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6 敵を倒す、その2

ソーマの鮮やかな動きにあっけに取られていたが、『次は?』と聞かれて、ここからは私の番だと気合いを入れた。


「緑と茶色は反応も遅いし、戦闘に慣れてなさそう。足元を2発撃って警戒させて。そうすればあっちの細い通りまで一旦退くと思う。」


ソーマが言われた通りに弾を撃ち込む。予想通りに2台は退いて様子見の姿勢を取った。


「少しゆっくり敵の前を通り過ぎて、そっちの通りに入って。ダメージを受けてる振りをすれば、5機はチャンスだと思って追いかけてくるわ。」


ソーマはわざと片足を少し引きずるように移動する。よく見ないと気付かないぐらいの絶妙な演技だ。さっきまでと違うこちらの様子に、翻弄されてストレスが溜まってた5機はチャンスと思って食いついた。


「この通りは、まっすぐ行くとこの先で左に曲がって折り返すようになってるわ。青と白は戦場を迷いなく動いてたから、多分周辺の地図を把握してる。先回りしてはさみ撃ちしようとして、この角を左に曲がると思う。」


私たちが分かれ道を直進した数秒後、3機は後を追ってきて、青と白は左に曲がった。ソーマが楽しそうにはしゃぐ。


「気持ちいいぐらいミンクさんの予言通りに進むね。」


「まだ続くよ。次の交差点を過ぎたらスピードを上げて、敵の左よりに2発撃って。今まで遅かったのが罠と気づいて、灰色とオレンジが通りに隠れるわ。赤は頭に血が上るタイプだからムキになって追ってくると思う。30メートルくらい後ろをついてこさせて。」


ソーマが指示に従い、予定通りに敵が動く。


「次の角を曲がったら、先回りしてた青と白が攻撃してくるから、避けながら奥に停めてある白い車と、もう少し遠いところにある赤い車に一発ずつ当てて大きな音を出して。」


角を曲がったところで青と白が銃を撃ってきたが、ヒラリと飛び上がってかわし、200メートルぐらい離れた白い車と、500メートルぐらい先の赤い車に空中から狙いをつけて当てる。正確にガソリンタンクを撃ち抜いて2台が爆発し、大きな音を立てた。正直爆発させるとは思ってなかったが、ま、まぁ想定内かな。


「通りに潜んでた緑、茶、灰色、オレンジが何の音か確かめに来るわ。赤の後ろに回り込んだら7機が一直線に並ぶから、その瞬間にビームで仕留めて。」


通りから4機が出てきたタイミングでソーマは後ろに飛び上がり、バク宙をした。ロボット内で振り回され私は気分が悪くなる。あんまりアクロバットな動きはしないで欲しい。横から回り込めばいいんじゃないかな!

ソーマは何でもない顔だ。後ろから突っ込んで来ていた赤の背後に着地し、ビームを発射した。

うん、思ってたのとだいぶ違った。

視界が真っ白になるぐらいの大出力で、撃ち終わったあとのビーム銃も半分溶けていた。一発しか撃てないってそういうこと?

巻き上がった砂埃で悪くなった視界が徐々に開けてくると、機体が半分以上溶けたロボットの残骸が5機見えた。5機?残り2機はどこ?外したの?おばあちゃんの言葉を思い出す。『絶対に正しいわけじゃない。』失敗してしまった。沈みそうになった心に楽しそうなソーマの声が届く。


「え、すごい!一発で5機も倒せたの初めてだよ。やっぱりミンクさんはとんでもないね!」


「2機残っちゃった!どうしよう、もう弾が残ってないよね。」


「2発は残って…」


ソーマが言い終わる前に、右側の死角から赤がブレードで切りつけて来た。右手に持ったライフルでかろうじて防いだが、銃身が曲がってしまった。


「やっぱ、残ってないや。まぁブレードで戦うしかないね!」


敵から距離を取って睨み合う。ビームを避けて残っていたのは赤と灰色だ。赤は冷静なタイプだとは思えないから、勘と反射神経で避けたのだろう。きっと強いに違いない。2対1ではかなり不利だ。ソーマもそう思ったのか、チャンスをうかがいながら距離を保っている。


「ソーマさん、手伝いますよ!」


桜海(おうみ)の通信機能でスナオさんの声が入ってくる。


「来ちゃったの?危ないよ、フリーズしたら終わりだよ。」


「大丈夫です。司令も連れてきました!」


「指示がポンコツだからなぁ、不安しかないよ。」


「指示はポンコツですが、私が呆けた時に起こしてもらえます。」


「本人の前でポンコツを連呼するな。司令官になる前はマニュアル操作で出撃してたからな。戦場で天の邪鬼(てんのじゃき)と恐れられた実力を見せてやる。」


「司令、それは天邪鬼(あまのじゃく)って読むんです。言うことを聞かないだけで、強そうじゃないです。」


「じゃあ、恐れられたのは命令聞かなくて行動が読めないからだね。」


「くそっ、心当たりがある。」


この人の指示に従って大丈夫だろうか。すごく不安になった。


「私は今からミンクさんの指揮下に入ります。ミンクさん、指示を!」


スナオさんはあっさり司令を見限った。自分の意思で上司無視していいの?


「許可する。」


なんか司令が格好つけたがもう手遅れだ。既に格好悪い。とにかくこれで2対2になった。スナオさんの実力はわからないけど、なんとかなりそうな気がする。



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