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『学園のトップ3美女がバ先で全員俺の部下 ~君たち高嶺の花なんだから、平凡男子に甘えるのはやめましょう』  作者: 波瀾 紡


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【第49話:秋月氏、すっごいでござる!】

「三位は秋月君、3票!」


 大川さんのこの言葉に、教室中がどよめいた。

 いや、聞き間違いだよね。三位は千葉だよね。


「秋月氏、すっごいでござる! 驚いた!」


 前の席の前野君が上半身をねじって振り返る。眼鏡の奥からびっくりまなこで見つめられた。

 コイツ、こんな大きな目をできるんだと俺の方も驚いた。


 いやそんなことはどうでもいい。

 俺が三位って、聞き間違いじゃなかったのか。なんてことだ。


「おい秋月。お前、誰かに賄賂を渡したのか?」

「するかいっ!」

「わかってるよ」


 小山くんがにやりと笑った。


「秋月が3票も得票だって!?」

「誰が投票したんだ?」

「いつの間にあいつ、そんな人気者になってんだ?」


 教室のあちこちから、どれもこれも疑問符だらけの声があがっている。

 俺だってそんなこと知らんて。


「あ、はいはいはいっ! あたし雄飛君に投票したよっ!」


 元気よく手を挙げて浜風さんがみんなに宣言した。

 ざわざわと教室中から声が上がる。


「マジか? 秋月のヤツ、三大美女の一人から得票するなんて、すごすぎん?」

「おうよ。めっちゃダークホースだろ」


 驚きの声の渦が教室中に巻き起こる。

 浜風さんが俺に投票したのは同情票だ。だからそんなにどよめかないでくれ。


 しかしそれはまだ、ほんの序章にしか過ぎなかった。


「あ……わたしも秋月さんに投票しました」

「ええええええ!? 京乃さんもっ!?」


 教室はさらにどよめきが増した。


 ああ、京乃さんまで。

 俺がバイト先の店長なせいで、みんなに気を遣わせてマジで申し訳ない。

 そんなに忖度しなくていいんだけど、そこが彼女たちの優しい所なんだよな。


 だがクラスのみんなは、そんなことは知らない。

 彼らにとって見えているのは──三大美女が一人ならず二人までもが、地味男子・秋月に投票したという事実のみ。


「なんと三大美女のうち二人から得票しただと!?」

「でもまあ、この前も浜風さんと京乃さんは秋月と遊びに出かけてたもんな」

「そうだな。親しくなったから、投票してあげるってのはわかる。でもあと一票は誰だ?」


 さらに教室内はヒートアップしている。

 俺への投票が三票と言うことは、もしかしてあと一票は……


「そうね。私よ」


 ああ、やっぱりか。

 まさか神ヶ崎まで気を遣ってくれるなんて。


 神ヶ崎涼香がそう言って手を挙げた瞬間。

 逆に教室は突然静まり返った。

 あまりの衝撃に、全員の思考が一瞬フリーズしてしまったようだ。


 時が止まったようだと誰もが感じたその直後。

 本日最大のどよめきが教室に巻き起こった。


「ままままま、マジかよ!? なんでそんなことが起こってるんだ!?」

「うっわ、もしかしてもしかするかと思ったけど、やっぱそうだったのかぁぁぁぁっ!」

「いや、俺は信じないぞ。これはきっとドッキリだよな? どこかのテレビ局が入ってるんだよな?」


 そんなわけはないだろ。ド素人の高校生にそんなドッキリを仕掛けたところで、まったく視聴率が取れない。


 きっとあの三人、示し合わせて俺に投票してくれたんだよな 

 俺が神ヶ崎の気持ちを気遣って投票したように、彼女達は上司であるモテない秋月雄飛を気遣って投票してくれた。

 ことの真相はそんなところだろう。


 それはそれで彼女たちの優しさと気遣いにとても感謝する。

 だけどこんなふうに大川さんがみんなの前で発表するとなると、それはとても困ったことである。


 クラスの皆からしたら違和感しかないだろう。

 だけど三大美女が俺と同じカフェでバイトをしていることは明かすわけにはいかない。


「おいおい秋月! どういうことか説明してもらおうか?」


 気がつくと千葉が俺の席のすぐ横にまで来て、上から睨んでいる。


「いや、あの、説明と言われても……」


 どう説明し、この事態を収拾したらいいのか。

 難問すぎて答えが見つからない。


「こらこら千葉君! いくら羨ましいからって、雄飛君に詰め寄ったらダメだよぉ〜!」


 浜風さんがいつものように天真爛漫に、場を収めようとしてくれた。しかし──


「雄飛……君? 鈴々、めっちゃ親しそうじゃね?」


 千葉が怪訝な顔をしている。

 教室がさらにざわつく。


「ホントだ。秋月と浜風さんって、マジで仲良くなったんだな」

「そうみたいだな」


 みんなの視線が俺に集まって、いたたまれない気分だ。


 京乃さんも厳しい視線を俺に向けている。なんだか怒ってるようだ。

 いや、京乃さんなら、浜風さんの性格や行動パターンを知ってるよね。

 俺を睨まれても、どうしようもないんだけど……


「みんな待ってよ! あたしと雄飛君が仲良しだって?」


 腰に両手を当てて、ぐるりと教室を見回すハーフ美少女。ゆるふわブロンドヘアがふわりと揺れる。

 もしかしたら彼女は気を悪くしたのかと、周りは息を飲み、沈黙が流れた。


 そうだよ。浜風さん自身が、そんなことはないって否定してくれたら事態はきっと収まる。

 ──頼むぞ浜風鈴々。


「単なる仲良しじゃなくて、めっちゃ仲良しだから! そこんとこヨロシク!」


 満面の笑みでピースサイン。

 クラスは爆笑の渦に包まれた。


 アホだ。やっぱり浜風さんはアホだ。

 もちろん良い意味で。


 天然美少女のあっけらかんとした明るさに救われて、俺をねたむ雰囲気は霧散した。

 三位の座を地味男子に奪われて、本来なら敵意を向けてきてもおかしくない千葉ですら、苦笑いを浮かべている。


「秋月殿。オタク仲間として、キミのランキング入りは誇らしいぞよ」


 前野君にも喜んでもらったようで……まあ、良かった。

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