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『学園のトップ3美女がバ先で全員俺の部下 ~君たち高嶺の花なんだから、平凡男子に甘えるのはやめましょう』  作者: 波瀾 紡


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【第50話:距離を縮めたい三人】

***


 カフェの営業日を明日に控えた土曜日の夜。俺は色々と考えていて、なかなか寝つけなかった。


 まずは明日、トップ3美女達にお礼を言わなければならない。

 

 クラスで全然目立たない俺は、人気男子総選挙なんてものを開催されると、本来なら1票も得られない。

 だけど3人とも、店長である俺を気遣って、投票してくれた。


 しかしその後学校では、彼女達と話す機会がなくてお礼を言えてない。

 これはやはり、明日ちゃんとお礼を言うべきだよな。


 それと逆に必要なのは、神ヶ崎のフォローだ。

 他の二人に得票数で水を開けられて、大いにプライドが傷ついたに違いない。


 だけど厄介なのは、アイツの性格からして、それを認めたがらないだろうってこと。

 変に慰めるようなことを言っても、かえって彼女を傷つけたり、反発を招くはずだ。


 どうフォローしたらいいのか、なかなか答えが見つからない。

 他にも色々頭に浮かんで、考えがまとまらないまま、気がついたらいつの間にか眠りに落ちていた。




◆◇◆<TOP3美女side>


 翌日、日曜日の朝10時過ぎ。

 鈴々《りんりん》、みやび凉香すずかの三人は既に『カフェ・ド・ひなた』に出勤していた。


 この店の更衣室は、三人同時に入るとちょっと狭い。

 着替えをすると、腕や肘がお互いのボディに当たることもある。けれども仲の良い三人は気にしない。


「みやちゃん、またおっぱいおっきくなったねぇ」

「な、なに言ってるんですか。恥ずかしいからやめてください。それに……」


 肌を露出した下着姿で、じゃれ合う二人。

 下着の色はピンクの鈴々に対して白の雅。まるで性格を表しているようだ。

 雅は羞恥のせいで全身の肌が赤くなって、白い下着がさらに映えて見える。


「それに?」


 鈴々は首を傾げる。


「りんちゃんこそ大きいじゃないですか」

「まあ、あたしの場合、脳に行くべき栄養が胸にいっちゃった感じだからねぇ」

「こら鈴々。周りがツッコミにくい自虐ネタを放り込むんじゃない」


 素早く凉香がツッコむ。こちらはスリムなモデル体型で、透き通るような白い肌が眩しい。


「えへへ……ごめん」

「別にあなた、頭は悪くないし。ホントは頭がいいのに」


 少し呆れたような、それでいて温かな目で鈴々を見る凉香。

 みんな本当に仲がいい。だからこそ本音で話をできる。


 三人が着替えを終え、メイド服姿で更衣室から出たところで雅が尋ねた。


「ねえりんちゃん、質問なんですけど」

「なぁーにかな」

「なんで秋月さんのこと、急に『雄飛君』って呼び始めたのですか?」

「ぷふぁわっ……ば、バレた?」

「そりゃバレますよ。あれだけ大々的に呼んでれば」


 逆になぜバレないと思ったのか。

 不思議に思う雅である。


「なんかさぁ、一緒に仕事して学校の外では毎週会ってる仲間なのにさ。秋月君って呼び方はよそよそしいと思うわけよ。だから」

「なるほど、それはそうですね。つまりりんちゃんは、秋月さんともっと仲良くなりたいと」

「あわわ、いや別にそうは言ってないけど」

「じゃあ、別に仲良くなりたくはないと」

「そうも言ってはないけど……」


 視線をそらす鈴々を、少し嫉妬の色をにじませながら、でも愛おしいものを見る目で見つめる雅。

 雄飛を大好きな雅にとって、鈴々が雄飛と仲良くなるのは、どうにも嫉妬の感情が抑えられない。


 でも一方で鈴々は、雅にとって、とても大切で大好きな友達だ。

 自分が推す男性を同じように推しているという嬉しさもある。


 そんな複雑な感情が胸中に渦巻く。


「秋月さんは大切なバイト仲間で、大切な上司ですもんね。距離を縮めたいのはわかります。だから名前呼び、いいと思います」

「だよねっ! さすが雅ちゃん!」


 追求から逃れられそうで、ホッとして満面の笑みを浮かべる鈴々。


「じゃあわたしも同じ立場なので、秋月さんを名前呼びしますね」

「へっ……?」


 まさかおっとりして引っ込み思案の雅がそんなことを言い出すなんて。

 思いもよらなかった鈴々がフリーズした。


「ちょちょちょっと待って」

「どうかしましたか?」

「あ、いや……な、なんでもない」


 何か言いたげではあるが、鈴々は口を閉じる。

 雅は満足そうに頷いた。


「すずちゃんはどうしますか?」

「そうね……」


 クールで男性が苦手な凉香は、雄飛の名前呼びになんて乗ってこない。

 そんな雰囲気であったが……


「私もそうするわ」

「え? えええ? えええええーっ? 凉香ちゃん、マジっ? ギャグじゃなくて?」


 鈴々は、凉香がこんなギャグを言うキャラじゃないと思いつつ、信じられない気持ちが大きすぎて念押しをした。


「ええ、冗談ではないわ」

「凉香ちゃんがまさかそう言うなんて、一ミリも思わなかった。びっくりだよ」

「まあ、鈴々が言うのも一理あると思って。バイト仲間なのだし」

「ほえええぇぇ……」


 驚きと、自分だけが名前呼びをすることで特別感を出せるという目論見が外れて、情け無い声を出す鈴々。


 美女三人が競うように彼を名前呼びしようとしたことなど、雄飛自身はまったく思いも寄らないのであった。



***<雄飛side>


 昨日なかなか寝つけなかったせいで眠い……

 だけど遅刻するわけにもいかないから、頑張ってベッドを抜け出した。


 『カフェ・ド・ひなた』の営業は午前11時から午後7時まで。開店準備もあるから、いつも30分前には店に出勤している。


 10時半に店に着くと、女子3人は既に出勤していた。

 いつもよりも早いご出勤だな。


「おはよう。みんな早いね」

「おっはよ〜雄飛くん!」

「おはようございます雄飛さん」

「おはよう、雄飛君」


 浜風さんは満面の笑み。

 京乃さんは優しい笑顔。

 そして神ヶ崎はいつもどおりクールな表情。


 うん、全員いつもどおりだ。


 ──あれっ? 今なんだか、すっごく違和感があった……よな?

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