5 敵を倒す、その1
ソーマがビルの陰から出て、敵に一発ずつライフルの弾を当てていく。向こうの攻撃は全く当たらないが、ソーマの攻撃は一度も外していない。レベルが違いすぎる。
「はい、全部に一発ずつ当てたよ。残りのライフル弾は20発。さて、どうする?」
情報量は少ないが、敵の機体のクセは大体掴めたと思う。戦場の地図もほぼ把握できた。自分たちの周りを映しているモニターをざっと確認してから、目を瞑って集中した。頭の中に、自分たちを空から見てるようなイメージが浮かび、あらゆる可能性が同時に進行していく。その中で一番良さそうな可能性を見つけた。ゆっくり目を開ける。
「敵のロボットは頭に色のついたシッポが付いてるでしょ?その色を使って指示を出していい?」
「いいよ。カラーマークだね。みんな同じ機体だから、誰が乗ってるのかわかりやすくするためのものだよ。」
「オッケー、じゃあ行動が読みにくい紫と黒と黄色を6発ずつで倒してくれる?あとの6発で残った敵を誘導するわ。」
「待って、3機に6発ずつ使ったら2発しか残らないよ。」
「なんで?6×3=14でしょ?いま20発だから6発残るじゃない。」
「6×3=18だよ。え、なんで疑いの目で見てくるの?」
「信用できないなぁ、電卓…あっ、ソーマのスマホは電卓機能ある?」
「あるけど、さっき壊したでしょ?壊れてなくてもどうせ壊れるから使えないよ。」
「もう!肝心な時に。あっ叩いたら直るんじゃない?えいっ。おわ、画面が割れた。」
「だよね!直し方がワイルドすぎるよ。もうわかった。6発残して3機倒せばいいんでしょ?紫、黒、黄色ね。」
そう言ってビル陰から飛び出し、敵の集団の中に飛び込んだ。飛び交う敵の弾を鮮やかにかわして、黒の背後を取る。至近距離から腰の関節部に4発当てられ、黒は動かなくなった。すかさず距離を取りながら黄色に1発当てる。
「お、ラッキー。」
弾が当たった衝撃で黄色の胴体部の金属がめくれ、穴が開いていた。ソーマはその穴を狙って正解に弾を叩き込む。ライフルは素人だが、それでもわかる。あきらかに神業だ。あんな小さい隙間に一発で当てる?ありえない。黄色は内部を破壊されてアッサリ止まった。紫には同じ場所を狙って5発当て、同じように穴が開いたところを狙って計6発で仕留めた。
「8発残したよ、次は?」