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『学園のトップ3美女がバ先で全員俺の部下 ~君たち高嶺の花なんだから、平凡男子に甘えるのはやめましょう』  作者: 波瀾 紡


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【第58話:どうしたらいいと思う?】

***


 一日の授業が終わって、放課後になった。

 凉香も交えて、三人で駅までの下校路を歩く。


「ねえ、凉香ちゃん。人生相談したいんだけど?」

「は? 人生相談? いったいどうしたの? 人生に疲れた?」


 鈴々の言葉を冗談だと思った凉香は、冗談混じりに答える。

 しかし反対側から、雅までもが真剣な口調で話し出した。


「いえ、人生に疲れたわけじゃないですけど、わたし達じゃ、もうどうしたらいいのかわからない状態になってまして」

「え? ちょっと待って。もしかして、真剣に大変なことが起きてる?」

「はい」

「そうなんだよぉ」


 雅と鈴々は、ことの経緯を凉香に話した。


 二人とも雄飛を好きだということがお互いにわかったこと。

 さらに、同じクラスの田中美香も彼を好きで、来週の月曜日に告白を決行する予定であること。

 クラスの男子が雄飛に、『チャンスを逃すな』などと煽っていたこと。

 そんな話に、いつもクールな凉香もさすがに唖然とした。


「そんなことが起きてるなんて。思いもよらなかったわ。うーん……」


 腕組みをして唸るクール美少女。

 難しい顔の涼香を見て、鈴々は「あっ」と小さく声を上げた。


「もしかして……凉香ちゃんも雄飛君のことを好きだったりする?」

「別に嫌いじゃないけどね。ん……どちらかと言えば好き」


 凉香の発言に、雅と鈴々は凍りついた。


「ちょっと待って二人とも。誤解してるようだからちゃんと言っておくわ。好きと言うのは、友達として、上司として好感を持てるという意味だからね。恋愛感情は一切ないから」

「そうなんだ」「そうなんですね」


 二人の表情から緊張感が溶けていく。


「雄飛君って無自覚に良い人だから、彼の言動で時々私でもすごく照れてしまうこともあるけど……まあそれも含めて、恋愛感情じゃなくて、いい人だって感じ」

「あ〜びっくりした。凉香ちゃんまで雄飛君を好きだったら、もっとどうしたらいいかわかんなくなるよ」

「まあそこは安心して」

「わかった」「はい」


 ──でもこれって、今まで男子に苦手意識を持っていた凉香にとっては大進歩だ。雄飛君、やっぱすごい。


 鈴々はそんなことを思いつつ、改めて尋ねた。


「で、どうしたらいいと思う?」

「そうね。確かに今の状況のまま何もしなければ、彼が田中さんと付き合う可能性もあるわね」

「やっぱそうだよね? よし雄飛君に、田中美香ちゃんの悪口を吹き込むか」

「何を言ってるのですかりんちゃん。そんな闇堕ちしちゃダメですよ」

「わかってるって。冗談だよ」


 こんな状況でも能天気な鈴々を、雅はつい可愛いと思ってしまう。


「まあ正攻法からすると、彼女が告白する前に、鈴々や雅が告白するって方法ね」

「……え?」


 鈴々と雅が見つめ合う。

 涼香は苦笑いを浮かべた。


「あ、ごめんごめん。そんなことできないよね」

「いえ……それもアリですね」

「え? 雅、それ真剣に言ってる?」

「はい。りんちゃんがよければ、わたし達二人とも、告白するのもアリかと思いました」

「あたしも今、みやちゃんとおんなじこと考えてたよ」

「鈴々まで?」

「だってみやちゃんに負けるならいいけど、特に仲良くない子に負けるなんてヤダ」

「わたしもです。りんちゃんになら負けても悔いはありませんけど、よく知らない人に雄飛さんを取られるのは我慢できません」

「ちょっと待ってよ二人とも。二人が告白しても、少なくともどちらかはフラれるのよ。」


 どちらか一方と付き合うことになれば、二人の間はぎくしゃくするかもしれない。そうなれば3人は今までどおりじゃいられない。

 カフェ・ド・ひなたのバイトもどうするのか。

 最悪、二人とも振られることだって……


 そんな心配をする涼香に、鈴々と雅は、思いのほか穏やかな態度で口を開いた。


「もしフラれても、みやちゃんに負けたんだったら、あたしは今までどおりみやちゃんとも雄飛くんとも、付き合っていける気がするんだ」

「わたしもりんちゃんに負けたのなら、悔いはありません。今までどおり接することができる自信もあります。だってわたし、りんちゃんのことが大好きだから」

「あたしもみやちゃんのことが大好きだよ。もちろん涼香ちゃんのことも」

「ホントに二人とも告白するつもりなの? どちらが選ばれても相手を祝福して、これからも友達でい続けられるの?」

「うん」「はい」

「そう……」


 呆れたような、安心したような。

 即答する二人に、涼香はほほ笑んだ。


「そっか。雅と鈴々なら、本当にそんなふうにできるような気がするわ。あとは雄飛君が、今までどおりでいてくれるかどうか」

「雄飛君なら、だいじょーぶって気がする!」

「そうですね。わたしもそんな気がします」

「確かにそうね……」


 涼香は少し思案顔をしてから、顔を上げた。


わかった。じゃあ私は、二人の告白をサポートする。その後もみんなで一緒にいられるように、私も最大限協力するわ」

「凉香ちゃん、ありがとうー!」

「すずちゃん。ありがとうございます」


 三人で手を出し合って握手を交わす。

 こうして雅と鈴々、それぞれが雄飛に想いを告白することが決まった。


 ではいつ告白するのか?

 もちろん来週月曜日の田中美香よりも、先に告白しなければならない。


「次の日曜日のバイトの時がベストってことかなぁ」

「そうですね」

「ぐえええ……あと二日しかないのか……ダメだ。急に緊張してきた」

「わたしは告白するって決めた時から、ずっと緊張してます。吐きそうです」

「み、みやちゃん大丈夫!?」

「大丈夫じゃないけど大丈夫です。とにかくXデーは明後日の日曜日。さすがにバイト前や最中はまずいので、バイト終わりに二人とも告白するっていうのはどうですか?」

「うん、いいよ。どっちが先に告る?」

「そうですね。じゃんけんで決めましょうか。勝った方が先ということで」


 こんな大事なことをじゃんけんで決めていいのだろうか。

 だけど運まかせの方が、お互いに気を遣わなくて済む。

 だから二人とも、案外これがベストな方法なのだという気がしてきた。


「そうだね。そうしよう」


 二人はがじゃんけんをした結果──


「わたしが勝ちました」

「うっへぇ~っ、負けちゃった!」


 雅が先に告白することが決定した。

 どうやって告白の場をセッティングするのか。

 そして告白した後の流れをどうするのか。


「私が協力するから、こうしましょう」


 凉香がアイデアを説明した。


「なるほど、さすがすずちゃん。頼りになります。わたしはそんなことまで考えてもいませんでした」

「あたしなんか、たぶん、もっとなんにも考えてなかったよ、あはは。ありがとう〜」


 ──そして二日後。

 運命の日曜日がやってきた。

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