ダイエット 【月夜譚No.316】
トレーニングは気が向いた時にしかやらない。そもそも、身体を動かすことが嫌いなのだ。毎日義務のようにやっても、きっと続かない。
そう自身に言い聞かせて、私はソファに寝転んだ。テレビで録画しておいた映画を再生し、手元にはスナック菓子。せめてもの免罪符にと、ドリンクは緑茶にした。
こんなことをやっていたら、いつまで経っても痩せられないのは解っている。解っているが、どうにも身体が動かない。
別に身体を使うような重労働の仕事をしているわけではない。寧ろ、デスクのパソコンに向かって一日中椅子と仲良くしている不健康極まりない業務である。
だというのに、どうしてこうも疲れるのだろう。――いや、身体を動かさな過ぎて逆に疲労するのだろうか。
兎にも角にも、今日はもう動きたくない。私はスナック菓子を口に運びながら、有名な俳優が大笑いしているシーンを瞳に映した。
やがて瞼が重くなり、テレビを消してクッションに顔を埋める。
(……明日頑張ろう)
眠りに落ちる寸前、背徳感からきっと実現しないだろう誓いを浮かべた。