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演目:忘れられた街

ディームス、

この町ではサーカスが盛んで今日も明日も未来でも、毎日訓練と公演が行われている。

ゾウ使いや、ライオンのショー、曲芸師やマジシャンなどの様々な演目は観光としてディームスに訪れる人々にとってそれは魅力的なもの。

小さい子供はサーカスに出場する小動物と戯れ、大人たちは壮大なステージや外観に見惚れ写真や絵に残すために手が止まることはない。


一風変わったショーの構成は、ディームスの歴史を断片に型取りそれに沿って様々な技を見せていく。

童話のようで、小さな子供たちが楽しめるような内容でありながらステージ細部の背景は世界一の絵師が鍛錬に作り込んだかのように繊細。


ただし、サーカス団員を含むディームスの住人はこのことに誇りを持ってはいない。また、持ってはいけないのだ。

素晴らしいショーの構成は彼らに取っては教訓とこれまでのことを忘れないための教訓。


かつて、古き良きを保っていたディームスではしかし革新を欠きすぎているという理由で一時期にこれまでの歴史を全て捨て去ってしまった。本や絵なども焼かれてしまった。

それから少し経って、新しさを求めるあまり大切な街の歴史を全てないものにしてしまった、大変な事実に気づいた彼らは、唯一新しいものを取り入れてつつ行っていたサーカスは残していたことに気付いた。


幸いサーカスはもともと歴史の断片を含んだストーリーで進められていくスタイルだったため、住人たちはかすかにそこからは歴史を感じることができたのだ。

また、個人宅の蔵の奥にあった古い本などからかつてのことを再現・勉強することにした。


というわけで、

皆様が今日今から見られる演目にはディームスのこういった歴史があるのです。

豊かな背景の作り込みは、変わらないディームスが元から持つ豊かな自然がかろうじて残してくれたものです。

新しいものを求めたかつての彼らも、育った自然だけは全て無くしてしまうことを想像すらしなかったのでしょう。また、一部無くしたものでさえこの土地はそれを物ともしないほどの悠然さを持ち合わせていたのです。


私はこちらで一度ショーが終わるまで失礼させていただきます。

では皆様お楽しみを!

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