「どうぞ座ってください」


 広げて芝生に敷いたビニールシートを指差す美少女。


「えらい準備がいいな」

「はい。数日前からシミュレートして、ちゃんと準備しました」


 そこまでしてくれるなんて。さすが真面目な性格だ。

 でも真面目だから、ということだけではなくて。

 会っていない時にも俺のことを考えてくれていたんだと思うと、京乃さんのことが一層愛おしく感じる。


 二人並んでシートに腰を下ろした。

 空を見上げると、爽やかな青空が広がっている。


 周りはオフィスビルやテナントビルが林立している真ん中の都会のオアシス。

 休日は人がたくさんいる大芝生公園だけど、今日はたまたま、ほとんど周りに人はいない。

 都会の真ん中とは思えない静かな環境。


「うふ。こうしているだけでなんだか楽しいです」


 横を向くと京乃さんが俺を見つめていた。

 ホントに楽しそうに穏やかにほほ笑んでいる。


「うん、俺も楽しい」


 それがこのうえなく心地よかった。

 まあ、いまだに好きだって言えてないんだけど。

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