ヤりませんから……私
私はマリリンモンルーサラと人目がつかない屋敷の奥まった部屋へと入って行った。
部屋へ入るなり自分のとった行動がうかつだったことに気づく。
外からの月明かりと庭のライトの明かりが窓からほどよく入ったいい感じにムードありな暗さの部屋に、マリリンモンルーサラと二人っきり。
これじゃあ私が今からここでヤろうって誘ってるみたいに思うんじゃないか……?
こっちは誰もいないとこで話をつけたいだけなんだけど。
そんな不安が頭によぎった矢先、マリリンモンルーサラが私に抱きついてきた。
ーーやっぱりそうきたか……。
舞踏会で二人っきりになりたいとヤる気満々で誘っていたのはこのクズのレオナルドの方だし。
この女もそりゃあその気になってるわな。
あ〜〜なんでいつも私は女と会う時、フツーーーーに会えないんだッ!!
ビビってる、怒ってる、迫ってくる。
マジ疲れるわ。
『レオナルド様と二人っきりになれて嬉しい。すごく嬉しいです〜〜♡』
こっちは嬉しかねーーよ。
『そ、そのことなんだけど……』
私が話しだそうとすると、すかさずマリリンモンルーサラが囁くようにして言う。
『大丈夫ですよ。私は誰にも言いませんから。もちろんマリアンヌ様にも……今宵のことは二人だけのヒ・ミ・ツ♡』
ヒ・ミ・ツ、じゃねーーよ!!
私は女なんだッ!!
あんたとはヤらんしヤれんわ!!
『そうじゃなくて……やはりこんなことはするべきではないと思う。誘っておいてすまない……』
ーーなんで私が謝ってんだか。
『そんな深刻にお考えにならなくてもよいではありませんか? 今宵だけの男女の戯れとお思いになれば』
男女じゃねーーんだよ!!
女同士なんだよ!!
『それだとサラ嬢を傷つけてしまうから』
『いいんですのよ!! メチャクチャに私の体を傷つけてくださっても〜〜♡』
ーーこの女もなかなか引かんな……
『いや、こんな無責任で軽はずみな言動をとってはいけなかった。サラ嬢のことも、マリアンヌのこともちゃんと考えるべきだった…… 申し訳ない』
『もう……しょうがないですわね……』
マリリンモンルーサラが少し声のトーンを変え、私をベッタリと抱きしめていた手を離した。
やっと諦めたかと思った瞬間、
『この姿を見ても冷静でいられますでしょうか……』
突然マリリンモンルーサラがストリッパーばりに私に見せつけるようにしてドレスを脱ぎはじめようとする。
腰をクネクネクネクネさせまくって、
ーー何やってんだっこの女は……?
たかがドレス一枚脱ぐくらいで、どんだけ時間かけようとしてんだ?
モタモタしてないで脱ぐなら潔くバッと脱げよ!!
こんなもん見せつけられてる私の身にもなれッ!!
女の私相手に焦らしまくってやがる。
あーーそんなことよりも……この場をどうやって逃れっかなーー。
ドヤ顔でストリップ中のマリリンモンルーサラを横目に考えを巡らせる。
なんて言ったらこのヤる気満々な女を説得出来るんだ?
うーーーーん。
そうこう考えてるうちに、いつの間にやらマリリンモンルーサラのボヨヨンパイがあらわとなっていた。
どうぞっと言わんばかりにマリリンモンルーサラが私にすり寄ってくる。
もーーこうなったら嘘ついてでもなんとかするしかねーー!!
『す、すまない!! 実は…… 最近すごく疲れが溜まっているせいか…… その…… 下半身が…… 機能しづらいというか……なんというのか…… その…… た、勃ちそうにないんだッ!!』
ーー何を言ってんだ私は……
『まあ大変!! なんってことっ!! 全く反応されておられませんわね…… お気の毒に…… レオナルド様〜〜余程お疲れなのですね……』
そりゃ反応しませんよ。男とヤるのが好きな女ですので。レオナルド本人だったらビンビンに勃ってるだろうが。
『今宵は抱いていただけるものと思っていたのですが…… お身体がそのような状態でしたら致し方ありませんわよね。それでしたら、私とファーストダンス踊っていただけませんか?』
ーーファーストダンス?
なんだかよく分からんが踊りゃあいいだけだよな?
舞踏会なんだから誰と踊ろうが問題ないだろうし……
『わかった。一緒に踊ろう』
『キャーー!! とっても嬉しいですわ〜〜。レオナルド様とファーストダンスを踊れるだなんて〜〜♡』
ーーなんだこの喜びよう?
ダンス如きで変な女。
そんなことでマリリンモンルーサラの気が済むなら容易いご用だろ。
ふーーぅ。
ひつこそうな女だからごねられでもしたらどうしようかと思ったわ!!
やっとこの地獄絵図から解放される。
はーーぁ。
早く大広間戻ろっ。
今どっと老け込んでそ。